第15話 Selection
二号館に入ると、オリバーがうろうろしているのを見つけた。
オリバーも「戦研」に興味があったのを思い出した。
「オリバー!」
オリバーが振り向く。
「あ!ユリナ! 近衛さんも!」
「こんにちはオリバーくん」
オリバーは遥から目を逸らす。気恥ずかしいらしい。
「ごめんオリバー!あんたのこと完全に忘れてたわ」
「いやいいよ全然。それよりも昨日の夜言ってた部活に早く行こう」
*
私たちは一緒に階段を降り、例の鉄の扉の前にあるインターホンを鳴らした。
「君たちか、良く来てくれた。入りたまえ」
ドアがガシャっと解錠される。
中に入ると、アダマントスーツを纏った海馬が出迎えてくれた。
奥には十人以上生徒がいる。おそらく彼らも入部希望者なのだろう。
「約束通り来てくれたみたいで嬉しいよ。あれ?もう一人も入部希望?」
海馬がオリバーの方を見る。
「一年一組、オリバー・バーンスタインと言います。よろしくお願いします」
「先進戦術技術研究部部長、海馬悠だ。よろしく」
オリバーがぺこりと頭を下げる。
海馬が入部希望者を呼び集める。
「聞いてくれ。今日は練習試合をしてもらう」
入部希望者達がざわつく。
「実を言うと、今年は予算の都合上、新入生は4、5人しか入れられない。しかし入部希望者はこの通り二十人ほどいる。そこで、練習試合の上位者のみ入部を許可したいと思う。」
周りがいっそうざわめく。
その中の一人が質問する。
「具体的に何で競うんですか?」
「無論、t-sportsだ。生憎、初心者歓迎などと言う甘ったれたことを言う余裕は我々にはない。完全な実力で決めさせてもらう。ルールはバトルロワイヤル形式。個人戦だ」
すると、上級生たちが装備と武器を持ってくる。
「いきなり実弾を使ってもらうわけにはいかないので、ペイント弾を使ってもらう。当たるとかなり痛いから気をつけろ。」
私たちはアダマントスーツを着させられた。
アダマントスーツは外から見れば真っ黒だが、中からは外はちゃんと見える。アダマンタイトの偏向性を利用した技術だ。
全身真っ黒なので着ると誰が誰だかわからない。
ということは、試合中に私は遥を撃つかもしれない。その逆も然りだ。
場所は、グラウンドとゴルフ場、そして校舎脇の林を使う。面積は140m×140m。広大な敷地をふんだんに使って行う。サバゲー用の障害物が所々に設置されており、身を隠すことができるようになっている。
「好きな武器を選べ。初心者はピストルがオススメだが」
スーツ内蔵のスピーカーから海馬の声がする。
その忠告を聞かず、みんなミニガンやスナイパーライフルに手を伸ばす。しかし、公平性を保つために両方ともかなり重くなっており、結局ほとんどはピストルや小銃型ペイントガンを手にした。
私は日頃から鍛えてることもあり、スナイパーライフルとピストルを選んだ。今回のような開けているところで行うなら、これが最適解だ。
アダマントスーツの連中の中にミニガンを軽そうに持ってる奴がいた。どう見てもオリバーなので笑える。
*
私たちはフィールドに等間隔に配置された。間隔は30メートルくらいか。
スピーカーから海馬の声が聞こえる。
「全員配置についたようだな。あと10秒で試合開始とする。諸君の武運を祈る」
私は精神を統一する。
ひどく緊張する。ラスベガスでの作戦行動が軽い心的外傷後ストレス障害になっているようだ。
集中。集中。
「試合開始!」




