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負けヒロインは幼馴染  作者: 来留美


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3/7

3、負けヒロインは写真部の救世主?

~前話あらすじ~

いぬ系男子の可愛らしいツキ先輩に写真部へ勧誘されて、写真部へ入ると決めたタマキ。

その夜、レイがタマキの部屋へ遊びに来てタマキの好きなスクイーズをくれた。

そしてタマキを期待させた。

「タマちゃんおはよう」

「おはようレイナ」

「タマちゃん。ほらっ、お揃いだよ」


 朝の挨拶をレイナの家の前でした後、レイナが私に肉球の形をしたスクイーズを見せてきた。

 昨日、レイが私にくれた物と同じだった。


「レイが?」

「そうだよ。タマちゃんはレイ君から貰ったでしょう?」

「うん」


 やっぱり、レイナもレイから貰ったんだ。

 私だけじゃなかったんだ。

 期待した私がバカじゃん。


「おはようレイとタマ」

「おはよう。レイ君」

「おはよう」


 二人で話をしていたら後ろからレイが挨拶をしてきたから、レイナが振り返り挨拶をした後、私も振り返り挨拶をした。


「タマ。俺の名前を呼べよ」

「またなの? レイ。これでいいの?」

「なんだよそれは? せっかくスクイーズをあげたのに」

「私は頂戴なんて言ってないわよ」


 私って本当に可愛くない。

 素直に嬉しかった、ありがとうって言えばいいのに。


 私は一人で先に歩いて学校へ向かう。

 レイとレイナは少し遅れて歩き出す。


「なんだか、昨日のドラマみたいだね」

「昨日のドラマ?」


 レイナがレイに言っているのが聞こえた。

 昨日のドラマ。

 私にはレイナの言っている意味が分かるけど、レイは分かっていないみたい。


「『さんかく幼馴染』っていうドラマで、私達みたいに三人の幼馴染の三角関係を題材にしてるのよ」

「へぇ~」


 レイナがドラマの説明をしたのに、レイは興味なさそうにしながら言っている。


 本当に私達みたいな幼馴染の三角関係のドラマ。

 主人公は男の子で可愛い美少女がヒロインでもう一人の地味な女の子が負けヒロイン。


 一話目からこの設定が確定し、負けヒロインの女の子が可哀想で仕方がない。

 負けヒロインだと知ってドラマを見るから、地味な女の子の主人公への想いが切なくて泣けてしまう。


 まるで私のような立ち場の地味な女の子だから感情移入してしまう。

 だから昨日のドラマは、負けヒロインである地味な女の子と一緒に泣いてしまった。


 このドラマは三角関係を題材になんてしていない。

 最初から矢印は主人公とヒロインがお互いに向かい合っている。

 負けヒロインの女の子の矢印は主人公へ向いているが、消えそうに薄く(ほとん)ど見えない。


 ドラマの一話目を見てから次を見るのが怖くなった。

 私の未来を物語るようなドラマを見る勇気はなかった。


 私は、どこか期待をしている。

 いつか振り向いてくれる。

 レイは私を見てくれると。

 だからドラマを見るのが怖いんだと思う。




「あれ? タマちゃん?」


 聞き覚えのある声が前方(ぜんぽう)から聞こえた。

 私はうつむいていた顔をあげると、いつの間にか目の前にツキ先輩がいた。


「ツキ先輩。どうして?」

「どうしてって、僕も登校中だからだよ」


 私が驚きながら言うと、ツキ先輩は呆れた顔で言った。


「そっ、そうなんですが、昨日といい今日といい、なんだか偶然が重なっていて驚きなんですよ」

「偶然ねぇ。まっ、いいや。タマちゃん。一緒に学校へ行こうよ」

「えっ、でも、、、」


 私は振り向いてレイとレイナを見る。

 だって二人と一緒に登校しているから。


「タマちゃんには写真部の説明をしたいからさ、行きながら色々と教えたいんだよね」


 ツキ先輩は私に言うというよりは、レイナに言っている。


「えっ、写真部?」


 驚いて言ったのはレイナではなくレイだった。

 レイが驚くのも当たり前だと思う。

 だって私は高校生になってもバスケ部に入ると言っていたから。


 レイと同じバスケ部。

 中学生の時は男子と女子のバスケ部は隣同士で練習をしていた。

 いつもレイの練習する姿を見れるから私はバスケ部に入ったの。


 ただレイを見ていたかったから。

 それだけでバスケ部に入った。

 しかし写真部ではレイの写真も撮れる。

 それならバスケ部に入る必要はない。


「タマちゃんは写真部なの? タマちゃんの格好良い姿を見れないの?」


 レイナが残念そうに言う。

 レイナは中学生の頃は男子バスケ部のマネージャーだった。

 高校生でも男子バスケ部のマネージャーになるみたい。


「タマはバスケが上手いのに。写真部でいいのか?」


 レイが私に確認をしてくる。

 私が好きでバスケをしていたと思うの?

 レイに振り向いてほしくて頑張っていただけだよ。


 レイナのようにマネージャーとして近くで応援できないし、近くで見れないからバスケをしていたんだよ。

 レイは何にも知らないのね。

 私のことなんて。


「タマちゃんは写真部の救世主だよ」


 いきなりツキ先輩が私の耳元で小さな声で言った。

 私は近くにあるツキ先輩の顔を見る。

 可愛い顔でニコニコと笑っている。

 ツキ先輩は私を必要としてくれている。


 それが本当に嬉しかった。


「私、写真部に入るの。そしてレイやレイナの頑張っている姿を撮りたいの」


 そう。

 私は二人の姿を撮りたい。

 レイナのバスケ部メンバーを励ます姿や、レイの素早い動きでゴールを決める瞬間や、誰よりも努力をしている姿も。


「タマちゃんは、言ったことは曲げないんだよね。そしてタマちゃんの選択に間違いなんて一度もないの。だからタマちゃん。頑張って」


 レイナは私のことを分かっている。

 ずっと傍で私を見ていてくれるレイナは、ちゃんと知っている。


 私のレイへの気持ち以外は、、、。


「俺は認めたくはないけど、タマが決めたことに口は出さない。何か困ったことがあれば真っ先に俺に言えよ」


 レイはチラッとツキ先輩を見た後、真っ直ぐに私を見て心配そうに言った。

 レイの柔らかい視線に私の鼓動が速くなる。


「それじゃあ、タマちゃんは僕と一緒に行こうね」


 ツキ先輩が私の腕を引っ張り歩き出す。

 私は少し早歩きになりながらツキ先輩についていく。


「ツキ先輩? そんなに速く歩かなくてもいいのでは?」

「あっ、ごめんね。タマちゃんが嫌かなって思ったんだ」

「嫌?」

「うん。あの二人と一緒にいる時、無理してるよね?」

「えっ」

「昨日の泣いてたタマちゃんとは全然違うからね」

「泣いてる姿は見てないですよね?」


「ん? そうだっけ?」


 ツキ先輩はとぼけながら言った。


「そうですよ。ツキ先輩は眼鏡に付いた涙の跡を見て、私が泣いていたことを推理しただけですよ」

「推理? 僕は名探偵だね」

「たった一度だけで名探偵って言えます?」

「一度だけじゃないよ。タマちゃんは、あの二人と一緒にいると表情が固くなるよね?」

「うっ、それは、、、」

「僕は名探偵だね」


 ツキ先輩はクスクスと笑いながら私の腕を引いて、私の前を私の歩く速度に合わせて歩く。

 ツキ先輩は優しい人。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

ブクマやいいねなど執筆の励みになります。

~次話予告~

タマキは写真を撮る実践開始。

楽しいのに、幼馴染二人の仲良さそうな所を撮るのは嫌なタマキ。

そう思っていると、ツキ先輩がタマキの写真を撮る。

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