ピカデリーでドラキュラは銀の弾丸を浴びた。鋼鉄のガンナー乙女隊は解散して帰還準備。
いつかまたガンナーになる日が来るかはわかりませんが、物騒な武器はこの世界に置いて帰りましょう。
カーファックスから運び出された木箱は20個。ジョナサンはその足跡を追った。運送業者、不動産業者....1日に日本円にして5~6万円もの袖の下を惜しまずばらまいて情報を追った。アーサーはJKたちに触発されて武器の再確認を始めた。銃器は必須だ。ただしロンドン市内で取り回すのにウィンチェスター銃は乱暴すぎる。アーサーはヴァン・ヘルシングを伴ってボンド・ストリートの銃器店へ向かい、店員のアドヴァイスを受けて最新型のアメリカ製コルト・ニューポケットに決めた。ミナにも配備するため全長155mm、重量400gの小型で取り回しに優れている。数はミナを含めて6丁。JKトリオから頼まれていた銀の弾丸100発はもう届いた。同じ32口径だがコルトに同じ弾丸を使うことはできない。アーサーは自宅に帰る前に馬車をガンスミスの店に向かわせた。自分達のシルバーバレットを注文するためである。6人分なので300発。ロンドンの銀市場にさざ波が立つかもしれない。
桜「うちらは小説を読んでるからどこに木箱があるかわかってるけど...」
翼「さすがにその情報を教えるわけにはいかないね。」
紬「このままアーサーたちに任せていると、最後の一箱とともにドラキュラは逃亡。」
桜「船に乗って海へ出る。これは阻止したい。」
翼「ロンドン市内で討伐すれば過酷なトランシルヴァニア編が消えてシンプルになる。」
紬「文明の果てまで追跡するとこっちのQOLもガクンと下がるし。」
翼「狼に囲まれてお花摘みなんてやだよ。」
アーサーの屋敷にヘルシング、セワード、クインシー、ミナが揃った。アーサーは荷物を解き、コルト・ニューポケットを見せた。
アーサー「この銃にシルバーバレットを装填してドラキュラを撃つ。弾丸はいま発注してきた。明日には届くだろう。」
クインシー「小さいな。」
アーサー「おまえにはな。だけど6人で揃えなければならない。弾丸を共有するためだ。」
クインシー「ライフルは使わないのか?」
アーサー「テキサスじゃないんだ。ロンドン市中でウィンチェスター銃なんか撃ったら大騒ぎになる。」
ジョナサン「ぼくは銃を撃ったことがない。」
ミナ「私もです。」
アーサー「ぼくも狩猟用のライフルはずいぶん撃ってきたがピストルには慣れていない。そこで....クインシー、指導を頼めるか?」
クインシー「お安いご用だ。ビシバシ行くぜ。」
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女神「なんだ、海に出ないのか?」
翡翠「あの子たちも過酷な旅は嫌がってますしね。船酔いって辛いのでしょう?私は経験したことがありませんが。」
青水「俺は悪酔いならさんざん経験してきたぞ。」
女神「そうだな。そのたびに私に梅干しをせがんでいたな。」
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桜「ドラキュラは市内3カ所に木箱を分散させてる。」
翼「リスク分散のつもりなのかな。」
紬「お金もかかるだろうに。」
桜「ドラキュラ城から金貨をいっぱい持ってきたけど...」
翼「大都会ではすぐ溶ける。」
紬「悲しいね...辺境から金貨を運んで大都会で溶かすって...」
桜「港区生まれの私たちはそんな物語を他人事として消費してきたけれど...」
翼「当事者だったらすごく悲しい。」
桜「そろそろ木箱破壊作戦も終盤に近づいてるかな。」
翼「最後の拠点はお家賃が高いピカデリー197番地。」
紬「現実にはない場所なんだけど、ここは小説の世界。行けばすぐわかるよ。」
桜「日本大使館の近所だよ。バッキンガム宮殿にも近い。」
翼「当初は本気でロンドンを制圧するつもりだったのかしら。」
紬「過去の成功体験が野望を育てた。」
ドラキュラの最後の拠点、ピカデリー197番にジョナサン、アーサー、クインシー、ヴァン・ヘルシングが集まった。ここを潰せばすべては解決する。住居侵入罪に問われないよう、ヴァン・ヘルシングとアーサーが警察に根回しをしておいた。警察署長は付近の警備を手厚くしようと提案したが、変化自在に飛び回る魔物相手だとかえって邪魔になるのでそれは断った。
4人は銀の弾丸を装填したコルト・ニューポケットを構えて屋敷に突入した。ドラキュラがそこにいた。歯をむき出しにしてマントを翻し4人に迫る。だがクインシーの銃弾がドラキュラの額を貫き、黒い血を流してドラキュラは倒れた。とどめを刺そうと近づく4人の前でドラキュラは霧になり、物理攻撃が無効になった。ヴァン・ヘルシングが聖水を撒いたが、霧は消えずに4人を襲う。激しい臭気。ミアズマだ。瘴気とも言われる病原菌を含む霧だ。4人はハンカチで鼻と口を押さえ耐えた。その隙にドラキュラは実体を現し、木箱のひとつを抱えると窓から逃亡を図る。ジョナサンがククリナイフで、クインシーがボウイナイフで斬りかかる。ドラキュラの燕尾服から大量の金貨がこぼれ落ちた。金貨はドラキュラの逃亡資金として重要だったのだろう。危険を顧みずドラキュラは落ちた金貨をかき集めた。そこに4人の弾丸が容赦なく降り注ぐ。ドラキュラにはもう飛行能力はなく、よろよろと木箱を抱えて窓から飛び降りた。
桜「見て、あそこ!」
翼「瀕死のドラキュラだ。」
紬「任せろ!」
紬のシルバーバレットが正確にドラキュラの急所を貫く。桜と翼も援護射撃で5発、6発と撃ち込んだ。桜は気合いが入りすぎて悪者のような顔になっている。ドラキュラは木箱を抱えたままその場に崩れ落ちた。
ヘルシング「君たちか。よくやった。」
ジョナサン「危うく逃げられるところでした。」
桜「ここで逃がすとトランシルヴァニアまでの過酷な旅が始まりますからね。」
紬「最後の処理はヘルシング教授が決めてください。」
ヘルシング「そうだな...とりあえず復活しないようにやつと相性の悪い土を詰めた棺桶に入れてカトリック教会の霊廟に安置しよう。首の切断と杭打ちは死体がある程度熟成してからだ。」
翼「その土に大量のニンニク水を混ぜるのはどうでしょう?」
ヘルシング「効きそうだな、それ。」
紬「ついでに口の中に大量の生ニンニクを詰め込むのは?」
ヘルシング「ふむ...容赦ないな...君たちは。」
桜「あとはお任せしても良いでしょうか?私たち、そろそろ日本に帰らなければなりません。」
ジョナサン「本当にありがとう。帰る前にミナにも会ってやってください。」
アーサー「ルーシーにもね。」
桜「あ、そうだ。この拳銃、持ち帰るわけにはいかないので、ここでお渡ししてもかまいませんか。日本では違法なんです。」
クインシー「そうか。ならば妹への土産にさせてもらうよ。」
無事にロンドン市内でドラキュラを討伐できました。オーバーキル気味に。日本へはかなりたくさんのポンドを持ち帰ることになってしまいますね。




