本当に鋼鉄で武装してしまったJKトリオ、鋼鉄のガンナー乙女隊が誕生した
時代はリボルバーからオートマチックへの移行期です。
桜の読み通り、12個のルースはすぐに換金できた。天然宝石と鑑定で区別が付かないのだから当然だ。手持ちの400ポンドと合わせて1120ポンド。三人は銀行で小切手を換金してすぐ馬車に乗り、ボンドストリートの高級銃器店へ向かった。リボルバーは面倒くさそうなので狙いはオートマティック、ドイツで開発されたばかりのモーゼルC96だ。装填した重量は1.25kg、軽くはないが携行できない重さではない。だがしかし、実際に持ってみると重さより体積が邪魔になることに気付いた。全長29cm。小型のサブマシンガン並だ。携行しにくい。胸のホルスターに入れたら銃口が脇腹まで届いてしまう。そして女性の場合、バストと共存するのが難しい。三人は店員と相談した結果、最新鋭のベルギー製、FN社のM1900に決めた。一般にブロウニングと呼ばれている小型のオートマティックで全長17cm。威力はモーゼルに劣るが、取り回しに優れている。撃つのにグズグズしている暇はない。着脱式の7発入りマガジンを持っていればリロードも簡単だ。3丁と予備マガジン9個、そしてホルスターで合計15ポンドに収まった。
桜「ふふふふ、本当に心まで鋼鉄で武装する乙女になった。」
翼「桜....ちょっと怖い。」
紬「次は少しハードルが高いよ。銀の弾丸という特注品を作ってもらわなければならない。」
桜「それについては当てがある。」
翼「そうなの?なんかピストルが手に入ったら急にフットワークとテンションが強化されたね。」
紬「次はどこに行くの?」
桜「アーサーの屋敷だよ。大貴族様ならなんか手立てがあるでしょ、きっと。」
翼「なるほど。そりゃ期待できそう。」
桜「うちらの本気度も売り込めるしさ。」
桜「アーサーくん、いやもうゴダルミング卿と呼ぶべきかしら?」
アーサー「やあ、アーサーのままで良いよ。良く来たね。」
桜「ちょっとお願いがありまして...」
三人は胸から買ったばかりのブロウニングを取り出してアーサーに見せた。アーサーは目を丸くして驚き、しばし言葉を失った。
翼「ドラキュラの脅威に立ち向かうのに必要だと思って買ってきました。」
紬「射撃はこれから練習しますが、シューティングゲームで鍛えているのですぐ上達しますよ、きっと。」
桜「お願いというのはほかでもない....銀の弾丸です。」
翼「ヴァン・ヘルシング教授が説明したヴァンパイアの弱点の中に銀の弾丸があったと思います。」
紬「私たち、これまでの戦いですべて手の内を見せてしまいました。なので新しい秘密兵器が必要なのです。」
桜「ただ銀の弾丸は市販品として買える代物ではありません。」
翼「なのでアーサーくんのコネで鋳造できる職人を紹介して欲しいのです。」
紬「資金は十分にあります。100発で10ポンドぐらいは余裕で支払えます。必要ならもっと多くでも。」
そんな話をしながらアーサーがまだ驚愕から立ち直れないでいるところにクインシーが部屋に入ってきた。
クインシー「よう、お嬢さんたち....お、ご機嫌なものを持ってるじゃないか。」
アーサー「対ドラキュラ用に買ったそうだ。」
クインシー「そいつあいいや。うちの妹もガンはいっぱい持ってるぜ。なにせテキサスだからな。」
紬「クインシーさん、テキサスの男ならガンマンですよね?」
クインシー「そんな職業じゃねえが、一通りは使えるぞ。」
紬「私たちに射撃を教えてもらえませんか?」
クインシー「いいぜ、プリティ・ガールズに射撃を教えるなんざ男冥利に尽きるね。」
アーサー「金に糸目は付けないから銀の弾丸を100発特注したいそうだ。」
クインシー「豪毅だねえ。うちみたいに油田でも持ってるのか?」
桜「いえ油田ではないのですが、宝石の鉱山を少々。」
クインシー「すげえお嬢様じゃねえか。ますます気に入った。アーサー、銀の弾丸、作ってやれよ。」
翼「お願いします。」
アーサー「わかりました。何とかコネを使って弾丸を作りましょう。100発10ポンドで。」
桜「やったー!」
クインシー「そのブロウニング、買ったばかりみたいだが、予備のマガジンも買ったんだろ。そいつで練習しに行こうぜ。こんな屋敷の庭でぶっ放すわけにはいかないから....アーサー、どこかいい場所知らないか?」
アーサー「それならうちで代々使ってる射撃練習場がある。いま紹介状を書くからそれを持って行くと良いよ。場所はウィンブルドンだ。」
クインシー「さあて、ここが射撃場だ。硝煙の臭いがたまらないな。」
桜&翼&紬「よろしくお願いします!」
クインシー「みんな装填済みの銃と予備マガジン3つで28発撃てるぞ。俺はレンタルのこの銃を使う。まず見ててな。」
クインシーはレンタルの銃で狙いを付けると6発撃ってすべて的に当てた。
桜「すごい...」
クインシー「時間は気にしなくて良いぞ。アーサーが払うんだからな。じゃあ、桜、3発撃ってみろ。」
桜が狙いを付けて放った銃弾はすべて外れた。そのうちの1発は隣の的に当たった。
クインシー「ふむ、反動を予測して身構えすぎ、つまり力が入りすぎだ。次は両手で握って見ろ。肩の力は抜いて。」
両手持ちに切り替えて撃つと少し安定して、4発のうち2発が的に当たった
クインシー「よし、次は翼だ。最初から両手持ちで3発撃て。」
翼が撃った弾はすべて的の上方にそれた。
クインシー「フリンチングだ。恐怖心で目を閉じたり身体がこわばったりするとそうなる。まあ、慣れの問題だ。少しなめてかかるくらいが良いぞ。残り4発、リラックスだ。」
翼は肩を回してこわばりを取り、残りの4発を撃った。今度は2発命中した。
クインシー「うん、かなり良くなった。その感覚を忘れないように。最後は紬だ。期待してるぞ。」
紬は構えた両手を前に突き出して連射で3発撃った。2発命中した。
クインシー「おお、さすがだ。表情に余裕がある。おまえは片手持ちでもいけそうだな。やってみるか?」
紬は片手でブロウニングを握り、腕を前に伸ばして落ち着いて4発撃った。3発命中した。
クインシー「ヒュー、お嬢ちゃん、ひょっとして経験者か?」
紬「シューティングゲームは好きですよ。実弾を撃ったのは初めてですけれど。」
シューティングに三人の性格が現れていましたね。強気の桜は力が入りすぎ、翼は少しビビり気味、紬は相変わらずの安定。




