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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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ダブルデートはウンコスプレーで大惨事に、そしてJKトリオは鋼鉄の乙女対魔団になる

いよいよヴァン・ヘルシングが本格的にドラキュラ退治に動き始めるようです。

 ロンドン市警の署長はヴァン・ヘルシングの言葉を待った。


ヘルシング「まず伺いたいのは、例の連続殺人事件についてです。血液が残らない頸部切創による失血死。被害者の司法解剖は行われましたか?」


署長「はい。検察と法医学者がこちらの報告を受けて遺体の解剖を決定しました。」


ヘルシング「死因の偽装は?」


署長「...ホームズ氏の紹介ですので正直に言いましょう。偽装されていました。切創は死後に付けられたもので、死因は頸部に穿たれた二つの穴です。まるで牙が刺さったような。」


ヘルシング「なるほど....で、そのことは報道機関に発表していないと。」


署長「はい....それはまるでヴァンパイアの犯行のように受け取られかねません。我々は20世紀の入り口に立っています。ロンドンは世界最高の文明に到達しているのです。そのような暗黒の迷信を警察が世間に発表するわけにはいきません。ですので、現行犯逮捕を優先課題に設定し、夜間警備態勢を三倍に増やしました。」


ヘルシング「犯人逮捕の報道は出ていませんが。」


署長「残念ながら、逮捕どころか発見もできていません。それどころか捜査員が二名殉職しました。」


ヘルシング「何ですと?そんな報道はなされていないが。」


署長「これ以上の社会不安を煽るわけにはいかないので発表は伏せました。遺族には通例の殉職特進以外に箝口のための特別慰霊金を支払いました。」


ヘルシング「ううむ、事態は思った以上に深刻なようだ。………… どれだけ効果があるかわかりませんが、カトリック教会に相談して夜間警備に配置する警察官に聖水と聖餅を持たせてください。理由は、闇に対する魂の強化とでも何でも言っておけば良い。」


署長「わかりました。署員はほとんどが国教会の信者ですが背に腹は代えられません。」


ヘルシング「もうひとつお願いがあります。ロンドン市警の管轄ではないのですが、エセックスの警察に話を通して、パーフリートの廃屋のサニタイゼーションを許可していただきたい。できるだけ早く。許可が出ましたら、ドクター・セワードの病院――その廃屋の隣ですが――にお伝え願いたい。病院の衛生環境に重大な影響を及ぼしています。」


署長「了解しました。すぐに手配いたします。」


ヘルシング「私たちは現代科学、民族学、宗教学....あらゆる学問を総動員してこの問題に取り組みます。また何かお願いすることがあるかもしれませんが、今日はこれで引き取りましょう。このことは口外しないとお約束します。」


署長「ありがとうございます。できることはすべて協力させていただきます。」



 そのころルーシーとミナはアーサーとジョナサンを伴ってテムズ川上流のリッチモンドに来ていた。計画していたダブルデートだ。川沿いには貸しボート屋が並び、ピクニック客がたくさん訪れていた。



ルーシー「ああ、空気が澄んでいて気持ちが良いわ。」


ミナ「そうね。ロンドンは人が住む場所ではないわ。でも、事務弁護士ソリシターとしてのジョナサンの仕事のため、どうしてもロンドンに住まなくてはならない。」


ルーシー「高台に住めば何とかしのげるわよ。」


ミナ「ええ、アーサーの口添えで良い物件が見つかったわ。本当に感謝している。」


アーサー「いやいや、こちらもこれからお世話になることもあるだろうし、近くに住んでもらうと何かと便利だからね。」


ジョナサン「あのあたりが空いてるから、ピクニックを始めようか。」



 ジョナサンたちがシートを広げてピクニックの準備を始めようとしたとき、茂みから紅い目をした大きな黒犬が出てきた。口を半ば開きよだれを流しながら彼らにゆっくりと近づいてくる。ジョナサンとアーサーは懐から護身用のデリンジャーを取り出して構えた。ミナはルーシーを庇って前に立った。黒犬がルーシーめがけて突進し、アーサーとジョナサンが引き鉄を弾いたが、デリンジャーは射程も短く照準も甘い。弾は外れ黒犬はルーシーを庇うミナに迫った。そのとき黒犬の鼻面に紬からもらったミナのウンコスプレーが炸裂した。最大の弱点である強烈な臭気が鼻腔を直撃して黒犬は子犬のような悲鳴を上げながら転げ回った。ジョナサンとアーサーは鼻をつまみながらデリンジャーの引き鉄を弾き、黒犬にとどめを刺そうとしたが、黒犬は霧になって消えた。この臭気の中でピクニックを続けることはできない。四人は馬車で帰ろうとしたが、箱形のキャリッジには臭いのせいで断られ、チップを上乗せしてオープンタイプのヴィクトリアに乗ることができた。ミナは紬に感謝しつつも、あの笑顔を思い出して少し腹立たしくもなっていた。



 そのころクインシーは、旧知のセワードを訪ねていた。アーサーとクインシーとセワードは、かつて極東方面の外交問題...というか植民地化の計画を話し合うクラブで知り合い、意気投合した仲である。


クインシー「ここは郊外のくせに空気が悪いな。」


セワード「ロンドンより地価が安いから工場がたくさん建ったんだよ。労働者が移り住んできたので患者も増えた。労働条件が悲惨だから精神を病むことが多くてな。」


クインシー「あまり締め付けるとそのうち暴動が起きるぞ。経営者もそのくらいわかりそうなものだが。」


セワード「わかりたくないやつらが経営者になるんだろ。今だけ、カネだけ、自分だけだ。」


クインシー「アーサーの父上はもう長く持ちそうにない。見舞いをしたが、手を握って、息子を頼むと一言だけ言って目を閉じた。」


セワード「ぼくも先週会いに行ってきた。持ってあと一月だろう。そしてルーシーの母親も診た。こちらも衰弱が激しい。」


クインシー「喪服を用意しなければならないか。」



 そんな話をしているとき、精神病院にエセックス警察から書状が届いた。隣接する廃屋を衛生処理する許可が下りたのである。セワードはヴァン・ヘルシングが宿泊しているホテルに電話をかけ、許可が下りたことを伝えた。



桜「小説ではそろそろカーファックス木箱破壊作戦が始まるんじゃない?」


翼「そうそう、レンフィールドは殺されて、ミナさんも噛まれる。」


紬「うちらはどうしよう?ミナさんを助ける?」


桜「男たちが廃屋に行ってる間にドラキュラは病院に侵入する。うちらもその隙に病院に入ろうか。」


翼「危険だけど介入するならそれしかないね。」


桜「ふふふ、ようやく鋼鉄の乙女対魔団の活躍だ。みんな、抜かるんじゃないよ!」


紬「うわ、姉御になった。」



挿絵(By みてみん)



桜「夜に来ると雰囲気がいかにもだね。」


翼「不思議と怖くない。」


紬「現代人だからかな。ゲームで麻痺してるのかも。」


桜「今ごろ隣のカーファックスではネズミの群れや悪臭に耐えながら男たちが木箱を粉砕してるはず。」


翼「うちらが10個ぐらい壊してやったからそのぶん楽になったね。」


紬「ミナさんが危ない。どこから侵入しよう。入り口は鍵がかかってるよ。」


桜「建物の周りを調べて侵入口を探そう。」


*************************************


女神「あいつら...ただのJKだってこと忘れてるんじゃないか?翡翠じゃあるまいし、夜にドラキュラに挑むつもりなのか?」


青水「これまでの成功体験がそうさせてるんだろう。」


翡翠「危険ですね。三度目の正直という言葉があります。」


***************************************


桜「あ、すごい物音があっちから!」


翼「消音で接近しよう。」


紬「ではくノ一モードに切り替え。」


桜「あ、あそこの窓に明かりが点いて、鉄格子が外れてる。」


翼「ドラキュラが侵入したんだ。」


紬「急ごう!ミナさんが危ない!」



木箱を粉砕に行く前に、原作ではヴァン・ヘルシングがドラキュラについて長い説明をしています。黒魔術を学んだこと、ネクロマンシーにも通じていること、そして弱点についても仲間と情報を共有し、ミナはそれをすべてタイプライターで清書してファイル化しています。

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