ヴァン・ヘルシングが、クインシー・モリスが続々参入、JKトリオは気管支をやられて少しダウン気味
世界の工場、公害の概念がない、世界中の工業生産物を作って出るエミッションが町を覆う。地獄ですね。JKトリオがブチ切れるのも当然です。
セワード「教授、わざわざご足労頂きありがとうございます。」
ヘルシング「この老いぼれで役に立つことがあるならいつでも頼ってくれたまえ。」
セワード「まず患者のレンフィールドなのですが、病室内の虫を食べ始めまして、まあそういうことはあの手の患者に起こりやすいのですが、彼はそれを進化的にエスカレートさせているのです。アリから始まってハエ、ハエの次はクモ、クモの次はゴキブリ...」
ヘルシング「ほう、食物連鎖を自分で体現しているわけか。」
セワード「そして窓から外を眺めることが多くなり、小鳥を捕まえたくて仕方がない模様です。たまに興奮して窓枠を掴み、大声で“マスター!”と呼びかけています。」
ヘルシング「何者かに操られているように見える。」
セワード「うちの病院の隣はカーファックスという古い廃屋なのですが、古い礼拝堂を含んでいて、元は修道院関係の建物だったようです。そこを購入した人物がいたらしい。あんな廃屋、何に使うかわかりませんが。」
ヘルシング「うむ、今の情報だけからはまだ何も導き出せそうもないな。ロンドン市内で頻発したという殺人事件はどうなってる?」
セワード「死因はすべて背後からの頸部切創による失血死。これだけだとまるで切り裂きジャックの犯行のように見えますが、問題は失血死なのに現場に血だまりがない。」
ヘルシング「何だと! ………… いや早急な結論は慎もう...問題は消えた血液か...」
セワード「警察も必死に捜査しているようですが...今のところ何の発表もありません。」
ヘルシング「ではとりあえずパーフリートの君の病院に行って患者を観察しよう。」
セワード「よろしくお願いします。」
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女神「出たな、イケオジ!かっこいいよな、ヴァン・ヘルシング。名前がかっこいい。」
青水「オランダ人だからヴァンが入る。オランダ語の読みはファンなんだけどな。原典によると、ヴァン・ヘルシング教授は“哲学者で形而上学者で最も優れた科学者のひとり”と紹介されている。手紙に付けられた肩書きが“エイブラハム・ヴァン・ヘルシング(医学博士、哲学博士、文学博士……以下省略”だよ。万能博士だ。)
翡翠「私の専門領域と重なっています。本当に素晴らしい先生です。」
女神「ちっ、私の出だしの台詞がバカみたいに聞こえるじゃないか...」
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桜「ねえ、聞こえた?背後のテーブル。」
翼「うん、出たね。ヴァン・ヘルシング。私、ああいうのに弱いかも。枯れ専体質。」
紬「お、いいな。私は美少年ショタ好きだからきれいに棲み分けができる。」
桜「バカなこと言ってないで、さっきの話をまとめるよ。原典通り、セワードの精神病院はパーフリートにある。…… ほら、地図を見て …… ここから30kmぐらい離れてる。もうロンドンじゃないね。その隣にドラキュラが購入したカーファックス。現在のやつの拠点だよ。」
翼「行ってみる?」
紬「ここからフェンチャーチストリート駅に行って、そこから鉄道だね。ん?フェンチャーチストリートまでもう地下鉄が通っているじゃない。すごいね、世紀末ロンドン。」
桜「何だよ、あの地下鉄!」
翼「ホントだよ!」
紬「蒸気機関車で地下鉄、煙モクモクで地獄だった。」
桜「電車が発明されるまで待てなかったのかね。」
翼「あんなのに毎日乗ってたら気管支やられてすぐ死ぬ!」
紬「そもそも外の空気も悪すぎでしょ。スモッグ公害だよ、この町は。」
桜「みんなすぐ死ぬ!ドラキュラも餌がなくなって滅びる!」
翼「ウェットティッシュで顔を拭いたらススで真っ黒になったよ。サイテー!」
紬「まあ...気を取り直してパーフリートまでの列車に乗ろう。あっちは郊外だけど...果たして空気はどんなだか?」
桜「うちらの常識だと、郊外にこそ工場が建ち並んでいそう。」
翼「げんなりだわ。健康を犠牲にしてまで富を蓄積したいのか?」
紬「人間の業の深さだねえ...」
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女神「ははは、激おこじゃん、あいつら。」
翡翠「私も留学当時は悩まされていたんですよ、スモッグ公害。公害という概念がありませんでしたから工場は煙を垂れ流し放題。」
青水「世界の工場だとか威張ってたけど、たしかに工場はあまり居心地の良い場所ではないな。たいてい労働者が悲惨な目に遭う。」
女神「お貴族様たちは田舎で優雅に狐狩り。」
翡翠「狩った狐、どうしてたんです?」
青水「皮を剥いでレディーに毛皮をプレゼントなんじゃね。肉は...知らんけど食えそうにないな。」
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桜「ここがカーファックスか。たしか十字路に建っているからそう名付けられたと原典には書いてあった。」
翼「自殺とか不吉な死を迎えた人は十字路に埋葬されたのね。」
紬「なんだかいかにも化け物が出そうな建物ね。」
桜「入るとネズミの大群に襲われるよ。小説に出てきた。」
翼「犬を投入して駆除したんだっけ、ダックスフント。」
紬「違う。ヨークシャーテリア。ヨーキーは親戚が飼ってるけど、もともとネズミ駆除用だから性格が荒いんだ。」
桜「この中に昼間はドラキュラが眠っている。」
翼「昼間でも出てきてピカデリーを闊歩できるけどね。」
紬「それなんだよね。映画とかでよく朝日を浴びて滅びる場面があるけど、この小説のドラキュラは太陽光を浴びても平気。」
桜「せっかく来たんだから二つ三つ木箱を壊して帰ろうか。」
翼「催涙グレネードを投げ入れてネズミを追い払い、ゴグルとマスクを装着して突入。スイスアーミーマスターツールでできるだけ木箱を破壊し、5分で離脱。」
紬「せっかく苦労してここまで来たんだから、嫌がらせぐらいはしてやらないとね。」
そのころアーサー・ホルムウッドの家を腰に大きなナイフを差した大柄の男性が訪れていた。
アーサー「やあ、クインシー!はるばるアメリカからようこそ!」
クインシー「君のお父上にはいろいろ世話になったからね、お見舞いぐらいはしておかないと後悔する。」
アーサー「ありがとう。親父はもう長くない。医者がそう言っていた。君と会えれば少しは元気になるだろう。」
クインシー「バーボンを持ってきたぜ。あとでスコッチと飲み比べよう。」
アーサー「ああ、しばらく泊まっていけるんだろ?」
クインシー「お世話になるよ。妹も来たがったけど、子どもが全部イギリスへ行ってしまうと親も困ると思って置いてきた。」
アーサー「最近ロンドンは少し物騒だからね、賢明な判断だったと思う。」
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女神「出た!寡黙な男クインシー・モリス、唯一のアメリカ人。アメリカ人読者はクインシーが出てくると“USA! USA!”のコールを三分間打つ。」
青水「なわけあるかい。」
女神「台詞が少ないのに良いところを持って行くやつなんだよなあ。そりゃファンが増えるわ。」
青水「まあ確かに....映画化されるとワイルドなイケメンの配役と決まってる。アメリカ人観客が一番多いからな。」
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それにしても、せっかく来たんだから嫌がらせ、これは彼女たちらしい潔さですね。5分で木箱をいくつ破壊できたのでしょう。




