ドラキュラと2回も戦闘しちゃった。ルーシーは守るわよ、絶対。たとえ尊厳が崩れても。
鋼鉄のが気に入ってしまった桜さん、鋼鉄のくノ一部隊はまあ良いでしょう。
桜「これでミナとルーシーに顔つなぎはできた。」
翼「うちらの介入としては、とりあえずルーシーを殺させないで良いかな?」
紬「それよ、それ。ルーシーがヴァンパイア化するとアーサーがルーシーを斬首&杭打ちという胸くそ悪いことになる。」
桜「すでにホイットビーで何度か吸血されることになるから、それをミナと協力して阻止しよう。」
翼「ミナは夢遊病状態のルーシーに気付いて追うのだけれど、あとわずかで間に合わない。武器がない。」
紬「ないなら渡せば良いんじゃない。」
桜「そうだね。大量に持ってきたウンコスプレーを渡しておこう。」
翼「ミナのキャラが壊れるけど、背に腹は代えられない....ん?背中と腹とどっちが大事なの?」
桜「腹に決まってるだろ。切腹って言うじゃないか。」
翼「だよね。あぶねー、間違えるところだった。」
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女神「あいつら、やりたい放題で楽しそうだな。」
青水「お年頃だし、ドラキュラはわりと弱いし。」
翡翠「そうなんですか?」
青水「作中でヴァン・ヘルシングが言ってるよ。力は人間の20倍だって。」
翡翠「20倍?けっこう強いじゃないですか。」
女神「私なら小指の先で勝てるな。」
青水「おまえはゴジラも倒せるから割り込むな。」
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ルーシーの体調が悪化した。病気ではないのだが睡眠時覚醒による体力消耗、つまり夢遊病だ。夜中にどこかに出かけて行くらしく、朝になると裸足が土で汚れている。ミナは放置できなくなって、ルーシーと同じ部屋で寝ることにした。
ミナ「今夜から同じ部屋で寝ます。あなたが起きてどこかに行くようなことがあれば追いかけて連れ戻しますね。」
ルーシー「ごめんね、ミナ。自分ではどうにもならないの。」
ミナ「大丈夫、私が付いているから。」
桜「そろそろ満月じゃない?」
翼「何か行動を起こしそう。」
紬「夜回りに行こうか?」
桜「くノ一衣装も乾いてるしね。」
翼「そして今回の新装備、暗視双眼鏡。夜でも敵を捕捉できる。」
桜「ふっふっふ、我ら鋼鉄の....」
紬「無理しなくて良いからね。」
桜「今のところ何も怪しいものは....」
翼「あるよ、ほら、あそこ。寝間着で歩く金髪の女...ルーシーさんだ。」
紬「歩き方が変。まるで浮かんでいるみたい。」
桜「放っておけないから行ってみよう。」
三人が近寄るとルーシーは高台のベンチに腰を下ろした。そしてその背後に黒い影...背の高い男のようだ。白い手をルーシーの肩にかけている。鋼鉄のくノ一部隊は大胆に距離を縮め、タクティカルライトで男の顔を照らした。この時代には存在しない3000ルーメンという強い照射光を3つも浴びて男は手で顔を覆って飛び退いた。そして獣のような気音を発し、大きなコウモリになって飛び去った。
この様子に気付いて下のほうからミナが駆け上がってきた。
ミナ「ルーシー!」
翼「魔物は逃げました。ルーシーは無事です。」
ミナ「あなたたちは...?」
桜「鋼鉄のくノ一部隊です。」
ミナ「One-of-Nine?」
紬「まあ、お気になさらず。異国のタクティカルユニットだとでも思ってください。」
ミナ「同じ部屋で寝ていたけれど、ちょっとうとうとした隙に窓から出て行ったのです。」
翼「仕方がありません。何らかの精神的リンクが形成されつつあるのでしょう。要するに操られている。」
紬「ミナさん、これを。いざというときはこれを魔物の顔に噴射してください。強い匂いが出て敵はひるみます。うまくヒットすれば逃げ出すかも知れません。少なくともこちらが逃げる隙は作れると思います。」
紬はミナにウンコスプレーを手渡した。バックファイアのリスクについては語らなかった。それをすると尊厳が減るような気がしたからだ。ルーシーはミナに任せて三人はホテルに戻った。
桜「2回もバトルしちゃった。敵も何か対策を考えるかも。」
翼「ドラキュラの能力はね、小説内の記述から抜き出したんだけど、人間の20倍の力。重力に支配されないので壁も歩ける。狼とコウモリ、そして霧にも変身できる。扉を閉めても進入可能。驚異的な再生能力。弱点は、聖水と聖餅、ニンニク、初めての家に入るには招待される必要がある。故郷の土にときどき埋葬される必要がある。」
紬「原典では、ロンドンでトランシルヴァニアから持ち込んだ土を廃棄する大々的な作戦でドラキュラを追い込んだ。土は今、デメテル号から運び出してこのホイットビーにあるはず。」
桜「うちらはキリスト教徒じゃないから、聖餅や聖水はあまり頼れないかもしれない。」
翼「まだ投入していない武器は超音波ブザーだけか。少し戦力不足を感じるな。」
紬「でもさ、戦うのは私たちだけじゃないよ。これから場所をロンドンに移して、アーサー、セワード、クインシー、そしてヴァン・ヘルシングがドラキュラと戦ってくれる。私たちは陰から少しお手伝いすれば良いんだよ。」
翌日、ミナの元に電報が転送されてきた。ジョナサンの無事を知らせるハンガリーの修道女からだった。ミナは狂喜乱舞した。ジョナサンのことはルーシーにも語らず自分ひとりで抱え込んできた。ルーシーの幸せに陰を落としたくなかったからだ。今なら、フィアンセという同じ境遇でルーシーにこの喜びを伝えることができる。ジョナサンはブダペストの修道会病院にいるらしい。
ミナ「聞いて、ルーシー!ジョナサンが....ジョナサンの無事が確認できたの。」
ルーシー「まあ、ジョナサンがどこかに行ってたなんて知らなかったわ。」
ミナ「大事な仕事でトランシルヴァニアへ行ってたのよ。そして今、ブダペストにいるんですって。」
ルーシー「すぐ迎えに行くと良いわ。荷物を軽くしてすぐに発ちなさい。残りの荷物は私が預かってロンドンの実家に送っておきます。」
ミナ「ありがとう、ルーシー。一刻もグズグズしていられないわ。」
ルーシー「あなたがここを発つなら、私と母もロンドンへ帰ります。ロンドンであなたとジョナサンを待ってるわ。」
その日のうちにミナは荷物をまとめ、列車でホイットビーの北にある港町キングストン・アポン・ハルへ向かい、そこから定期船に乗ってオストエンデに渡った。オストエンデからウィーンまで急行列車に乗って夜を越え、翌日にウィーン到着。そこからブダペストまでは当時でも半日で到着できた。
ミナ「ジョナサン!」
修道女「ミナさんですね。彼は今眠っています。」
ミナ「ジョナサンは...無事なのですね。」
修道女「私が電報を打った修道女アガサです。彼は弱ってはいますが命に別状はありません。」
ミナ「彼はどんなふうにしてここにたどり着いたのですか?」
アガサ「クラウゼンブルクから列車でブダペストまでたどり着き、疲労と精神的混乱で倒れていたところを救助されてこの修道会病院に運び込まれました。」
ミナ「まあ...何てこと...」
アガサ「彼が目を覚ましたらお知らせしますから、どうかこの部屋でお待ちください。」
ミナ「わかりました。お願いします。」
ここでホイットビー編はお終いです。次回から舞台をロンドンに移して本格的なドラキュラとの対決が始まります。あ、でもその前に金策しなくっちゃ。当時のロンドンは――今でもかなり――物価がお高いのです。




