物語の概要は掴んだ、さてどう打って出るか、いや考えるより前に動いちゃったよ
椿姫のときに使った馬車はクーペ、今回のは大型2頭立てのベルリーヌです。御者にミルキーは良い気遣い。
桜「それじゃ紬、コンシェルジュに馬車の手配を頼んで。」
紬「ウィ、マドモワゼル。」
翼「椿姫のときはちょっとだけの街乗りだったのでクーペでOKだったけど、今度は本格的な移動なので大きめのにして。」
紬はつたないフランス語とアプリを使って2頭立てのベルリーヌを手配してもらった。対座の6人掛けシートがある。
紬「パリ郊外のシニー村の教会までお願い。」
御者「ウィ、メドモワゼル!」
翼「ロングのワンピだけど、あのクリノリンドレスじゃないから馬車の中でも快適ね。」
桜「あれはマジで地獄だった。あんな衣装を考案するなんて女の身体を何だと思っていたんだ?」
紬「椅子にまともに腰掛けられない.....そして....」
桜「どうした?顔を赤らめて口ごもって。」
紬「トイレに入れなかった....クスン....」
翼「それな。当時の女たちはどうしていたんだろ?いや、現代の舞台女優やオペラの人たちも....想像したら可笑しくてちょっとほろ苦い。」
シニー村の教会に到着した。ニワトリが数匹、地面をついばんでいた。司祭館は隣に併設されており、かなり年季が入っている。老犬が口を開け舌を出して出迎えてくれた。扉を叩くと年季の入った家政婦が出てきた。
紬「ボンジュール!」
家政婦「ボンジュール、メドモワゼル。Qu’est-ce qu’il y a?(どうなさいました?)」
紬「ロミュアルド司祭はお元気かなと思いまして。」
家政婦「はい、そうですね。病気ではありませんが、物思いに沈むことが多いようです。やはりこのようなへんぴな場所にいるとパリが恋しくなるのでしょうか。」
翼「若い女の人が訪ねてくることは?」
家政婦「それはありません。司祭館に訪ねてくるなんて...そういえばお嬢様がたも若い女性ですね。あまり良くありませんよ、司祭館に押し寄せるのは。」
桜「それは失礼しました。すぐさま退散します。あ、そうそう、これはお近づきの印です。ポッキーというチョコレートでコーティングしたビスケットのような棒です。良かったら食べてくださいね。えーと...お名前を教えてもらっても良いですか?」
家政婦「まあありがとう。バルバラです、家政婦のバルバラ。」
桜「それではバルバラ、オルヴォワール!」
紬「御者さん、お待たせ。はいこれ、運転しながら食べてね。」
紬は御者にミルキーを5個差し出した。
御者「メルシー!メルシー、ボークー!」
桜「次の行き先はパリのコンシーニ侯爵の館よ。」
御者「あそこはずいぶん前からほぼ廃墟になっているので入れるかどうか。」
桜「行けるところまでで良いわ。」
御者「わかりました、お嬢様。」
シニー村から馬車に揺られて1時間。パリ中心部からかなり離れた丘陵部にその館はあった。館と町の間に谷川があり、馬車はその上に架かる橋を進む。橋の先は車止めになっていて、そこから幅広い階段が建物に続いていた。
桜「これ不便なんじゃないの?あの地獄のドレスでここを登っていたの?」
翼「中庭から建物に横付けできるはずだよ。ヴィオレッタの家でもそうなってたじゃん。みんな馬車で来て、中庭に停めて馬車はそこで待機。」
紬「あっちだよ、ほら、中庭に通じていそうな門がある。だけど扉が閉まっているから通れないね。」
桜「本当に廃墟って感じ。ここにロミュアルドくんは毎晩通うの?」
翼「そこがヴァンパイアの世界なんじゃないの?クラリモンドがいれば館も命を吹き返す。」
紬「なるほど、ほとんど霊体だけど、実体化している間は豪華なドレスを着ていて、エーテル化すると裸になる。」
桜「裸と言ってもエーテルだからね、ぼんやり青光りでエッチなところは見えないよ。」
紬「私たちも転移のときにヌードになっても大丈夫か。」
翼「出現先で痴女になるけどな。」
桜「ダメ元で建物まで行ってみよう。念のためにタクティカルライトを構えて。」
翼「うーん、鍵がかかっていてどこからも入れない。ご主人様のクラリモンドが来ないと誰も受け入れてくれない仕組みみたい。」
桜「ここにキャンプを張って夜を待とう。たぶんロミュアルドくんは今夜ここに連れてこられる。そうすれば館も息を吹き返すはず。」
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女神「あいつら、場数を踏んでどんどん大胆になって行くな。」
翡翠「怖くないのでしょうか?」
女神「こういうのって麻痺するって言うからな。」
青水「あ、あいつら火を起こして飯の用意を始めたぞ。」
女神「廃墟飯....なんか流行りそうなネーミング。」
翡翠「流行らせないでください。迷惑以外の何ものでもありません。」
女神「2026年夏の若者トレンド廃墟飯...津々浦々の廃墟に出かけてできるだけ映える飯を作って動画を投稿。」
翡翠「だから止めなさいってば!」
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シニー村の司祭館でロミュアルドは就寝前の祈りを捧げ、床につこうとしていた。するとそのとき入り口のほうから大きな物音が聞こえ、バルバラが対応している様子がうかがえた。ロミュアルドはガウンを羽織って出てみると、屈強そうな男がバルバラに何やら強い調子で訴えていた。
男「だから、時間が遅いのはわかってる。だが主が息を引き取りそうなんだ。司祭様の終油の儀式が必要なんだよ。」
ロミュアルド「どなたか天に召されそうなのですか?」
男「そうだ。あんたが司祭様か?頼む、一緒に来てくれ。女主人の命が尽きようとしている。」
ロミュアルド「わかりました。用意をしますので少しお待ちを。」
ロミュアルドが終油の秘蹟を行うための道具を用意して司祭館の出口を出ると、2頭の巨大な――一見するとふつうではない――馬にひかれた黒い馬車が停まっていた。馬は今にも駆け出しそうな様子で足を鳴らしていたが、男は御者台で器用に馬を操っていた。
男「司祭様...こいつらも女主人が死にそうなので気が立っている。揺れるかも知れないのでしっかり掴まっていてくれ。」
ロミュアルド「わかった。遠慮なく進めてくれたまえ。」
馬車は嵐のように走り始めた。
廃墟飯を敢行するJK旅団。高価なスイーツの一泊をふいにしても任務に当たるけなげさは女神の心に刺さるのでしょうか。そしてまたもや絶倫アイテムを褒美として取らせることになるのでしょうか。




