カーミラ、ミルカラ、ミラルカ、全部まとめて成敗よ
カーミラ相手に荒事?うーん、ふつうの女子高生には荷が重いかな?
廃墟に到着すると、戦闘音が聞こえた。駆けつけると、カーミラと老騎士が戦っている。老騎士は歴戦の勇者らしく、パワーファイター系の高レベル戦士、斧を振り回してカーミラに挑む。
紬「あれ、シュピールスドルフ将軍だよ!」
ローラ父「確かに!我が友シュピールドルフ将軍に間違いない!」
将軍「このあやかしめ、ベルタの仇だ!」
カーミラ「ふん、老いぼれの斧など当たるものか!」
ローラ父「将軍、助太刀いたす!」
将軍「おお、我が友よ!」
カーミラ「ちっ!邪魔が入ったか...」
桜「逃がさないよ、ヴァンパイア!」
JK対魔旅団の3人はニンニク水と聖水が入ったシリンジを構えた。
桜「撃てっ!」
ヴァンパイアに効果があると思われた液体が噴霧されたが、カーミラは平気だった。ローラ父はライフルの引き鉄を弾いた。銃弾は確かにカーミラに命中したように見えたが、やはり何の効果もなかった。
カーミラ「愚か者め。夜になったら引き裂いてくれる!」
カーミラは巨大な黒猫になってその場から立ち去った。
ローラ父は将軍に駆け寄った。
ローラ父「将軍、何があったのです?」
将軍「我が姪ベルタの仇だ。あの女、いやあの魔物ミラルカはベルタに死をもたらした。」
ローラ父「ミラルカ?カーミラでは?」
将軍「やつはミラルカと名乗り、我が家に入り込み、ベルタに取り入り、そしてその血と命をを奪ったのだ。」
紬「そうです、またもアナグラムです。Carmilla, Mircalla, Millarca....名前を使い分けて犯行を繰り返している。」
将軍「何?やつは君のところにも現れたのか?」
ローラ父「はい。そしてローラに近づいた。この異国のお嬢様たちがそれを見抜いて討伐に協力してくれているのです。」
将軍「何と....恐ろしい話だ。」
ローラ父「さきほどこのお嬢さんが言ったように、あの魔物の本名はミルカラ、カルンシュタイン家の女で17世紀に死んで不死者になったようです。私たちは彼女の墓所を探して、しかるべき処置を施さなければなりません。」
将軍「墓所は城の礼拝堂に近くにあるのがふつうだが、こう荒廃していてはどこに何があったのか見分けるのは難しそうだ。」
そのとき一行に声をかけた男がいた。どうやらこの付近の領主の使用人のようだった。
使用人「旦那方、そんなところで何をしてらっしゃる?この付近は魔物や狼が出るので危険ですよ。」
ローラ父「君は?」
使用人「私はこの界隈の森の管理を任されている者です。」
ローラ父「君の主は?」
森林管理人「フォルデンブルク男爵です。」
ローラ父「この廃墟も領地なのか?」
森林管理人「いえ、領地はあっちの西の森の向こうです。ここは主のゆかりの地なので時折見回りに来てるのです。」
紬「フォルデンブルク男爵....キーパーソンです。事情を知っているはずです。」
ローラ父「この遺跡に礼拝堂や墓所はないのか?」
森林管理人「あったらしいのですが、主のご先祖が場所を移したそうで、私にはわかりません。」
ローラ父「そのフォルデンブルク男爵にお目通りは叶うだろうか?」
森林管理人「はい、ご案内いたします。」
一行は管理人に連れられ馬で30分ほど先にある小さな城に着いた。
管理人「ここが主の城です。お待ちください、今呼んできます。」
桜「いよいよ事件の真相に迫りそう。」
翼「男爵が墓所の場所を知っているはず。」
ローラ父「君たちはなぜそれを?」
桜「私たち、物語を読んで知ってるのです。」
男爵「これはこれは、我があばら屋へ。ここに人が訪ねてくるとは珍しい。私がフォルデンブルク男爵です。」
ローラ父「あなたはカルンシュタイン家とどのような関係が?」
男爵「ここで立ち話もなんですからどうぞ中へ。」
一行は質素な応接間に通された。
男爵「私の先祖はカルンシュタイン家の姫と恋仲だったのです。」
ローラ父「何と...で、その姫の名は?」
男爵「ミルカラ・フォン・カルンシュタイン...ですが魔物の手にかかって殺されました。」
将軍「その魔物は...ヴァンパイアですか?」
男爵「そうです。我が先祖はヴァンパイアを探し出し、死闘の末にこれを討ちました。首を切り落とし、心臓に杭を打って滅したのです。」
ローラ父「ミルカラは...ミルカラの遺体は?」
男爵「カルンシュタイン家の墓所に安置されました。だがやがて、下手人はヴァンパイアだったという噂が立ち始めたのです。村人たちは騒ぎ始めました。遺体を渡せ、と。我が先祖は....恋人の遺体を渡すことに我慢がならず....盗み出して隠したのです。」
ローラ父「その隠し場所は?」
男爵「我が男爵家の領地に小さな霊廟を建ててそこに安置しました。入り口を岩で塞ぎ、周囲に茨を植え、世間から隠したのです。」
ローラ父「あなたはその場所を知っていますか?」
男爵「はい。茨をかき分け中へ入ったことはありませんが。」
ローラ父「ミルカラがヴァンパイアとして跋扈しているのです。放置することはできません。私たちをそこへ案内してください。」
男爵「わかりました。私もずっと気にはしていたのです。ヴァンパイアに殺されればヴァンパイアに転生する、そう語り継がれてきましたからね。行きましょう。」
男爵は皆を連れて森の奥の霊廟がある場所に案内した。鬱蒼とした茨に囲まれ、荒れ果てて苔むした霊廟が現れた。将軍は大きな斧を振るって茨を刈り取り、霊廟の入り口までの通路を確保した。入り口は、男爵が言ったとおり、岩で封印されていた。
男爵「このままでは入れませんね。下男たちを呼んで岩をどかします。」
下男たちがツルハシを持って駆けつけ、封印が解かれ、霊廟の入り口が顔を出した。
桜「いよいよご対面ね。きっとグロいわよ。」
翼「私、見たくないな。Guts and blood。」
紬「ここは物語の登場人物たちに任せて私たちは離れていようよ。夢に出てきそう。」
桜「だね。うちらが手を出せることではないし。」
霊廟の中に棺があり、蓋が半分ずれていた。蓋を開けるとカッと目を見開いた状態のミルカラが横たわっていた。口の周りには鮮血が付いている。ローラ父と将軍と男爵は十字を切ってからその首を切り落とし、胸に杭を打ち付けた。恐ろしい断末魔の声。呪詛の言葉。ミルカラは滅んだ。
桜「終わりましたか?」
ローラ父「ああ....終わった。」
男爵「あとは聖職者を呼んで正しいやり方で葬ってもらいましょう。」
紬「これで長い呪いも消えたのね。ローラももう悪夢に悩まされることはないでしょう。」
翼「でもかすかな思い出はずっと残ると思う...それは悪夢ではなくて切ない恋の記憶。」
桜「あ、そろそろ来そうよ。」
紬「皆の前でアストラル体になると気まずいからこっそり離れよう。」
ということで、原作に即して無事に討伐を済ませました。今回、JK旅団――任務によっていろいろ名前が変わりますが――にとって最も過酷だったのは、森の大きなお花摘みだったかもしれません。




