お城に招かれて、JKなのに大人のおもてなし、そしてカーミラがやって来る
このシリーズで初めてのゴシックホラーの世界。怖がらないですね、こいつら。口では怖いといいつつも半笑いですね。
桜「いやー、簡単に入れてもらっちゃったけど、これが何の物語なのかわからん。」
翼「おもてなしが大人対応。良いの、またお酒飲んじゃって?」
桜「ヨーロッパだからこれがふつうなんだろ。酔っ払わなければOK。紬...酔っ払わなければだからな。」
紬「大丈夫だよ、もう....たぶん。」
翼「キーワードを入れていくよ。…… Steiermark Castle Laura …… ダメだ、雑多な情報ばかり…… ん?」
紬「どうした?」
翼「AIによる概要で、”Riegersburg Castle (リーガースブルク城): 19世紀の吸血鬼文学『カーミラ』(Carmilla) の関連情報の中で、「ローラ(Laura)の城」として言及されることがあります。シュタイアーマルク州にある象徴的な城です。”だって。」
桜「それだ、きっと。」
紬「ヴァンパイヤか...どれどれ.....あった!シェリダン・レ・ファニュの『カーミラ』。」
桜「これからやって来るよ、カーミラ。」
翼「ニンニクとか十字架とか....何も書いてないから弱点じゃないっぽい。」
紬「ヴァンパイアって息してるのかな?」
桜「は?基本は死体なんだから呼吸はしてないのでは?」
紬「だったら催涙スプレーが効かない。」
翼「ふーむ、それはありうるね。」
そんな話をしていると表が騒がしくなった。ガツンという衝突音、人々の動揺、大声...
桜「来たかな。」
翼「行ってみよう。」
表に出てみると馬車が大木に衝突して横転していた。近くの植え込みに助け出された乗客が2人、毛布を掛けられて座っていた。中年の女性とJKトリオぐらいの年齢の少女だった。怪我はしていないようで、ローラ父と何やら話し込んでいる。
ローラ父「馬車は無事のようですが、うちに泊まって休んでいかれては?」
中年女「そういうわけには参りません。急ぎの用事があるのです。」
ローラの父「ならばせめて娘さんだけでも家に預けてください。家庭教師が2人いますし、年齢が近い娘もいる。それに異国の娘さんも3人泊まっているのです。」
女性は顔色が青白い以外は非常に美しく、そのたたずまいは威厳があったので、高貴な立場であることが見て取れた。
ローラ「ねえ、お願い。うちに預からせて。きっと楽しいわ。」
女性はしばし逡巡していたが、自分の娘が気を失っているのでどうすることもできず、提案を受け入れた。
中年女「では1ヶ月後に引き取りに来ます。」
女性はそう言い残すと、馬車に乗り込み猛スピードで走り去った。
桜「あの人、人間じゃないのかも。」
翼「カーミラを運ぶ使い魔か何かかな?」
紬「うちらぐらいの年格好の娘が単独で旅をするのは不自然だからね。」
桜「今夜からカーミラと同居するJK旅団なのだった。」
翼「効かないとわかっていても十字架ぐらい持ってくれば良かったかな。」
桜「ふっふっふ、こんなこともあろうかと....ジャーン!クロスペンダント!」
翼「え、どうしたの、それ?」
桜「だから、アニメでお馴染みの”こんなこともあろうかと”だよ。学校帰りに3人分買っておいた。たいした値段じゃないので気にしなくて良いよ。」
紬「さすが我らがリーダー、先見の明に感服いたす。」
桜「効くかどうかわからないけどね。そんなことより、今晩から速読で”カーミラ”を読むよ。アマゾンにKindleで入ってる。プライムならタダで読み放題。」
紬「任せなさい。現国の速読だけは誰にも負けない。このスキルはほぼ生得的なものなので、受験で大きなアドヴァンテージになるのだ。」
翼「物語を先回りできれば勝利は目前。」
桜「ふっふっふ....」
紬「ひっひっひ....」
翼「ふわーっはっはっは!」
3人がペンダントを着用して城に戻ると、不安そうな顔のローラがいた。
ローラ「あら、みんなおそろいのクロスペンダントを付けているのね。キリスト教徒なの?」
紬「えーと....ちょっとキリスト教徒っぽいかも知れないかな...」
ローラ「え?ちょっとってあるの?」
翼「うちらの国はとても便利で、ちょっともあるのよ。好きなだけキリスト教徒になれるの。」
ローラ「まあ...何というか....とても便利だわ。」
桜「私たち、調べ物があるのでまた明日ね。」
翼「おやすみ、ローラ。」
紬「ローラもクロスペンダントを付けてたね。」
桜「しばらく攻撃は来ないと思うから、保護はまだいらないわね。読書を頑張ろう。」
翼「カーミラはまだ気絶しているのかな?」
紬「気絶している振りだね。そして城内の情勢を探っている。」
桜「ヴァンパイアは鍵のかかった扉もすり抜けられるからやりたい放題だ。」
紬「寝るときはベッドに武器を持ち込もう。」
桜「寝返り打って自分が感電。」
翼「セイフティロックは確実に。」
部屋に戻ろうとしたら、廊下で2人の女性に出会った。家庭教師のマダム・ペロドンとマドモワゼル・ド・ラフォンテーヌだった。マダム・ペロドンは少しふくよかで家庭的な女性で主にローラの生活マナーを担当している。マドモワゼル・ラ・フォンテーヌはスイス人で父親がドイツ人、ローラのフランス語とドイツ語を担当しているが、文学や心理学にも詳しいらしい。
ラ・フォンテーヌ「あら、異国のお嬢様。明日にでもお国の話を聞かせてくださいな。見知らぬ国の話にとても興味がありますの。」
ペロドン「お腹が空いたら台所にいつもクッキーを用意してますから遠慮しないで食べてくださいね。」
桜「ありがとうございます。このお城、大きいので迷子になりそう。」
紬「なのでマッピングしながら歩いてるんですよ。」
ラ・フォンテーヌ「まあ、マッピングですって?意味は何となくわかるけれど、初めて耳にしたかも知れません。」
紬「オートマッピングが実装されていれば楽なんですけどね。でも地道に手作業というのもレトロゲームみたいで味わい深い。」
ラ・フォンテーヌ「(……?)え、ええ、そうですわね...」
桜「あの2人は襲われないので大丈夫。」
翼「カーミラが狙うのは若い少女。うちらもターゲットになりうる。」
紬「うわあ、眷属にされたらイヤだなあ。でも永遠の若さが手に入る...」
桜「おい、そこっ!変な欲望を芽吹かすな!」
まず原典を読破、これは正しい。クロスペンだとが役立つかどうかは微妙...だけど、たぶんないよりはマシ。better than nothig でしょう。




