ムーンレイスとの戦争?絶対無理だから!頂きかぐやちゃんにはメントスあげるね
かぐや姫案件ですね。まずは犠牲者となる5人の公家さんを何とかしないと。
わなわなと唇を噛みながら家来に命じて金子を用意させ、それを職人たちに投げつけると、皇子は牛車に乗り込もうとした。
桜「皇子はん、ちょっとここで待っててくれへん?うちら、かぐやはんに話を聞いてくるさかい。」
翼「何やらもっと闇が深そうな話に見えるので少し探ってくるわ。」
紬「皇子はんもこのまま帰るよかそのほうが良いでっしゃろ?」
皇子「お、おう。おまえらけったいなかっこしとるのお。ええで、待っとるから話聞いて来いや。」
桜「(……さっきのかぐや姫、ふつうに標準語しゃべってたよね……)こんにちは!」
かぐや「どなたです?」
翼「旅芸人です。」
紬「芸を披露しながら各地で面白い話を集めるのが仕事です。」
桜「集まったら童話集を作るのです。」
かぐや「まあ、楽しそう。」
桜「ちょっとお話よろしいですか?」
かぐや「ええ、かまわなくってよ。」
桜「さっきの皇子、本当はそもそも好みじゃないのでしょ?」
かぐや「そうね、たいていの殿方はみんな嫌い。」
翼「たいていのというと、他にもいろいろいるのね?」
かぐや「はい、さっきの車持皇子の他に、石作皇子、右大臣阿倍御主人、大納言大伴御行、中納言石上麻呂で、全部足して5人です。」
翼「で、全員に無理難題を吹っかけたと?」
かぐや「はい、諦めてもらおうと思いまして。」
桜「それはあまり良い手じゃないわね。無理難題を突きつけられるとかえって奮い立つ男ってけっこう多いのよ。」
翼「そうそう、命を賭けるという言葉に酔いしれやすい。」
紬「それで実際に死んじゃうこともあるし。かぐやさん、いまの5人が無理難題に挑んで死んだら心が痛む?」
かぐや「どうでしょう?何も感じないかも知れません。」
紬「出た、グラスドール宣言!」
かぐや「は?何ですか、それは?」
紬「いや、気にしなくて良いから。」
翼「えーと、私の未来予測によると、車持皇子は、恥じて山に籠もって出てこなくなり、玉にかけた『たまさかる』というダジャレとともに生死不明になり、右大臣阿倍御主人は、火にくべても燃えない火鼠の皮衣を求められましたが、大枚をはたいて唐の商人から買った偽物をかぐや姫が火にくべたら燃えてしまいました。『皮は火にくべて焼きたりしかば、めらめらと焼けにしかば、かぐや姫、逢ひたまわず』となりまして、『あへなし』という言葉とともに離脱です。古文のダジャレ発生装置ですね。石作皇子も仏の御石の鉢を求められて偽物を差し出し、バレて鉢を捨てて帰りました。やはり鉢と恥のダジャレだけが残りました。受験生には便利な物語です。大納言大伴御行は龍の首の玉を取ってこいと言われます。自ら海に出て船酔いでゲロを吐きながら頑張りましたが遭難して病に倒れます。さすがにこの方は怒って、『かぐや姫てふ大盗人の奴が、人を殺さむとするなりけり』とおっしゃっていたそうです。逆ギレですが死ななくて良かったですね。最後は中納言石上麻呂。燕が産卵時に落とすという子安貝を探すよう命じられました。自ら挑んで燕の巣にアクセスできましたが、燕の子安貝ではなくて燕の糞を掴んで落下し、重傷を負いました。このときも『かいなし』と『かいあり』のダジャレを残し、中納言はお亡くなりになりました。」
紬「なかなかに壮絶な...」
桜「しかしかぐやは顔色ひとつ変えないのだった。」
かぐや「だって私のせいじゃないもの。みんな勝手にやって勝手にくたばったんだわ。」
桜「サイコパスかぐや。」
かぐや「何ですって?」
桜「サイコロを上手に転がすかぐやさんという褒め言葉です、おほほほほ。」
翼「それではそろそろお暇しましょう。」
桜「やべえ、あいつやべえやつだ。」
翼「地球人じゃないからね、そりゃそうよ。」
紬「とりあえず被害者を出さないことが大事。おっさんに報告しよう。」
皇子「お、戻ってきたな、旅芸人。どうやった?」
桜「皇子はんのほかに4人、たいそうな身分の公家様が無理難題に挑まされておりますで。」
翼「うちの占いによれば、ひとりは崖から落ちて死亡、他にも行方不明とか大病を患うとか。皇子はんも山中に引きこもって行方知れずになるようですわ。」
紬「なので早急に5人で集まって対策会議を開くべき。」
3人は皇子に他の公家の情報を渡し、使者を送って皇子の館で対策会議を行うことになった。
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女神「良い、実に良い。てきぱきと上手いこと処理している。三人三様に良い。シナジー効果が出ておる。」
翡翠「あまり触れたくないので黙っていましたが、女神様、桜さんに褒美として渡したアンブローシア饅頭....」
女神「ふふふ、気付いたか、翡翠。ああそうだよ。おまえの身体を火照らせたあのアンブローシアを饅頭に加工したものだ。ネクタル飴も似たような効果だが、こっちは翡翠もその身で体験したようにすごいぞ。」
翡翠「な、なんということを...」
女神「アフロディーテが作ってくれるんだよ。あいつ、今では私の子分みたいなものだからな。」
青水「オリンポス12神の一柱である美の女神を子分にするとは...」
女神「美の試練だと言って梅干しを大量に食べさせたら口がすぼまってひょっとこみたいになったので大爆笑だ。」
翡翠&青水「・・・・・・・・・・・」
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翼「車持の皇子はん、占いの責任者であるうちが議長を務めさせていただきます。よろしいか?」
皇子「おう、かまわぬ。進めてくれ。」
翼「皆さん初めまして。旅芸人の翼と申します。口で説明するより、皆さんがかぐやに命じられた無理難題とその対処について文字で整理してきました。ご一読ください。」
艱難辛苦とその末路についてのレポートを読み終えた公家たちは青ざめ、そして怒りで顔が紅潮した。
右大臣阿倍御主人「何が“あへなし”だ。ふざけおって!」
大納言大伴御行「死ぬほどの目に遭わされるのか...許せん!」
中納言石上麻呂「麻呂は死んでしまうではないか!とんでもない!」
石作皇子「仏の御石の鉢を求められて偽物を差し出してバレただと?そして鉢と恥のダジャレが残る。人をバカにしやがって!」
車持皇子「そして麻呂は山中に引きこもって行方知れずだ。死ぬのかも知れん。」
大納言「かぐや姫、捨て置けん!」
中納言「かぐや姫、討つべし!」
翼「皆さん、ちょっとお待ちを。お怒りは理解しますが、今ここでかぐや姫に手を出すと厄介なことになりますよ。実は帝もかぐや姫を狙っているのです。近く直々に出向いて口説くつもりです。」
公家たち「何と、帝が!」
翼「なので、怒りはとりあえず収めて、後はうちらに任せてもらえまへんか?旦那はんたちも今ここで手を引けば何も失わずに平穏にくらせまっせ。」
大納言「わかった。帝と対立するわけにはいかへん。皆もええな?」
公家たち「そうしよう。」
翼「では閉会とします。」
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女神「見事だ、翼!次のMVPに決めた!」
翡翠「また危険な褒美を渡すのですね。」
女神「ふん、青い果実が熟し始める手伝いだ。悪くないだろ。」
翡翠「まあ良いです。私じゃありませんから。」
青水「翡翠よ、おまえは帝とかぐやの関係をどう料理したんだ?」
翡翠「ディズニー風に。」
女神「な、何だと!」
翡翠「星空デートですよ。一緒になれない2人のきれいな思い出作り。女性読者は大喜び。」
女神「何かいつものおまえとテイストが違いすぎるな。」
翡翠「私だって二十歳の女子ですからね、たまにはそういうこともしたくなるのです。」
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桜「さて、おじさんたちは無事に諦めて去ってくれた。」
翼「これで死人は出ない。」
紬「次はラスボスの帝だよ。」
桜「さすがに帝に無理難題は言わないよね。どうなるの、翼?」
翼「帝が強引にプロポーズしようと遣いを送るが義両親に阻まれて拒否。だまし討ちのように突入したら天女の姿で人間じゃないから諦めろと言われる。」
紬「ついに宇宙人をカミングアウトか。異星人じゃ仕方ないな。諦めるしかない。」
翼「だが帝は諦めなかった。むしろ燃え上がった。」
紬「え?だって身体のつくりが違うよ。エッチできないと思うよ。だよね、桜?」
桜「私に振らないでよ。知らないわよ。」
翼「帝はそんなことは意に介さず、軍の布陣を敷いて月人の来襲に備える。」
紬「宇宙戦争?無理だよ、そんなの。大気圏外から地球へやってくる科学力、たぶんアメリカ軍でも勝てないよ。」
翼「物理力以外にもいろいろと制御できるみたいで、矢を射かけるにしても戦意が萎える。」
紬「ムーンレイスの科学力だね。」
桜「何だ、そのムーンレイスって?」
紬「ターンエーガンダムに出てくる月の民。」
翼「おまえ、無駄な知識が多いな。」
紬「パパのコレクションでガンダムシリーズをすべて制覇したけど、無駄にはならないと思うよ。就職してから真価を発揮する。各世代のガンダムおじさんと話が通じるのでいろいろと有利。」
桜「なるほど、説得力がある。少なくともマーヴェルを制覇するよりコスパが良い。」
翼「そんなことより帝対策だよ。そんな超科学力の月の民と戦っちゃダメだよ。」
桜「でも帝って天皇だろ?説得なんてできないよ。」
翼「原典では、かぐやと帝は3年も文通してたらしいので、お互いに憎からぬという感情があったことになってるよ。やっぱ天皇が一発で振られる話にはできなかったんだよ。」
紬「だったらかぐや姫から上手に別れるように仕向ければ良いじゃん。どうせ一緒にはなれないんだし。最後に1回エッチして思い出作りしましょうとか言って。」
桜「それは最悪の一手。それで男はストーカーになる。」
紬「それは人間の女相手の場合。ムーンレイスならきっとムフフな方法で執着を抜き取ることができるに違いない、うん、きっとそうだ!」
翼「確信のない話になぜそれだけ熱く入れ込める。」
紬「確信はある。しかし18禁になるのでその方法は言えん。」
翼「まあ、方法はともかく、その方向でかぐや姫に一肌脱いでもらいましょう。」
紬「いや、一肌だけではね。」
翼「ともかく...紬が出てくるといろいろ厄介なことになるので、かぐや姫との折衝は占い師である私に任せて。」
桜&紬「OK!」
翼「かぐやさん!」
かぐや「あら、あなたは...」
翼「帝と仲良く文通してるんですって?」
かぐや「はい、そのくらいの関係が重くなくて良いですね。いつでも切れるし。」
翼「(……こいつ、色恋営業のキャバ嬢かよ……)楽しいのが一番ですね。」
かぐや「ちょっとおねだりすれば何でも送ってくれるんですよ。」
翼「(……頂き女子○○ちゃんかよ、サイテーだな……)そりゃかぐやちゃん、かわいいもの。」
かぐや「かわいいは正義っていつも帝が言ってくれるの。」
翼「(……日本国民の血税がこの腐れ女に流れ込む……)あははは、だよねー。」
かぐや「でも私、そろそろ月に帰らなくっちゃいけないかなーって。」
翼「それよ、それ!やっぱり生まれた星に戻るのがベスト。地球環境で病原菌が入り込むかもしれないし。」
かぐや「ああ、それは大丈夫。この羽衣に着替えたら地球の穢れはもう無力だから。だからこうやってあなたの前に立ってもあなたの呼気に含まれるバイ菌は入ってこないのよ。」
翼「(……てめえっ!バイ菌と抜かしたか?さすがの私も切れるぞ。桜だったらすでにグーパンチ3発案件だ……)あはははは、それは良かったねえ。ところでかぐやさんよ、あんたはいつまで帝の寵愛を引っ張るつもりだ?」
かぐや「え、引っ張ってませんけど。」
翼「気がある振りを注ぎ込んだ短歌を次から次に送り届けてるだろ。その気もないのにそういうことする女って痛いしっぺ返しを食らうからな。いや、私が食らわしてやるよ。口開けな。ほれ、大量のメントスだ。コーラがなくて残念だが、平安の女にはこれだけで良く効くだろう。」
かぐや「いやん、お口の中がパチパチして痛い!」
翼「帝の心はもっとパチパチして痛いんだ。少しはわきまえろ!」
かぐや「ふひ~、助けてくださ~い!」
翼「そのうち溶けるからがまんしな。そして約束するんだ。帝に真実を告げる手紙を書くこと。自分は人間とは身体も心も全く違う異星人なので恋愛など無理だということ。月にはそもそも恋愛という文化がない、配偶はすべて生まれた直後の遺伝子適合性で決められるということ。帝があまりにも優しいのでつい調子に乗って頂き女子をしてきたことも謝罪しろ。わかったか?言うことを聞かないとその口にコーラを注ぎ込むぞ。」
かぐや「う゛ぁかりう゛ぁした~!」
翼「良し、これで終わりだ。相手が私で良かったな。桜はもちろんのこと、紬でもすごくエグいことをされたぞ、きっと。18禁方向で。」
桜「おーい、翼~!」
紬「転移の気配を感じるよ~!」
翼「あ、うん、わかった。こっちは解決だ。今行く!」
いつもは穏健な翼さんもブチ切れました。目の前でバイ菌呼ばわりされたしね。次回からは転移するときコーラも常備したほうが良いかな?




