お岩さんを助けよう、だけどお岩さんは登場しないよ
お岩さんの話にもたくさんヴァージョンがあるようです。赤穂浪士の話にまで絡んで大変なことになります。
男1「へへっ、こいつぁどうも。」
男2「これだけありゃあ朝まで飲んでられまさあ。」
男3「伊右衛門の悪行、俺らも許せねえって思っていたんですよ。」
男2「嫁さんのおとっつぁんを辻斬りに見せかけてぶっ殺すってんだから。」
男1「そういや三日月の夜にやるって言ってたな。半月を過ぎると監視の目に付きやすいし、逆に新月だと自分も見えないとか言って。」
男3「今晩あたり殺りに行くかもな、きれいな上弦の月だ。」
水野「許せん。義父を殺めようなど絶対に許せん。」
桜「うちらで阻止しよう。」
翼「用心棒がいるから強気に出られる。」
紬「なんかかっこいい台詞、考えておこうっと。」
水野「四谷界隈で辻斬りを仕掛ける場所は限られています。虱潰しに当たればきっと伊右衛門を発見できるでしょう。」
桜「水野さん、最初に断っておくけど、決して斬り殺してはいけません。私たちの作戦にしたがってください。」
翼「悪人をやっつけてもお縄になっちゃったら意味ないから。」
紬「下手人は拘束して役人に引き渡すのが最適解。用心棒としての評判も上がる。」
水野「わかりました。冷静に行動します。」
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女神「チャンバラか?チャンバラになるな。ふっふっふ、血が吹き出るか?」
青水「やらないってJKたちが言ってただろ。」
女神「そう言えば翡翠、おまえも四谷怪談に介入して伊之助とチャンバラしてたな。」
翡翠「はい、恥ずかしながら義憤が閾値を超えました。しかし、血は一滴も流れていません。そこは自己の格率に従いました。」
青水「時代劇のようなかっこいい台詞を言ってたっけな。『不義の計画のため義父を殺める、それも匿名の辻斬りとして。武士の風上にも置けない鬼畜な所業ですね。この御巫翡翠、その業を祓ってさしあげましょう。』」
翡翠「全文引用とか、いくら原作者でもひどい...」
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水野「この左門町には寺院が多く、高い塀は辻斬りが身を隠すのに打って付けです。きっとこの界隈にいます。」
紬「あ、あそこ見て!浪人が刀の柄に手をかけて立ってる。」
桜「良し、確保しよう。水野さん、私たちが無力化するので、水野さんはもしもの場合に備えて側にいてください。斬り合いになると収拾が付かなくなるので刀は抜かないで。鞘に収めたまま木刀として殴ってください。良いですね?」
水野「わかりました。」
水野は腰から刀を外し、柄と鞘を紐で結わえた。
桜「私がタクティカルライトを背後から照射するので、振り向いた瞬間に翼と紬が催涙スプレー。これで伊右衛門の視力が死んで呼吸困難になるはず。水野さんは鞘で一発殴って刀を取り上げてください。私たちが結束バンドで拘束します。」
水野「ところどころわからぬ言葉が出てきましたが大筋は理解しました。殴って刀を奪う、それが私の役目ですね。」
桜「そうです。それでは行きますよ!」
あっという間に片が付いた。江戸時代には考えられない強力な3000ルーメンの光を顔に浴び、視力が死んだ状態で2本の催涙スプレーを吹きかけられ伊右衛門は悶絶した。
翼「ほーれ、特製のカプサイシンだ、たっぷり吸いな!」
紬「悪が栄えたためしなし。天に代わって三上紬が成敗してやろう!」
もはや殴る必要もなかったが、計画通り水野は伊右衛門の脳天に一発食らわせ刀を回収した。桜は結束バンドで伊右衛門の自由を奪った。もがけばもがくほど深く食い込む地獄の縛め。
お岩の父、四谷左門は、この騒ぎを見て驚いた。娘婿がボコボコにされて縛り上げられている。
左門「これは何事でござるか?」
水野「辻斬りを仕掛けようとしていた輩を捕らえました。」
桜「この男は四谷様を亡き者にしたあとでお岩さんも殺し、四谷家の家督を引き継ぐつもりだったのです。」
左門「なんと...許しがたい...」
翼「お義父様、手打ちにしてはなりません。下手人は司直の手に引き渡すこと、それが幕府の理に適った解決でございましょう。」
紬「みんなで番所にこいつを突き出そう。」
番所に向かって歩いていると、JK旅団の身体にいつものムズムズが起こり、転移の予兆が感じられた。
桜「水野さん、どうやらお別れみたいなの。最後にこれ、虎屋の羊羹、食べて私たちのことを思い出してね。」
江戸の夜を照らすアストラル体の青白い光。3人は半透明になって消えた。
翼「あ、戻ってきた。渋谷のセーブハウス。」
紬「ここから転移してここに戻ったの初めてだ。気分最高。」
桜「バタバタしていて何もお土産買えなかった。」
翼「残ったリーヴルと江戸の銭、また銀座に持って行こう。うちら、もうお得意さんだね。」
桜「きょうは土曜日だからまた明日転移だ。」
紬「ミルキーはかなり効き目があったので次も多めに持って行こう。」
桜「補充しなければならないのは、ミルキー、羊羹、催涙スプレー。これは今日中に補充ね。」
翼「こっちでは時間が経過しないって言っても、うちらはてんてこ舞いで動いてるんだから疲れるよ。身体への影響ないのかな?」
紬「あっちで過ごした時間も身体に刻まれて、結局こっちで人より早く歳をとる。」
桜「それサイテー。女神に確認しておかなきゃ。」
翌日、買物を済ませた3人はセーブハウスでまったりしてた。
桜「ねえ、小さい冷蔵庫買おうよ。飲み物冷やしておきたい。」
翼「だねえ。ギンギンに冷えたのを持って転移したいね。」
紬「翼さん、あなた今はしたない擬態語を使いましてよ。冷えた飲み物はキンキン。ギンギンは...あらやだ...」
翼「う....今までずっとギンギンって言ってたかも...」
桜「えーと、通販で買って、お届けを指定日にすればOKだね。」
翼「シックな黒が良い。」
紬「冷凍室はある程度のキャパがないとアイスをストックできない。」
桜「良し、じゃあこれ。ポチった。来週の金曜日の夕方に届く。」
翼「さてそろそろ女神様タイムだ。」
紬「今度はどこかなあ?トイレがある世界を希望する。」
女神「おまえら元気か?残念ながらまたトイレはないぞ。お花を摘むんだな。今度の行き先はまたフランス。15世紀だ。物語ではなくて史実。頑張れよ。」
桜「女神様、うちらが転移先で過ごした時間は身体に蓄積されるのですか?こっちとあっちと足した時間で歳をとるのですか?」
女神「いや、それはない。あっちで過ごした時間はノーカウント。同級生より早く婆にはならないから安心して良いぞ。」
桜「それを聞いて安心しました。」
翼「15世紀って....ずっと戦争中じゃん、百年戦争。」
紬「いきなり戦場に転移は勘弁。」
桜「今回はスタンガンも持っていこう。催涙グレネードも。」
ギンギンに冷えた....ぼくも言ってたかもしれません。




