日本は滅びる、しかし日本軍は勝利する
桜「量産型架空戦記の作家さんって、どうやって日本に勝利を掴ませるんだっけ。」
翼「まともに読んだことがないけれど、タイトルで多いのは日本が先に原爆を作ったとか。」
紬「それ、無理なんじゃね?」
翼「無理なものを実現させるのが量産型架空戦記の作家さんなんだから、そこでリアリズムにこだわっちゃあおしめえよ。」
紬「あんたこのごろ口調が安定しないわね。関西人になったり寅さんになったり。」
翼「あんただって時代劇になってるじゃないの。」
桜「まあまあ。原爆ねえ、よくもまあ簡単にそんな危険なものを。」
翼「リアルのアメリカじゃマンハッタン計画だから、月島計画あたりにするんじゃない?」
紬「それ、名前の座りもいいね。」
桜「ではうちらは日本軍の月島計画の全貌を調べる。調べるだけで別に妨害はしないからネトウヨ読者さんも安心してね。」
紬「どうやって軍の最高機密を調べるのさ。うちら鋼鉄の愛国者乙女だけどスパイじゃないよ。スパイ防止法、マジで勘弁。」
桜「潤沢な資金とアイテムボックスでどうにでもなるよ。とりあえず湾岸地域の月島に移動しよう。」
翼「小型無線傍受機とノートパソコンで簡単にスパイ基地になっちゃったね。」
桜「パソコンがない時代だからチートだわ、これ。」
紬「ここならトイレもあるし、もんじゃも食える。」
桜「量産型架空戦記の世界で原爆を作るとき、ウランとかどうしてるの?日本にないよ。」
翼「都合良く樺太とか蒙古とかで見つけたことにしてるんじゃない。」
桜「ウラン鉱石を見つけたとして、掘り出して精錬するとき作業員や研究員は大量の放射性物質に被ばくするよね。」
翼「ウルトラ安全な防護服も発明するんだよ、きっと。」
桜「さらにその先の臨界実験は?」
翼「ガタガタ面倒くさいこと言ってんじゃねえよ、桜さん。いいかい、そんなんじゃいつまでたっても原爆様はできやしねえんだ。」
紬「寅に翼...」
桜「あ、そう。放射能汚染には目を瞑るのね。まあいいや。架空戦記だし。」
翼「傍受!樺太から大量のウラン鉱石を富士山麓の樹海に特別列車で運ぶみたい。」
紬「沿線を放射能汚染しながら爆走する特別列車。」
桜「何のこれしき戦地を思え。」
翼「傍受!樹海の秘密工場に東大、京大、東北大、大阪大、名古屋大の研究者が集合。」
紬「帝国大学全部じゃないんだ。」
桜「おい、そこ、学歴厨に燃料を投下するな。」
紬「研究者がたくさん被爆死するから戦後にポストがいっぱい空くね。」
桜「ポスドクの背中をざわつかせるようなことも言うな。」
翼「マンハッタン計画の核実験はニューメキシコ州のトリニティサイトという砂漠地帯。日本はどこでするのかな。」
紬「富士樹海の界隈なんじゃないの?今の自衛隊演習場あたりとか。」
桜「東京に近いそんな場所でよくやるな。」
翼「新型爆弾への期待が大きくてその危険性はあまり意識されてなかったんだよ。アメリカでもトリニティサイトの実験にはたくさん観光客が集まって、ビーチパラソルの下で見物してた。水着にグラサンで。」
紬「たーまや~とか言うやつが出そう。」
桜「死の灰と黒い雨で静岡県東部と山梨県は壊滅だ。」
翼「傍受!核実験は来週の水曜日に実施予定。」
桜「やばい、東京もやばい、とりあえず東北地方に避難しよう。」
紬「さすがに松島まで避難すれば死の灰は追っかけてこないね。」
翼「月島計画の本部の情報が傍受できなくなった。」
桜「え、電波障害?」
翼「いや、東京や静岡のラジオ放送は入るんだけど、軍事周波数の情報が途絶えた。」
桜「一般のラジオ放送に何か変化は?」
翼「放送時間が大幅に減った。」
紬「これは何か混乱が起こってるね。」
桜「報道規制は敷かれてるはず。事故があったとしても一般報道には乗らない。」
紬「狭い日本でやるから...」
翼「傍受!NHK千葉。東京湾から巨大生物接近、東へ避難しろ、と。」
桜「放射能で巨大生物....ゴジラ?」
紬「ゴジラだね。」
翼「傍受!NHK名古屋。静岡県方面から巨大生物接近。」
桜「え?複数なの?」
紬「もう大混乱だから北海道にも逃げられないよ。鉄道パニック。」
桜「潮時だ。帰還しよう。」
翼「くわばらくわばら。」
そのころ太平洋上を航行中の超弩級戦艦空母大和改のブリッジで、海軍大将山本五十六は沈痛な面持ちで指令を発していた。
山本「諸君、富士火口から現れた謎の巨大生物によって神国日本は壊滅する。この大和改も無事では済むまい。あの怪物、誤地龍と呼称する。全航空隊に命ず。誤地龍に無駄な攻撃はするな。その代わり、特殊塗料で白地に赤を塗れ。これで誤地龍は我が軍の兵力になる。太平洋を渡って米大陸へ上陸し蹂躙するだろう。日本は滅びる。しかし日本軍はアメリカに勝利する。勝利ニッポン!」
兵士一同「勝利ニッポン!勝利ニッポン!」
日本は滅んでも日本軍が勝てばとりあえずOK...でいいの?




