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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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215/221

決闘、スパ、快楽と快適の女王――悪役令嬢編ラスト

挿絵(By みてみん)

サウナ、ドイツではプールで泳いでそのまま水着でサウナへ行くと怒られます。全裸必須。バスタオル巻きも怒られます。バスタオルは足元に広げて落ちた汗を吸わせるものです。


挿絵(By みてみん)



翼「わりと簡単にできた。」


紬「劇薬に近い苛性ソーダも必要だったけどね。」


桜「取扱注意を徹底すればOK。」


翼「あとはこの試作品とレシピをドーラに渡せばいい。」


紬「石けんもレシピっていうの?」


翼「うーん、わかんない。」


桜「ところでアンジュだけど、男ふたりで争奪戦になっちゃうよ。」


紬「女子プレイヤーが妄想で喜んでいる分には問題ないけど、現実に対処するのは大変そう。モテすぎて地獄に突入。」


翼「そういえばラノベってすぐハーレムとかやっちゃうけど、女ひとりに男複数のパターンもあるのかな?」


紬「チャレンジした作家さんもいたかもだけど、成功したのかな。」


桜「そこはだな、やはり性差の非対称というものが立ちはだかる。」


紬「小難しい話はやめなよ。ただでさえPVが...」


桜「ともかくアンジュがハーレムを作る流れは支持されるはずがない。」


翼「だよね。成り行きが楽しみ。」



フェルディナント「ジーグルト、俺とおまえは幼馴染みの親友だ。俺は皇太子でおまえは将軍の息子だが、身分の差などないと思っている。そもそも俺が次期国王になれるかどかもわからない。おまえが選ばれるかも知れない。なのでどちらがアンジュにふさわしいか、今のままでは決められない。」


ジーグルト「それは俺も同じこと。同格の友人として接してきたし、これからもそのつもりだ。もちろんおまえが国王として即位すれば臣下の礼は尽くすつもりだが。なのでアンジュに関しても今のところどちらが優先権があるとはいえない。」


フェルディナント「ということはつまり...悔いを残さない方法で決めるしかないな。」


ジーグルト「ああ、古来からの伝統に従って....決闘だ。」


フェルディナント「命のやりとりをするわけにはいかないので模造剣を使うが、それなりに痛い怪我をするぞ。」


ジーグルト「手加減をするつもりはない。」


フェルディナント「決闘は中立の審判と双方の複数の立会人のもとで行われ、場所と時刻は学園の掲示板で発表される。」


ジーグルト「さぞかしたくさんの観客が集まるだろうな。」


フェルディナント「負ければアンジュのことだけではなく社会的に大きなダメージを負う。敗残者だ。王位継承は不可能になるだろう。」


ジーグルト「俺だって皇太子に負ければ次期将軍はもう無理だ。」


フェルディナント「だがそれでも...」


ジーグルト「愛のためなら...」



ドーラ「お父様、お風呂はいかがです。お背中、もっとこすって欲しいところはありませんか?」


デイモン公爵「あああ、こんな気持ち良いものがこの世にあったなんて、わしは長年に渡って損をしてきた気がするぞ。背中をこすってもらって若返った気がする。」


ドーラ「背中の次は頭を洗ってあげますからね。ちゃんと目を閉じていないとシャンプーが目に入りますよ。」



挿絵(By みてみん)



桜「ねえ、フェルディナントとジーグルトが決闘だってよ。」


翼「あちゃー、痛そう。」


紬「アンジュ、見に来るかな?」


桜「どうだろ?気まずいよ。」


翼「私のために喧嘩はやめて...」


桜「何だか聞いたことがあるようなないような霞の中に浮かぶ言葉。」


紬「見に行くよね?」


桜「当然。」


紬「オッズは?」


翼「やめろ。怒られるわ。」



審判「それでは古来よりのしきたりに則って決闘を開始する。武器は模造剣。魔法の使用は禁止。正々堂々と戦うべし。よろしいな?」


フェルディナント&ジーグルト「諾!」



挿絵(By みてみん)



アンジュ「待って!待ってください。その決闘、賭けられているのは私ですね。ならばその私が決闘の無効を宣言します。」


審判「何と、神聖な決闘を中止させようと言うのか?」


アンジュ「はい、私が決闘のトロフィーであるなら中止を宣言する権限はあるはずです。どちらが勝とうと負けようと、私はどちらのものになるつもりはありません。よって戦いで勝ち取られるものがないのですから戦う理由がありません。決闘は無効です。」


審判「...規則上は中止の宣言は有効だ。しかし乙女よ、君は男子が命を賭して愛を成就しようとする誠意を受けるつもりはないのか?」


アンジュ「ありません。愛は相互の好意が作り出す感情です。戦って勝ち取るものではありません。それは一見崇高な戦いに見えるかも知れませんが、根っこにあるのは獣の繁殖成功に向けた本能です。戦って勝った雄が雌を得て子孫を残す。そんな営みに巻き込まれるつもりはありません。私は人間らしく生きたい。」


審判「了解した。今の宣言を持って今回の決闘は無効。両名、礼を交わしたのち下がるように。」



桜「ひえ~、アンジュってあんなキャラだっけ?」


翼「モンスターの攻撃を食らって覚醒したんだよ、きっと。」


紬「そういえばあの子って、何かと覚醒しやすいよね。スキルを次々に見つけちゃうし。」


桜「天才、恐るべし。」



挿絵(By みてみん)



ドーラ「お父様、おかげで立派なスパができましたわ。」


デイモン公爵「これでたくさんの人々が極楽を体験できる。ああ、なんだかすごく徳を積み上げた気がするぞ。」


ドーラ「神様も微笑んでいますよ、きっと。」



アンジュ「ドーラさん!」


ドーラ「あらアンジュ。見て、できたのよ、ドリームスパ。」


アンジュ「うわあ、すごく立派ですね。」


ドーラ「生きたまま極楽を味わえるわ。もちろん入っていくわよね。」


アンジュ「はい、楽しみです。終わったら少しお話いいですか?」


ドーラ「ええ、かまわなくってよ。」



挿絵(By みてみん)



桜「施設内に渓流露天風呂まで付いてるなんてびっくりだよ。」


翼「さすが転生者、現代日本の快楽をしっかり持ち込んだね。」


紬「きっと国中にぽこぽこ建つよ、ドリームスパ。」


桜「これでドーラもスパ女王だ。」



アンジュ「天国でした。神に召された気分です。」


ドーラ「ちょっと、縁起でもないことを言わないで。ここは生きたまま極楽を味わう施設なのよ。」


アンジュ「そうですね。お風呂に入ると寿命が延びる気がします。」


ドーラ「パパも腰痛が消えたって喜んでいたわ。」


アンジュ「こんな天国のような施設なので実は提案があります。」


ドーラ「何かしら。」


アンジュ「私、個室に移るとき留学生の3人からトイレをプレゼントされたんです。」


ドーラ「あら、私もよ。おかげで毎日すごく快適だわ。」


アンジュ「便利に使っていたのですが、思いついちゃいました。終わったらそのまま水に流せないかって。」


ドーラ「あなた...本当に天才ね。」


アンジュ「水と土と風の魔法をいろいろ合成して、ついに自分の部屋でそれを実現できました。画期的です。捨てに行かなくてもいい。」


ドーラ「羨ましいわ。」


アンジュ「そして考えたんです。これ、みんなの部屋にも作れないかって。」


ドーラ「みんなって...すごい数よ。」


アンジュ「ええ、そこで思いついたのがこのスパです。せっかくお風呂できれいになったのだから、きれいなトイレがあれば完璧だと。」


ドーラ「たしかに。お風呂に入ったあとでおまるは最悪ね。」


アンジュ「自分の部屋で実現できた仕組みを少し大がかりにすればこのスパのトイレを完全な水洗にできます。そして利用者がその快適さを知ったら、水洗トイレは大きな事業になる可能性があるのではないかと。」


ドーラ「あるわ、事業化すれば確実に成功する。株式会社化すれば資金調達は容易いわ。」


アンジュ「カブシキガイシャ?先のことはともかく、私に任せていただければスパの水洗トイレ、必ず実現させてみせます。」


ドーラ「やりましょう。ぜひやりましょう。この国の衛生と快適は私たちふたりが作り出しましょう。」



桜「あら、アンジュとドーラ、ご機嫌みたいね。」


アンジュ「桜さん、みなさん、お久しぶりです。」


翼「怪我はもういいの?」


アンジュ「はい、すぐに治癒魔法をかけてもらったし、私、けっこう頑丈みたいです。」


ドーラ「ねえみんな、聞いて。私たちこのスパに水洗トイレを実装するのよ。アンジュが提案してくれたの。」


紬「それ快適の最終形態じゃん。やったね。」


桜「アンジュとドーラ、この国のダブル快適女王に決定だ。」


翼「うちら、トイレやお風呂を持ってきて良かったよ。」


ドーラ「私は転移じゃなくて転生だから日本に帰れないけど、この国で頑張っていくよ。」


桜「うん、私たちも日本に帰ってもふたりのことは忘れない。」


紬「物語を書いて記録しておくよ。」


翼「そろそろ身体がアストラルだ。」


紬「いっちゃいま~す!」





ということで、最近の悪役令嬢ものを受け継いで、攻略対象をめぐって争う古いパターンは踏襲しませんでした。


次回はもっと過酷な世界へ転移します。すぐ死ぬ世界。

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