悪意の欠片も見せないアンジュ、思ったよりヤバい
アンジュ「編入生のアンジュ・デロイーヌです。よろしくお願いします。」
キャビアンナ「キャビアンナよ。よろしくね。」
アンジュ「ねえ、キャビアンナさん。窓を閉めてもいいでしょうか。風が冷たくて。」
キャビアンナ「は?何言ってるの?風通しがよくていいじゃないの。」
アンジュ「あの、ここはヨーロッパなので“風通しがいい”というポジティブな表現はなくて、“隙間風が入る”という意味で „Es zieht“や“It’s drafty“が使われます。冷たい風が入ると健康に悪いというのが常識なのですが。」
キャビアンナ「だって暑いんだもの、仕方がないじゃない。」
アンジュ「そうですか。わかりました。では私の周囲2メートルだけ適温にさせていただきます。」
キャビアンナ「ちょっと、なんだか暑くなったんだけど。」
アンジュ「魔力量が多すぎて流れ出てしまうので、私の周囲だけ火、風、水のエレメンタルを最適な比率で常時流出するようにして適温を保つように設定しました。いわば個人エアーコンディショニングですね。」
キャビアンナ「流れ出るでしょ、その温度。」
アンジュ「それは自然の法則なので私の意図ではありません。」
キャビアンナ「エナジーは熱量なのよ。摂取しただけ熱に変換されるの。どうしてくれるの?」
アンジュ「摂取量が多すぎるのかも知れません。健康のためにも調整したほうがいいですよ。」
キャビアンナ「あなた、私を大食いのデブだって言いたいの?」
アンジュ「いいえ、そんなことは言ってません。健康的な摂取量というものがあると思うので、もっと専門的なカウンセリングを必要とするなら保健室の先生に相談するのも一理あるかも知れません。」
キャビアンナ「ぐぎぎぎ....覚えておきなさい。」
アンジュ「はい。私、自分の発言を忘れたことはありません。あ、そうそう、常時窓を開けておく利点がひとつありますね。風のエレメントでおまるから窓へ臭気を逃がす道を作ります。これで部屋の空気はいつも快適。過剰摂取した食べ物は大量の固形排泄物を作りますから、放置すると環境破壊になります。これでキャビアンナさんも遠慮なくたくさんウンチしても大丈夫ですよ。」
キャビアンナ「....さない...許さないから。もうあなたと同室は無理。父に頼んで何とかしてもらいます。S組でも旧校舎の古い部屋に押し込めることもできるんだからね。」
アンジュ「それならそれでお互いに快適ですね。同室の人がいなければ遠慮なくたくさん排便できます。ぜひそのように手配してください。」
桜「アンジュ大丈夫かな?」
翼「様子見に行こうか。」
紬「あ、あそこにアンジュがいるよ。荷物持って引っ越しみたい。」
アンジュ「あ、みなさん、ごきげんよう。」
翼「お部屋、引っ越しするの?」
アンジュ「はい、旧校舎の部屋に移ります。今度は個室です。」
桜「旧校舎ってガタが来てるんじゃないの?大丈夫?」
紬「寄宿学校の旧校舎、それはホラーの入り口。」
アンジュ「大丈夫ですよ。私、そういうの平気なんで。」
翼「なぜ部屋割りが決まったばかりなのに部屋替えになったの?」
アンジュ「同室の方が遠慮なく排便するためです。たくさん摂取するのでたくさん出るようです。」
桜「....あ...そうなのね。」
桜「やべえ、アンジュやべえ。」
翼「これがアザトケナゲか...」
紬「破壊力計測不可能。」
桜「ドーラとアンジュ、どっちも地獄からの再生を賭けてのエントリー。」
翼「どうみてもドーラの分が悪い。努力が天性に負ける未来しか見えない。」
紬「あんまり触りたくないけど攻略対象もいちおう把握しておこう。」
桜「悪役令嬢ものでいちばん触れたくない部分なんだよなあ。」
翼「2週間後にクラス対抗魔力体育大会があるよ。」
紬「そこでナイーブな攻略対象男子がアンジュにデレッとなる。どうしようかね。」
桜「いちおうドーラの耳にも入れておいたほうがいいんじゃない。」
翼「だよね。対策を立てておかないと。」
いよいよ攻略対象が登場します。面倒くさい。どうせアンジュにデレる。
ドーラはどのように対処するのでしょう?




