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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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203/221

走れメロス、うちらが付いてる、うちらは鋼鉄のマラソン応援ガールズだ!

挿絵(By みてみん)


地中海でファンサの3人。


長距離ランナーを孤独にしない3人なのです。

桜「今回はきれいに決まったな。」


翼「うん、きれいに正義を示すことができた。」


紬「芥川龍之介、畏れるに足らず。ネット番組で論破してやんよ。」


桜「いや、出演しないし、できないし。」


翼「次のランキングは、堂々の第3位、太宰治“走れメロス”。」


紬「来た。超有名なやつ。」


桜「これを知らない日本人はまずいない。そして今までの作品と違ってしっかり覚えている。」


紬「これのおかげで長距離走が苦手な人間がダメ人間扱いされる。」


桜「そうなのか?」


紬「あんたはいいよ。マラソン大会で常にトップなんだから。私なんかいつも途中棄権だよ。道に倒れて誰かの名を呼び続けたことはありますか、だよ。」


翼「何だ、それは?」


紬「題名は忘れたけど昔の歌だよ。いつもマラソン大会で、途中でもう無理ってなったときにループ再生される。」


桜「まあともかく行こう。久しぶりの地中海だ。あの気候は気持ちがいい。」


翼「何を着ていこうか。最近こればっかりが楽しみで。」


紬「エーゲ海でしょ。エーゲ海、よし、こうなったら“エーゲ海 ヴァカンス”で画像チェックしてやる。…………なんだよ、半分脱ぎかけた水着とかろくなのがない。」


翼「おい待て。雰囲気で古代ギリシャとか言うな。物語の舞台はシチリアのシラクサとそこからギリ徒歩で行ける町だよ。ギリシャじゃない。現在ではイタリア。当時はギリシャ人が植民したギリシャ文化圏。エーゲ海じゃなくてイオニア海だよ。」


桜「地中海を全部エーゲ海だと思い込む日本人特有の雑な理解。」


紬「う...地理が苦手だったの忘れてた。」


翼「コスチュームは色違いのミニワンピ、足元は地中海らしい皮サンダル、海風にひらめくヒラヒラも付けて出発しよう。」



挿絵(By みてみん)



桜「着いた。シラクサの市場だ。」


翼「背中に篭を背負ってプンスカしてる男がいる。」


紬「あの人以外考えられないよ。だって冒頭が“メロスは激怒した”なんだから。」


翼「そうそう、日本人の80%が知ってる“メロスは激怒した”。」


桜「とりあえず接触してミルキーをあげようか。」


紬「そうだね、これから長距離ランナーになるし、ミルキーはエネルギー補給にもなるし。」


桜「給水も大事なんだけどな。」


翼「持ってるよ。アイテムボックスにスポドリがいっぱい。」


紬「それも2~3本あの篭に入れてあげよう。」


桜「これで原作よりかなりバフが付く。」



挿絵(By みてみん)



紬「メロスさーん...ねえ、メロスさんですよね。時空の彼方から応援に来ました。はい、ミルキーどうぞ。とりあえず一粒食べてみなさい。このペコちゃんみたいに笑顔になるから。」


紬「これはスポーツドリンク、略してスポドリだよ。長い道中、喉が渇いたらこれで給水してね。その背中の篭に入れておくから。」


桜「うちら....鋼鉄のマラソン応援ガールズなの。ファイトー、一発!」


メロス「おまえたち....ぬぬぬ...甘くて美味い乳の味。」


桜「これから王様に凸するんでしょ。でもね、その前にお友だちに会っておいたほうがいいよ。」


翼「センテ.....覚えられない、そんな人がここで石工やってるんでしょ?」


メロス「ああ、センテじゃない、セリヌンティウスだ。」


桜「そうそう、その舌を噛みそうな人、王様より先に会っておいたほうが絶対にいいって。」


翼「ふつうならそうするのに、太宰が再会の感動を盛るために無理矢理順番を変えたんだよ。無理に作者に合わせなくてもいいよ。」



メロス「セリヌンティウス、久しぶりだな、メロスだ。」


セリヌンティウス「おお、メロスか。何年ぶりだ?変わってないな。」


メロス「私は変わらないが妹が変わる。明日結婚するんだ。」


セリヌンティウス「何?ならばぜひお祝いに駆けつけないと。」


メロス「それがだ、我が友セリヌンティウスよ、明日私は王に囚われるかもしれない。だがそうなれば妹の結婚式を挙げることができなくなる。そこでだ、我が友セリヌンティウスよ、結婚式が終わるまで私の身代わりになってはくれまいか。」


セリヌンティウス「そうか、そういう事情ならかまわん。おまえの身代わりになって帰りを待とう。」


メロス「ありがとう。おまえならそう言ってくれると信じていた。」


セリンティウス「言うな、我が友メロスよ。友情は試練に出会って初めて真価を発揮する。その機会を得られることをうれしく思うぞ。」



桜「これで応援の枠組みは整った。」


翼「うちらは伴走すべきかな?」


桜「そりゃそうよ、鋼鉄のマラソン応援ガールズなんだから。」


紬「走って伴走は無理だからね。箱根駅伝の監督みたいに車に乗りたい。」


桜「自動車は持ってきてないし、うちらは17歳で誰も免許がないから無理。」


翼「原付なら持ってるよ。原チャリでいいじゃん。」


桜「それだ、原チャリ応援団。」



国王「おまえは無謀にも私に諫言するつもりか?」


メロス「そうだ。王の行動は目に余る。」


国王「下郎の分際でそれをなすからには命は惜しくないということか?」


メロス「ああ、その通りだ。過ちを正すのにためらいはいらない。」


国王「そのせいで処刑されこの世から消えてもか?」


メロス「かまわぬ。正義は滅びぬ。そして正義を潰した行為は未来永劫歴史に刻まれ、その者の名を汚すことになるだろう。」


国王「ならば死ね。刑は明日執行される。」


メロス「だが王よ。一つだけ願いがある。明日、私の妹が結婚式を挙げる。私がいなければ式は成立しない。なので二日の猶予を願う。結婚式が終われば戻って来て刑を受けよう。」


国王「馬鹿め、この後に及んでそんな嘘で命乞いか。」


メロス「嘘ではない。男に二言はない。私が戻るまで身代わりに親友のセリヌンティウスをここに預けよう。もし戻らなければ彼を殺せ。」


国王「何?身代わりに親友を託すだと.....よかろう。三日後に戻らなければその親友の命はない。ふっふっふ、私の気まぐれが覆らぬうちに早く出発するのだな。そして少し遅れて戻ってこい。おまえの命は助かるぞ。」


メロス「私は約束を違えることはない。その汚き心を恥じるがいい。」



挿絵(By みてみん)



桜「さあ、行こうか、メロス。うちらが全力で応援するよ!」


紬「長距離ランナーの孤独にはさせない。うちらが付いている。」


紬「鋼鉄の鋼鉄のマラソン応援ガールズ、出発だ!」




走れメロス、日本人の9割がうっすら知ってる超有名作品。でも「うっすら」だからね、この機会にJKトリオとおさらいしましょう。変な味付けになりますけど。

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