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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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199/221

白鳥座を過ぎて、銀河鉄道は進むよ、どこまでも

挿絵(By みてみん)

銀河鉄道の旅は牧場で終わるのです。


面倒くさい話はすべてすっ飛ばす旅になりそうです。

桜「白鳥ステーションって言ってたし、実際に白鳥も目撃したけど、これは白鳥座ってことだよね。」


翼「銀河だからそうなんじゃない。」


紬「あっちの海岸の岩場でカムパネルラとジョバンニが化石を掘ってる古生物学者と話をしてる。」


桜「そろそろ出発の時間じゃない。もう15分経過した。」


翼「あのふたりにもいちおう声をかけよう。乗り遅れたらいろいろ面倒だ。」


紬「おーい、そこの少年たち。そろそろ出発時間だ。あと5分だから急げー!」


桜「よし、私たちも戻ろう。」



 カムパネルラとジョバンニが席に着こうとしたとき。赤髭の背中を丸めた人がふたりに声をかけて後ろの席に座った。



桜「なんか展開がありそう。紬、おまえの速読スキルで青空文庫を読破しておいて。うちらは景色を見たり、少年たちをチラ見して監視してるから。」


紬「え、ズルっ。私だけ旅先で読書係?」


翼「だって速読スキル持ちでしょ。活用しなくっちゃ。」


紬「仕方がないな。あとで写真や動画を送ってよ。」


翼「あのおじさん、ふたりに何か渡して食べさせてる。」


紬「あれは押し花にした鳥だよ。お菓子になるんだって。」


桜「キモい。そもそもプレスしたら押し花みたいにならない。血と内臓と羽毛の現代アートだ。」


翼「あからさまに言わないで。せっかくのファンタジーなのに。」



 車掌が検札にやって来た。予想外だ。カムパネルラとジョバンニは切符らしいものを見せている。ジョバンニの切符は何か証明書のような四つ折りの書類で、車掌はそれを検めると恭しくお辞儀をした。何かVIPなチケットだったようだ。次に車掌はJKたちの元にやって来た。困った。チケットがない。とりあえずSuicaを出してみた。車掌はなにか電子機器のようなものにSuicaをタッチして、何事もなかったように立ち去った。



挿絵(By みてみん)



桜「Suica使えるんだ、意外。」


翼「意外だよね。銀河に放り出されなくて良かった。」


紬「もうすぐ姉弟が乗り込むよ。姉の名前はかおる子で12歳ぐらい。弟の名前は作中で呼ばれない。」


翼「誰?その子たち。」


紬「氷山にぶつかって船が沈んだんだって。たぶんタイタニック号事件の犠牲者。ほら、コネティカットとか言ってるし。」


桜「ということはこの列車、死んだ人をあの世に送る列車なの?」


紬「思い切りそんな感じに書いてある。」


翼「あ、なんだか面倒くさい話を始めた。たったひとりの神様だとか何だとか。」


桜「宮沢賢治ってキリスト教徒なの?」


紬「違うよ。独特な法華経信者だよ。」


桜「法華経それ自体がわからないからそれに独特が付くともうエニグマ。」


翼「法華経はね....南無妙法蓮華経っていうやつだよ、南無阿弥陀仏じゃなくて。」


桜「あ、そう...って言われてもわかんねーわ。」


翼「とりあえず覚えておかなければならないのは、ナンミョウホウレンゲキョウだと変換しないから。ちゃんとナムミョウホウレンゲキョウって書かないと。」


桜「へいへい、ご丁寧な説明、ありがとうございます。」


紬「私...ナミアムダブツって入力して変になってた。これは良いお話を聞かせていただきました。」



 3人がそんなくだらない会話を交わしていたら車掌がまた客車内に現れて、停車駅を告げた。あと10分で南十字星、サザンクロスに到着します、とご丁寧に日本語と英語に分けて言ってくれた。その恩恵に与る乗客はいそうもなかったが。



桜「みんな降りる準備を始めたよ。」


紬「えーとね、サザンクロスで降りると天上の川の岸ってところに行けるんだよ。たぶんそこは天国の入り口っていうか三途の川っていうか。」


翼「降りたら復活不可能。」


桜「やばい、カムパネルラも降りるんじゃ?」


紬「それがねえ....降りないんだよ。だけどあとで死ぬ。」



 車内放送が、もうすぐサザンクロス駅に到着すると告げた。お忘れ物をしませんようにと。



挿絵(By みてみん)



桜「降りないって書いてあっても消えるんだろ、カムパネルラ?」


紬「そう、ジョバンニとカムパネルラだけが車内に残されて列車は出発、ジョバンニがカムパネルラに、どこまでも一緒に行こうって言うんだけど...」


翼「しばらくして振り返ると消えていた。」


桜「ダメだ、そのままにしたらカムパネルラは死んじゃう。私がホールドする。」


翼「いや、私がやるよ。お姉さんの柔らかな胸の膨らみに閉じ込める。桜は逃げ出したときに捕まえて。逃がしはしないけどね。」


桜「くそっ、こんなときに巨乳自慢かよ。」



挿絵(By みてみん)



カムパネルラ「離して、ぼくはお母さんのところへ行かなくちゃならないんだ。」


翼「離すわけないでしょ。お母さんだって来て欲しくはないわよ。」


ジョバンニ「カムパネルラ、ぼくたち最後まで一緒に行こうって約束したじゃないか。」


紬「そろそろ場面が暗転して夢落ちタイムです。私たちも牧場の近所の丘に出現しますよ。みんな一緒だよ。」



挿絵(By みてみん)



紬「ほら、あそこがさっきまでいた銀河だよ。こうやって下から眺めてればいいのよ。触ると危険なものもあるの、覚えておきなさい、少年たち。」


桜「少年を前にしてずいぶんと余裕ぶっこいてるじゃないか。ショタじゃなかったのかよ。」


紬「ターゲットゾーンが狭いのよ。13歳から15歳までの3年間限定。だから儚くも尊い。」





ためになるお話でした。いや、いろいろ細かくてくだらないところが。

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