ポツダムで幼馴染みと再会、護衛クエストで凄腕ガンナーと共闘、ラノベと言えばやっぱり
商人「ありがとうございました、ラインホルトさん。縁があったらまた会いましょう。」
ライ「ああ、また仕事があったら遠慮なく声をかけてくれ。」
ライはポツダムの町で仕事を探すつもりだった。そもそも馬小屋で倒れていたライは盗賊に殺されていたということだったが、仲間ともはぐれ財布には小銭がわずか。傭兵隊はおそらく戦に敗れてちりぢりになっていたのだろう。傭兵の仕事にはどうやってありつくのか、記憶をたどっても思い出せない。要塞都市シュパンダウと違ってポツダムは新興都市で人口も少なかった。軍事的拠点というわけでもなく、選帝侯が狩猟のために滞在する館があるだけで、傭兵の需要も限定的だった。ただ、ベルリンからザクセン方面へ向かう重要な宿場町ではある。ここを中継地点として人や物資が動く。今回のように商人の護衛の仕事は見つかるだろう。ともかく拠点の確保だ。財布にはハーフェル川の戦闘で得た臨時収入を含めて80グロッシェンほど入っている。ライは宿屋へ向かった。
ライ「しばらくやっかいになる。だがいつ出発になるかわからないので、宿代は毎日1日分を支払おう。」
店主「そうですか。一泊4グロッシェンです。」
ライ「これで頼む。このあたりで仕事を探すとなると、どこへ行けば良いか?」
店主「商人の護衛でしたら口入れ屋がありますよ。この宿屋の隣です。人がたむろしているのですぐわかると思います。」
ライ「そうか。ありがとう。」
ライが酒場で早めの晩飯を食べていると給仕の女がやって来た。
女「ライじゃないの!生きてたの?死んだかと思ってたよ。」
ライ「えーと、誰だったっけ?」
女「え?忘れたの?ひょっとして頭を打った?ゲルタよ、ゲルトルート。」
ライ「そういえばそんな名前の女がいたような。」
ゲルタ「いやだな、同じ村出身の幼馴染みじゃない。子どものころいっしょにいっぱい遊んだよ。裸で川や池で泳いだりもした。」
ライ「そうだったか。すまない。戦闘で記憶が飛んだ。」
ゲルタ「部隊が全滅したもんね。私も命からがら逃げ出した。」
ライ「おまえも傭兵団に加わっていたのか?」
ゲルタ「飯炊き女みたいなものよ。兵隊さんの身の回りの世話を焼く。怪我をしたら包帯を巻いてあげる。傭兵団にはそんな女がついて回るの。あんたは幼馴染みだから特別優しくしてあげたけどね。」
ライ「そうだったのか。すまなかった。」
ゲルタ「頭を打っていろいろ忘れたみたいだけど、恥ずかしいことは忘れたほうがいいこともあるよ。」
ライ「俺の実家なんだが、男爵家であることは覚えているんだが、領地がどこか判然としない。」
ゲルタ「メーザーというマークデブルクへ続く街道筋の村よ。砂地で痩せた土地、貧しいわ。あんたのお父さんの領主様も、この宿の主人より貧乏かもしれない。」
ライ「なるほど、だから俺は食い扶持減らしで傭兵になったわけか。で、おまえは痩せた村に生まれた村娘だからやはり同じく食い扶持減らしか。」
ゲルタ「そう。生きて行くためには働かないとね。」
ライ「再会を祝してチップをやろう。1グロッシェンだ。受け取ってくれ。」
ゲルタ「ありがとう。人がいなければキスしちゃうところね。」
ライ「俺はしばらくポツダムに留まって護衛の仕事をする。また話をしよう。」
ゲルタ「もちろん。今度一緒にお酒を飲もう。」
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紬「豊太郎、さすが既婚者。ここで女を投入か。」
豊太郎「いえ、ライの記憶を掘り起こす役目が必要になって...」
翼「別に幼馴染みの女である必要はないのだけれど、でもこれはラノベ文法に照らし合わせれば最適解だ。」
桜「幼馴染みと同級生の異性、これがないとラノベはつまらない。」
紬「豊太郎、おまえは明治の男のくせに異様にラノベに適合しているな。これは褒め言葉だ。」
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口入れ屋「次の依頼はシュテンダールまでの護衛だ。報酬は15グロッシェン。山を越えてエルベ川流域に出てさらに進む。途中は道が途絶える難所になる。定員は5名だ。希望者はいるか?」
ライ「やろう。俺は弓が使える。ハーフェル川で盗賊を5人射殺した。」
口入れ屋「よし、採用。あと4名だ。他にはいないか?」
女冒険者「マスケット銃を持ってる。今まで10人以上殺した。」
口入れ屋「いいだろう。採用だ。」
口入れ屋でライと銃使いの女、さらに3人の用心棒が採用された。この3人は近接戦闘に特化した肉体派だった。
女ガンナー「よろしくな、弓使い。グローリアだ。」
ライ「よろしく。俺の名前はラインホルト、ライと呼んでくれ。」
グローリア「私たちふたりで5人は殺せるな。」
ライ「位置を取れればもっといけるだろう。俺は1秒でひとり殺せる。」
グローリア「ふ、強気の男は嫌いじゃない。」
エルベ川までの山道は難所だったが敵は出なかった。敵も難所には踏み込みたくなかったのだろう。川が近づいたところで、盗賊団が現れた。隠れて襲撃する気は皆無のようだ。堂々と河岸に船を着け、戦力を展開している。まるでエルベ流域が支配圏であるかのように。近接戦闘用の護衛はあきらかに怯えていた。
グローリア「奇襲をかける気すらないか。領主にでもなったつもりか。」
ライ「20名、いやもっといるな。」
グローリア「まあいい。おい、商人さんたち、私たちが負けたらあんたらも死ぬ。せいぜい神様に応援をお願いするんだな。そしてチャンバラ部隊、おまえらはここで踏みとどまって旦那たちを守るんだ。逃げたら後ろから撃つ。いいか、攻め込むんじゃないぞ。私たちが撃ち漏らした敵がここまで来たら斬り殺せ。」
ライ「攻めてきそうだ。」
グローリア「私は装填に時間がかかるから連射はできない。偉そうなやつを順番に殺す。ライはできるだけ敵の数を減らしてくれ。こっちは高台だ。敵の矢は届きはしない。」
ライ「わかった、任せろ。」
グローリアの射撃は正確で、しかも的確にリーダーを仕留めるので敵の指揮系統が崩れた。ライは1秒にひとり、無駄のない攻撃で次々に敵の数を減らす。こちらの陣地まで到達できる敵はほとんどおらず、到達できたとしてもマッチョなチャンバラ部隊に切り伏せられた。残った敵は船に逃げ込み、碇を上げてその場から退散した。
グローリア「よし、終わった。」
ライ「あんた、すごいな。」
グローリア「ふん、おまえもな。また組めるとうれしいぞ。」
ライ「俺もだ。」
経験値で強くなる世界ではないので、作戦が上手くいっても安心できませんね。ゲルタのビジュアル、なかなか好きです。




