胸くそはすぐ潰すのが猫世界の常識、桜CEOの英断、そしてオデットが貴族バフで無双
紬「胸くそはさっさと潰すのが吉、猫世界の常識か。うちらもそうしようにゃん。」
翼「いま1818年の初夏だから、ファンティーヌはもうコゼットを宿屋の性悪夫婦に預けちゃったね。」
桜「コゼットの不幸の始まりだ。介入はここから始めよう。」
翼「ミュージカルのポスターにもなっていた児童労働のコゼット。あんな目に遭う前に助けなきゃ。」
紬「あの夫婦、テナルディエだっけ、少しお仕置きしてやりたい。」
桜「娘がふたりいるね、コゼットと同じくらいの。この子たちに被害が及ばないようにテナルディ夫妻にお灸を据える。」
翼「だらしないから宿屋の経営はいつも行き詰まって借金が雪だるまだ。そこにつけいる隙があるのでは?」
紬「ふっふっふ、鋼鉄の富裕女子旅団、カネで殴りますか?」
桜「あいつらが借金に飲み込まれるのは、勤労意識が乏しいからなんだよ。仕事が嫌い。だから貧困化する。当然の話だ。」
紬「我らのCEOがこうおっしゃっていますが。」
翼「私もそう思います。要するにやつらにお灸を据えるなら、その大嫌いな労働から逃れられなくすればよろしいかと。」
桜「うむ、翼くん、君の言うとおりだ。労働のくびきに縛り付ける。そうすれば少なくとも彼らの娘たちが困ることはない。」
紬「両親が働いて子どもたちを養う。家族の基本的な形です。」
桜「最悪の経営者から労働者にジョブチェンジしてもらおう。これが最適解だ。あの宿屋の経営権を取得して、やつらはそのままそこの従業員として雇う。もちろん厳しい管理の元でだ。」
翼「CEO、さすがのご英断です。」
紬「人気の宿屋として繁盛するように育て上げましょう。」
桜「新しい経営者なんだけど....オデットにやってもらうのはどうかな?」
翼「ここの管理はどうするの?」
桜「もちろん常駐管理者を宿において、オデットはときどき様子を見に行くの。パリとモンフェルメイユは20km。馬車で簡単に往復できる。オデットも経営者となればやりがいがあるでしょ。」
翼「CEO、さすがの人心掌握術です。オデットは元々貴族。一国一城の主になるべき人材です。常駐管理者は彼女の直属の部下になるので彼女に選んでもらいましょう。」
桜「Hey, Odette, come here. We have a talk.」
オデット「Of course, Mademoiselle. Is something the matter?」
桜「“宿屋の経営をして欲しい。経営権は取得してあなたに任せる。あなたは経営者になるの。あなたはここの管理人をやりながら、ときどき宿屋へ様子を見に行って指導します。宿屋にはもちろん下働きの他に、常駐の管理者を置いて労働者を監督してもらいます。その人物があなたの直属の部下になるので人選は任せるわ。どう?”」
オデット「“私に事業を任せていただけるんですか?光栄です。”」
桜「“このアパルトマンの管理を見てきたので適任だと確信したのよ。“」
翼「”店舗の買い取りもオデットにやってもらいます。買い取り価格の上限は10000フランです。買い叩いた差額はあなたのものになるので改装費用や什器の一新に使いなさい。腕の見せ所よ。”」
紬「“これまで通り、管理人兼家政婦のお給金として月に100フランは払い続けます。そこに宿屋経営の収入が加わるのだから頑張り甲斐があるんじゃない?”」
桜「“ではさっそく取りかかってちょうだい。この10000フランの為替手形を使って有利な取引をがんばってね。“」
紬「ついでにコゼットという小さな女の子の状況を調べてきて。あの子、このままあそこには置いておけないから。」
オデット「“了解いたしました。きっとご期待に添えるよう頑張ります。”」
紬「“あ、そうだ。このミルキーを持って行って。コゼットにあげたり、村人から話を聞いたりするとき渡すと喜ばれるから。たくさんあるからオデットも食べてもいいのよ。”」
オデット「Merci, mademoiselle.」
馬車を降りたオデットはそのまま宿屋へは向かわず、村人たちに声をかけて宿屋の噂を聞いて回った。配られたミルキーは絶大な効果を発揮した。上品な甘み、懐かしいミルクの味、村人はみんな笑顔になり、宿屋について知っていることをすべてオデットに話した。思った通り、評判は芳しくない。代金を欺される。ワインを水で薄める。食品の保存状態が悪い。近所にここしかないので仕方なく入るが、他に選択肢があれば絶対にいかないとみんな口を揃えて言ってる。
オデット「Bonjour!」
テナルディエ妻「Bonjour, mademoiselle! À votre service!」
テナルディア妻は、突然入店してきた貴族風の女性を見て相好を崩した。金をむしり取れるかもしれない。
オデット「何か飲み物を。」
テナルディア妻「白ワイン、シードル、コーヒーもありますよ、お嬢様。」
オデット「紅茶はないのかしら?」
テナルディア「申し訳ありません。紅茶はちょっと...」
オデット「いいわ。この店が私のものになったら紅茶も置きましょう。イギリスから直輸入の。あと白ワインはアルザスね。そこは譲れないわ。まあ、あなたにいろいろ言っても仕方がないわね。ご主人を呼んでいただける?」
テナルディア妻「は、はい、ただいま。…… あなた、ちょっと来ておくれ!お客様だよ!」
テナルディア夫「あ、いらっしゃいませ、お嬢様。」
オデット「ちょっとそこに座っていただけるかしら。話があるの。」
テナルディア夫「何でございましょう?」
オデット「いろいろ調べさせていただきました。この宿屋、このままでは持ちませんね。パリで調査したところ、借金もずいぶんと貯まっているご様子。いずれ債権者が押し寄せて、あなたたちは路頭に迷います。」
テナルディア夫「そ、そんなことはありませんぜ...借金は毎月しっかり返して...」
オデット「つまり借金に追い立てられる日々を過ごしている、そうですね?」
テナルディア夫「う...。でもなんとか細々と返してはいるので...」
オデット「借金の額は....1000フランは超えていて2000フランにはまだなっていない、違いますか?」
テナルディア夫「そ、その通りです。1500フランとちょっとです。」
オデット「なるほど。ならばこうしましょう。私がこの宿屋を買い取ります。買取額は3000フラン。それであなたたちは借金をすべて返済できて手元に1500フランが残ります。そのお金を持ってどこかへ行っても良いのですが、このままこの宿屋で働きたいというのでしたら、雇用して差し上げましょう。月の給金はふたり合わせて80フランです。どうです?それで文句はないでしょう?住み込みですから家賃はかかりません。もちろん使用人部屋に住んでいただきますが。あ、そうそう。ちょっと建物が傷んでいるので大規模なリノベーションを施します。できあがるまで家畜小屋に仮住まいしていただきますよ。」
テナルディ夫は急な申し出に目をパチパチさせて驚き、やがて妻と目を合わせて頷いた。
オデット「条件は呑んでいただけたようですね。ではこれが3000フランの約束手形です。これであなたたちは借金から自由です。今後はしっかりと計画的にお金を使うよう心がけてください。すぐに工事が始まりますので、きょうから家畜小屋へ引っ越していただきます。そして....コゼットちゃんをここへ。」
テナルディ妻「コゼットですか?」
オデット「はい。彼女はある高貴な人物の血筋を引く子どもです。ここに放置するわけにはいきません。あなたたちに拒むことはできません。大きな力があなたたちを罰することになるでしょう。この宿屋でのささやかな暮らしも吹き飛びます。さあ、今すぐここへ連れてくるのです。」
テナルディ妻「かしこまりました。………… コゼット!コゼット!エポニーヌ!コゼットにおまえの一番良い服を着せて連れてくるんだ!急いで!」
オデット「コゼットちゃん、あなたは私とパリへ行くのよ。」
コゼット「パリですか?」
オデット「ええ、そこでお洋服を着替えて、それから少ししたらお母様のところへ連れて行ってあげます。」
コゼット「お母様?お母様に会えるの?」
オデット「ええ、ずっと一緒に暮らせますよ。」
コゼット「うれしい...」
早々にコゼットを救出することができました。宿屋の夫婦はダメ経営者から下働きに格下げです。これで最初の胸くそは潰れました。次回は何かな?




