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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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「レ・ミゼラブル」?金策して行かないと。だって「悲惨な人々」だもの、そのタイトル

挿絵(By みてみん)


ヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」、オリジナルはけっこう長い小説です。ぼくは小学生のときに読みました。長いのでほとんど忘れて、また読み直しました。

桜「しんどかったかしんどくなかったかといえばしんどくなかった。」


紬「長いひらがなは目がチラチラする。」


翼「とりあえず昭和平成の家庭像を無理強いして帰ってきたけどさ...」


桜「あきらかに心の声とは真逆だったよな、翼。」


翼「そうでも言わないと神託の強制力に勝てないもん。」


紬「外には神の血筋とイキって家の中では嫁の尻に敷かれる。平和だね。」


桜「尻に敷かれるに決まってるだろ。本来なら競走で完敗してるし、殴り合いでも負ける。」


翼「言えてる。だけどそれが古代ギリシャの新しい夫婦のあり方になるかもしれないよ。」


紬「イケショタの末路が哀れすぎる。まあでも、儚さこそ美少年の本質。たいてい花と散るというか死んで花になるし、アタランタ姉さんの硬い尻に敷かれる人生も悪くないかも。」


桜「尻に敷かれて押し花としてのセカンドキャリア、悪くないよ。」


紬「硬い尻が妊婦になって重くなり、硬くて重い尻になる。」


翼「頑張れ、ヒッポメネス。」


桜「転移は来週だよね?」


翼「そうだよ。来週の金曜日。」


紬「のんびり日常を楽しもう。」


桜「そういえばさ、親が仕事関係でミュージカルのチケットをもらってさ、私に3枚くれた。友だちと行って来いって。」


翼「へえ、題目は何?」


桜「レ・ミゼラブル。」


翼「あ、行きたい。観たいと思ってたんだ。駅にポスター出てたし。」


紬「I dreamed a dream! ちゃんと劇場で聴きたい。」


桜「明日の日曜日、行こう。」


翼&紬「やったー!」



挿絵(By みてみん)



翼「これ、なかなかチケット取れないって言われてる。」


紬「しかもSS席じゃん。1枚25000円。さすがは広尾のご令嬢。」


桜「親が仕事関係でもらったものだからね、お値段はないの。楽しもう。」


翼&紬「Let’s enjoy it!」



***********************************


女神「なるほど、こいつはいいな。」


翡翠「安易ですね。ここに転移させるって顔に書いてありますよ。」


青水「いいんじゃないか。ギリシャ神話でちょっと面倒くさかったから、わかりやすくて。」


翡翠「ミュージカルと原作小説はけっこう違いますけどね。」


青水「そりゃ狙っている層が違うからな。」


女神「わたしはミュージカル派だ。できれば出演したい。」


青水「おまえは何を着ても女神だから無理だ、諦めろ。」


*************************************



桜「いよいよ転移の金曜日。今度はどこかな?」


翼「ギリシャ神話だったから、次は近代じゃない?」


紬「近代は常にカネがものを言う。」


桜「異世界ゴールドは琉球の王様にプレゼントしちゃったから金庫にもうお金はないよ。」


翼「あれ、LINEだ。え?女神様?」


紬「女神様がLINEするの?なんかしっくりしない。」


桜「異世界の家で梅干しと梅酒を漬け込んでいるから出てこれない、だって。」


翼「私たちが買った家だ。」


紬「次の転移先は19世紀のパリだって。」


桜「19世紀と言われても前半と後半じゃずいぶん違うよ。返信して訊いてみる。………… 前半だってさ。」


翼「革命だらけ...だったっけかな。定期試験でやったの、ずいぶん前で忘れてるけど。」


紬「何月革命みたいなのがいくつかあった。」


桜「やばい、金策しないと。少し待ってもらおう。アミアージュを仕入れに池袋のヨシヨシジュエリーショップへ行かなくっちゃ。」


翼「タクシーよりも電車が速い。埼京線か湘南新宿ラインで10分。」


桜「余裕を見て2時間後に転移お願いしますって送った。」


紬「お店でルースを取り出してもらわないといけないしね。」



挿絵(By みてみん)



翼「けっこう買い込んだね、謎のルース爆買い女子高生トリオ。」


桜「アクセ作りが趣味の富裕層という雰囲気で押し通した。」


紬「そういうところは桜に任せて大正解。富裕層オーラをすぐ出せる。」


翼「そろそろ来そうだよ。」


桜「ムズムズだ。紬、アハ~ンって言うなよ。」


紬「ヒヒ~ン!」



挿絵(By みてみん)



桜「うわっ、転移してすぐに化け猫と遭遇だ!」


翼「パリに化け猫っているの?日本特有なのでは?」


紬「服を着て立ってるから一般猫じゃないよ。前に援助した長靴を履いた猫の子孫か何か。」


桜「あ、そうか。フランスで合ってる。」


雄猫「何をぐちゃぐちゃ言ってる。わしはガン・バルニャンじゃ。」


雌猫「私はニャン・ミャルニャンよ。」


桜「わざわざ日本語でありがとうございます。」


バルニャン「人間じゃないからな。何語でもOKじゃ。」


ミャルニャン「パリへようこそ、異国の怪盗団。」


紬「怪盗団ではない。」


桜「そうそう、私たちは鋼鉄の....今はまだ名乗らないぞ。」


翼「名乗れない...決まってないから。」


紬「ガン・バルニャン、いいネーミング。“レ・ミゼラブル”を観たあとだけに刺さる。」


桜「ねえガンちゃん、ジャン・ヴァルジャンを知ってる?」


ガン「うーむ、名前でラップが成立しそうだが...残念ながら知らん。」


ニャン「一発キメてやりなよ、ガン。」


ガン「うむ、できる猫だということを示してやろう。


  Yo, Yo!

  ユーが探すはジャン・ヴァルジャン

  だけどおいらはガン・バルニャン

  頑張るおいらはチャンプだニャン

  隣の美人はニャン・ミャルニャン

  ニャンニャンするぜ今夜もニャン


紬「お見それしました。」


翼「これからもよろしくね、ガン・バルニャン。」


なんか悲劇的な物語に突入するかと思いきや、変な猫のガイドが出てきちゃいましたね。この猫の元ネタは、小学生のときに「ガン・バルニャン」という名前を思いついてしばしば「ワシハガンバルニャンバルニャンバル...」と無限に言い続けられるというくだらない発見に感動したからです。おバカな子どもでした。

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