鏡の国に入るとヤバそう、無事に離脱してチェスの道、アリス再び
3人が森をしばらく進むと開けた場所に出た。そこに古めかしい屋敷があり、どうやら空き家のようであった。
紬「ほう、まるで寄って行けと言わんばかりに...」
翼「見た目から判断するとホラーの館ではなさそうね。」
桜「アリスの物語世界だからね。だけど理不尽な館である可能性は高い。」
紬「せっかくだし、ここで休んでいこうか。」
翼「トイレあるかな?」
紬「こういう空き家でトイレを借りるのはお勧めできない。」
翼「そうだね。家の裏でお花を摘んでくる。」
桜「アイテムボックスにいっぱいお菓子やフリーズドライを持ってきたから食べ物に困らない。」
紬「無限に入って重量がゼロってとんでもないチートだね。」
桜「思えば手に入れてから有効活用してない。」
紬「廃屋って感じでもないんだよなあ。埃も溜まってないし。」
桜「ふつうに家具が並んでる。ソファとテーブルとチェス盤と....」
紬「あっちのチェストの上に大きな鏡がある。ちょっとメイク直してくる。」
翼「ただいま。お花摘みの大敵の虫がいなくて快適だった。」
桜「私も行ってこようかな。あ...そういえばこの家にシャワーあるかな?あるなら浴びたい。涙洪水を泳いだあと身体を洗ってない。」
紬「ちょっと!何これ?」
桜「どうした、紬?」
紬「鏡に映ってるこの部屋が変になってる。チェスの駒やランプが宙に浮かんでる。」
翼「鏡とアリスと来たら...」
桜「鏡の国のアリス、原題は”Through the Looking-Glass”。」
紬「手を突っ込めるのかな?」
翼「アリスみたいに全身で通り抜けるのはリスクが高いよ。」
桜「このパターンは映画だとたいてい戻って来れなくなる。」
翼「手を突っ込んだら引っ張り込まれたりして。」
紬「あ、ちょっと後ろを振り向いてみて。」
桜「何だ?額縁に詩が書いてある...けれど鏡文字で読めない。」
紬「この鏡で読めるようになるよ。」
翼「アルファベットは読めるようになるけど単語の意味がわからない。スマホの翻訳アプリも降参してる。」
桜「これ、ジャバウォックじゃないの?たしか3つか4つ、変な魔物が出てくる。」
翼「ホントだ。噛みつく顎と引き裂く鉤爪のジャバウォック、ジャブジャブ鳥、バンダースナッチ、全部魔物だ。」
桜「たしかヴォーパルブレードで倒すんだよ。」
紬「そのブレードはここにないから、詩から出てきたらうちらお終いだ。」
翼「でもさ、ジャバウォックが出てくるということは、詩の中に書いてあるヴォーパルブレードも出て来るんじゃないの?」
紬「出てきたら桜お願い。」
桜「何で私なんだよ?」
紬「異世界でアタッカーやってた。剣術道場で修行もしてた。」
桜「詩の中にジャバウォックを倒す勇者は出てこないの?」
翼「んーとね、my son と呼びかけられてる存在がブレードでジャバウォックの首を切り落とすみたい。」
紬「あ、鏡の向こう側で詩の額縁からジャバウォックが出てきちゃったよ。」
桜「やばそうだからもうこの家を出よう。シャワーは諦めた。」
翼「とんだ罠だったよ。」
3人は家を出てしばらく歩くと、道がチェス盤になっていて思ったように歩けないことに気づいた。
桜「何これ?白を踏めないんだけど。」
翼「私は黒を踏めない。」
紬「私はジャンプして横にひとつだけ。」
桜「チェスの駒が立ち塞がる場所に行くと駒が消える。」
翼「ねえ見て、あれアリスじゃない?」
紬「ホントだ。トランプ兵士に取り囲まれてる。」
桜「助けに行きたいけど動きにくい。」
翼「この駒さ、消える前に掴めば投げられるんじゃない?」
紬「上手いこと先に進んで駒をトランプ兵士に投げつけよう。」
桜「よっしゃ、おーりゃあ!」
3人はケンケンパの要領で先に進みながらチェスの駒でトランプ兵士たちをなぎ倒し、アリスを救出した。
アリス「あ、みんな、助けてくれてありがとう。」
桜「森を出て迷子になったらここに着いた。」
翼「なぜトランプ兵士に囲まれていたの?」
アリス「赤の女王のお城に連れて行かれそうになってた。」
紬「赤の女王...ハートの女王...ごっちゃになりそうだけどごっちゃにしていいのかもしれない。」
桜「同じでいいんじゃない。作者のルイス・キャロルも気づいたんだよ。ハートを出すとダイヤも出さなくちゃならなくなって面倒くさい。」
翼「赤の女王は頭がでかいラスボス。」
紬「あれ?道のチェス盤が消えてふつうに歩けるようになってるよ。」
アリス「遠くにお城がふたつ見える。」
桜「あれはきっと赤の女王の城と白の女王の城だ。」
翼「じゃあ白の女王の城を目指そう。たしか白は味方だったような気がする。」
紬「どっちがどっちかわからない。」
桜「こういうのはたぶん...分かれ道のところで誰か教えてくれるはず。」
翼「アリスの世界だからきっとそうだ。」
アリス「白の女王のお城に着いたら物語は終わるのかな?」
紬「どうかな?このまま赤の女王が引っ込んでいるとは思えない。」
翼「白の女王と赤の女王って姉妹って設定だったっけ?」
桜「映画と原作とごっちゃになってもうわかんない。」
紬「ともかくラスボスの赤の女王がこのまま登場しないはずはないよ。」
翼「だね。“首をはねよ”を言わずに物語が終わるはずがない。」
ディズニーの実写映画ではもちろんジャバウォックとの戦闘が描かれますね。そして赤の兵士と白の兵士の合戦も。映画特有のスペクタクル性がそれを求めるのでしょう。ラノベではいらないかな。アニメなら必要かもしれないけど、執筆負荷が高い。分かれ道に誰が出てくるのか、アリスのファンはもうわかりますよね。




