全裸になると思ったけれど、水着で何とかしたよ、アリスの涙洪水
ワンダーランドの食べ物は危険物です。「私を飲んでね」と書いてある瓶、誰が飲むかって言うの。とりあえず全裸小人になる設定ではなくて良かったですね。
翼「いちおう物語の冒頭を押さえておくね。あの瓶の液体を飲むと小人になる。でも、あのドアには鍵がかかっていて、小さな身体では鍵が取れない。鍵はテーブルの上にあるから、小さいと手が届かないの。」
桜「つまり鍵を確保してから”Drink me!”を飲めばいいのか。」
紬「この先にアリスがいるのかな?」
翼「いるでしょ。巨大化して流した涙に押し流されてるとか、そんな感じで。」
紬「見つけたらどうすればいいの?」
桜「援助かな。いろいろ危ない目にも遭うみたいだし。」
紬「それじゃあ小人になってこのドアの向こう側へ行こう。」
翼「鍵は確保したね?それじゃあ We will drink you!」
紬「お、全裸は回避できた!」
翼「これはあれだね、作者の都合だね。」
桜「なるほど、全裸にすると挿絵が描けない。」
翼「アニメでは全裸にならず。実写映画ではなぜ全裸になったのかな?」
紬「実写だと全裸シーン――たとえ隠されていても――で観客が喜び、アニメだと見せられない。実写だと女優にいろいろお着替えさせられて華やかになる。」
桜「女体の取り扱いでいろいろ苦労するんだね、どっちに転んでも。」
翼「あれ?なんか床が水浸しだ。」
紬「やばい、これアリスの涙だよ。」
桜「巨大アリスが泣いてるのか。このままだと大洪水だ。」
紬「あっちで泣き声が聞こえる。行こう。」
桜「流れに逆らって進むのがキツい。」
翼「そしてどんどん深くなる。」
紬「とりあえず水着に着替えよう。このままだと溺れる。」
桜「みんな泳げる?」
翼「幼稚園から水泳教室に通ったからね。」
紬「小学校の大会で優勝した。」
桜「あそこで巨大アリスが泣いてる!」
翼「さっき小人になるために飲んだ薬、まだあるよね?それを口に流し込もう。」
桜「よし、ダイビングのライセンスを持っている私が水中からアクセスして口に薬を流し込む。」
翼「どうやるの?」
桜「水上を流れに逆らって泳いで行くのは無理なので、水中からアリスの服をめざし、襞やボタン穴を使って水中ボルダリング。襟につかまって薬品投与。」
翼「大丈夫なの?」
桜「視界を確保するためゴーグルを付けて行くよ。フィンがないのは残念だけど。」
桜「ほら、アリス、これで元の姿に戻りなさい!」
“Drink me!”の小瓶から数滴の液体がアリスの口の中へ落ちると、アリスの身体はシュルシュルと収縮して桜たちと同じサイズになったので、桜は溺れさせないようにしっかりとホールドし、そこに流れてきた深皿に乗り込んだ。翼と紬もそれを見てやって来た。
翼「やったね、桜。」
紬「このまま流れが静かになるところまで乗っていこう。」
桜「もう大丈夫だよ、アリス。」
アリス「助けてくれてありがとう。」
しばらく流されると、涙の急流は緩やかな川に変わり、JKトリオとアリスは岸に上陸した。そこにはネズミや小鳥などたくさんの動物が集まっていた。
ネズミ「あ、人間だ。こっち来んな!」
小鳥「焼き鳥にする気なの?」
翼「いえいえ、そんな。」
桜「洪水で流されてきただけだから。」
ネズミ「そのガキが作った洪水だろ。」
アリス「ガキじゃないもん、アリスだもん。」
紬「初対面で喧嘩腰はダメですよ。ミルキー食べる?」
小鳥「鳥類に食えないものを渡すって動物虐待よね。」
ネズミ「俺が箱ごと没収してやろう。」
紬「もう、仕方ないなあ、はい、ネズミさん、ミルキーどうぞ。」
ネズミ「おまえら、あっち行け、あっち。家があるぞ。」
桜「ありがとう。そうするわ。」
ネズミが示した方向に歩いて行くと、最初に見た服を着たウサギがブツブツ言いながら前を速歩で歩いている。耳をそばだてると「遅刻だ、時間がない!」と呟いている。
翼「ねえ、ウサギさん。何をそんなに急いでいるの?」
ウサギ「はあっ?おまえら急に話しかけるな!ウサギは臆病なんだ。死んだらどうする!」
翼「ごめんなさい。ゆっくり話すね。何に遅刻するの?」
ウサギ「イギリス人なんだ、お茶会に決まってるだろ。蛮族め。」
桜「ちょっと、あなた。人種差別はいけないわ。」
紬「そうそう、コンプライアンス違反。」
ウサギ「ちっ、まあいいだろ。おまえら、ちょうどいい。お茶会を開くのにメイドがいなくて困っていたんだ。女なんだからメイドをやれ。」
桜「人種差別の次は性差別なの?どうなってるの、この世界?」
翼「まあまあ、桜、19世紀イギリスなんだから、そんなものなのよ。」
紬「うちらはメイドをやってもいいけど、アリスはダメだよ。まだ10歳なんだから児童労働禁止。」
ウサギ「なら、このガキはここにおいて、おまえらだけその家でタンスを探してメイド服に着替えてこい。」
桜「わかったわよ、ウサギッち。」
ウサギ「メイドの分際で気安いぞ。私の名前は三月ウサギだ。」
翼「March Rabbit?」
ウサギ「ラビットだと?蛮族だから英語もわからんのか?Rabbit ではなくHareだ。高等種族だ。」
紬「小動物のラビットじゃなくて可愛くないほうのウサギなのね。」
アリス「アリスはゲストよ。お茶とお菓子でもてあそびなさい。」
翼「アリスちゃん、そこは“もてあそぶ”じゃなくて“もてなす”だから。」
桜「着替えてきました、ご主人様。」
翼「お客様は何人ですか?」
紬「キッチンにあったお菓子をガーデンテーブルに運びましょうか?」
ウサギ「人数は...わからん。お菓子はきれいにディスプレイするように。」
アリス「お菓子食べたい!」
翼「あ、ダメよ、アリス。”Eat me!”って書いてあるお菓子を食べると大変なことになるわ。」
アリス「え、そうなの?」
紬「ワンダーランドで飲んだり食べたりはしないほうがいいわ。お菓子ならあとで私たちがあげるから。」
これからお茶会に集まってくるゲストたち、当然話がかみ合いません。次回はティーパーティの場面からです。




