ククちゃんが大活躍、村に女たちの工房を作ろう、樽金は初の遠征で渡嘉敷島へ
片道徒歩で6時間、馬に乗れない3人にとってはけっこう大変ですね。馬だけじゃなくて船も操れないし。行ったり来たりの手間を軽減するのがククちゃんたち伝書鳩です。
真鶴「あ、お帰りなさい。ククちゃん、さっき帰ってきましたよ。あっちでお友だちできたってお便り付けて。」
翼「やったー!通信実験成功!久米村からもポンちゃんを借りてきたので、次の交信のためにしばらく預かっておいて。」
桜「鳩は150~200kmくらいの距離を戻ってくるから、海や山を越えた場所への通信にとても役立つんだ。」
翼「そうそう。そして途中に中継地点を設置すればもっと長い遠距離通信もできるんだよ。」
真鶴「そういえば宮廷とのコンタクトの問題、伝手の伝手をたどってなんとか来週にはここで会っていただけるようです。賄賂、すごく効きますね。私の直接の伝手に2両、その人の伝手に3両、そして宮廷と顔つなぎできる方へ5両、梯子をかけるように道をつなぎました。」
桜「よーし、やったね、真鶴ちゃん。じゃあ、来週また来るよ。うちらはいったん嘉手納に帰るね。」
翼「あ、そうだ。ククちゃん、また借りていくよ。今度は嘉手納から飛ばしてみる。またあっちでお友だちができる。」
真鶴「はい。行ってらっしゃいませ。」
紬「徒歩6時間もだるいなあ。海タクシーがあれば楽なのに。2時間ぐらいで着く。」
翼「それいいね。久米村と嘉手納に常駐させておいて、必要なときにすぐ乗る。」
桜「タクシーはやりすぎだろ。海上バスにしてみんなが利用できるようにすればいいじゃないか。」
翼「なるほど、交通網の整備第1号か。」
桜「ただいまー。あれ、樽金の船がない。」
ウミ「お帰りなさい、皆さん。」
翼「こんにちは、ウミさん。樽金の船が出てるみたいだけど王都に行ったの?」
ウミ「いえ、久米村に寄るかもしれませんが、慶良間諸島と久米島を目指すそうです。新造船でまだ遠出をしていないので、どんな島なのか自分の目で見てくるんだと。」
桜「村の女の人たちはみんな布を作ってるけど、それぞれのお家で別々にやってるの?」
ウミ「はい、材料の採取、糸紡ぎ、染料の用意、そして機織り、すべてそれぞれの家でやっています。」
桜「それさ、共同の作業所を作って分業でやったほうがよくない?」
ウミ「はい、そのほうが作業が速く進みそうですし、技術の維持にも便利かもしれません。」
桜「じゃあ作業所を建設して生産設備も一新するよ。任せて。」
ウミ「わかりました。村の女たちには伝えておきます。」
翼「ミトちゃーん、ただいま!」
ミト「おかえりなさい。鳩さんたちはみんな元気だよ。」
翼「この子はククちゃんっていうの。首里の鳩なんだけど、しばらくここで預かって。」
ミト「わかりました。かわいい。」
桜「女たちの機織り工房の件でまた久米村へ行かなければならないのか。」
翼「行ったり来たりがしんどい。どこでもドアが欲しい。」
紬「ククちゃんに手紙を預けて、その手紙を真鶴が蘭に届ければよくない?蘭が組織の伝手で機織り工房の件を片付けてくれるよ。」
桜「なるほど、ナイスアイディアだ。手紙と金貨1枚を届けてもらおう。工房建設と機織り道具の購入の前金として。」
翼「すごい、それ新しいかも。ピジョン・アズ・ゴールドブリンガー!」
翼「ミトちゃーん、さっき預けたばかりのククちゃん、お仕事だ。この手紙とこの金貨を届けてもらう。」
ミト「はーい!ミトちゃん、お家に帰るんだよ!」
そのころ樽金は慶良間諸島の渡嘉敷島に上陸していた。故郷の嘉手納もそれなりに美しい南国ビーチだが、それを上回る景観に樽金は感動していた。
男「おや、役人以外のよそ者がここに来るなんて珍しいな。」
樽金「新しい船を手に入れたので少し遠出をしてみようと思って。」
男「ああ、あれがおまえの船か。遠くからでもわかるぞ。あれはいい船だ。」
樽金「へっへっへ、ありがとうよ。この島は何ていうんだ?」
男「渡嘉敷島よ。この慶良間諸島で一番大きい。」
樽金「きれいな島だな。」
男「そうだろ。山があって水があるから農業もできる。もちろん漁業もだ。この島の男たちはみんな熟練の船乗りだぜ。琉球王府の進貢船が出るときは水夫として招集されるんだ。」
樽金「熟練の水夫がそんなにいるのか。うらやましいな。うちの村に婿入りしてくれないかな。」
男「はっはっは、よっぽどの別嬪がいれば行くやつがいるかもな。」
樽金「ここは慶良間諸島っていったな。ほかにどんな島があるんだ?」
男「二番目に大きいのが座間味島、次が阿嘉島だな。進貢船がよく停泊しに来るぜ。」
樽金「なるほど、王府にとって重要な島なんだな。」
男「そうさ、海を統べるためにはな。」
樽金「おお、その海を統べるって言葉、すごく心に刺さったぜ。俺はこの船でもっと遠くまで行ってみたい。」
男「この大きさだとひとりじゃ危ねえな。あとふたりぐらい乗せたほうがいいぞ。」
樽金「おう、村の男たちをこれから船乗りとして鍛えるんだ。」
真鶴「あら、ククちゃんだわ。もう戻ってきたの?え、手紙の他に背中に袋....まあ、金貨まで持ってきたの?すごいわね。金貨を運ぶ鳩なんて。…… え、この手紙を久米村の蘭さんに渡すの?機織り工房....なるほど、さっそく行きましょう。」
真鶴「こんにちは、鄭蘭さん。初めまして。私は首里の拠点を管理している知念真鶴と申します。」
蘭「初めまして。同僚ですね。」
真鶴「はい、きょうはこの手紙と金貨を預かってきました。」
蘭「そうですか。では ………… なるほど、村の女たちの工房を作るのですね。この金貨はその前金だと。」
真鶴「そのようです。手配していただけますか?」
蘭「もちろんです。手配が済んだらすぐに嘉手納に向かわせます。」
真鶴「ありがとうございます。お願いします。」
蘭「ご主人様たちは何か大きなことを成し遂げようとしているようですね。」
真鶴「はい、宮廷とも接触しようとしています。」
蘭「私たちもしっかりとお仕えしましょう。」
真鶴「はい、琉球を強い国にするために。」
村には工房、そして新しい船、3人の黄金乙女たちは宮廷をも巻き込んで次の一歩を踏み出します。Googleマップで沖縄周辺を見ながら書いています。




