ヤバい、サツマ・クランが独立を宣言した、JKトリオとメロは孤立か?
西郷恐るべし。迅速にして大胆。こちらは後手に回るばかり。
メロがパタパタと夜のサキュバス活動をしていると、怪しいローブ姿の男が3人、路地で話をしている。ローブの背中には小さくサツマ・クランのマークが見える。バカなやつだ。潜入活動で制服を着るとは。メロは宙空からこっそり気付かれないように精気を吸って最後にピュッと力を入れた。男はハフッと息を吐き快感の果てに膝をついた。メロは残ったふたりに気付かれないように隠れ、その動向を探った。
急に仲間が息を荒くして膝をついたので、残ったふたりは周囲を怪しみ、果てた仲間を抱きかかえて路地を急いだ。その先は町の城門だ。どうやら町の外に逃げ出すらしい。メロは上空から気付かれないように跡を付けた。2時間ほど進むと、ふたりはある廃村に入っていった。廃村のようだが、各家屋に火が灯されている。大勢の人間の気配がする。メロはそのまま町へ戻った。空が白み始めている。
桜「おはよう、メロ。」
メロ「昨夜、敵を見つけたよ。ピュッと吸ってやった。」
翼「倒したの?」
メロ「3人いたので残ったふたりが抱きかかえて逃げた。見つからないように空から跡を付けてやった。」
紬「町の中に拠点があるの?」
メロ「いや、町の外に出て廃村に入った。そこが敵の拠点っぽい。大勢の人の気配があった。」
桜「ヤバい。そこから攻め込まれたらこの町の警備隊では防ぎきれない。」
翼「王都へ知らせよう。」
桜「女神様―、お願い、エラさんに伝えて!」
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女神「呼ばれて飛び出て電話女神ちゃん...じゃないよ!まったくもう!」
青水「まあそう言うな。あいつらも必死なんだから。」
翡翠「女神様、お待ちかねの出番ですよ。」
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女神「おい、エラ。港町の近所の廃村だ。そこにサツマ・クランが集結している。」
エラ「あら、大変!王都防衛隊に知らせに行かなきゃ。」
女神「サキュバスで水商売、防衛隊に行くハードルは高そうだな。」
エラ「あら、そんなことはないのよ。王宮防衛隊にもお得意様がたくさんいるもの。こう見えても顔は広いのよ、私。」
エラ「こんにちは、ちょっと良いかしら?」
隊員「お、エラさん、隊員の売り掛けの回収かい?」
エラ「うちの店はそんな野暮なことはしないわよ。そうじゃないの。港町が大変なことになりそうよ。」
隊員「まさかサツマ・クランが港町へ?」
エラ「メロと3人のJKを港町へ偵察に出してるの。さっき連絡があったわ。近所の廃村にサツマ・クランが潜んでいるみたい。」
隊員「それはまずいな。背後から襲われたら港町が持たない。」
エラ「そうなの。対応をお願いできるかしら?」
隊員「わかった。上司に奏上して対策を検討してもらおう。」
エラ「できるだけ急いでね、お役所さん。」
しかし、サツマ・クランのスパイはもちろん王都にも潜伏していた。そして彼らは、異世界では使われていない通信方法を知っていた。モールス信号である。西郷はこれを電信という形で使うことはできなかったが、高い木のてっぺんに針金を通し、途中に中継所を設置して団員を配置し、信号で拠点まで情報を伝えることができたのである。これによって西郷は王宮警備隊が廃村へ迫ることを早めに察知し、手を打った。攻撃対象を港町ではなく山麓の町へ変更し、電撃作戦でこれを制圧したのである。山麓の町の近所にはドワーフの村がある。サツマ・クランはこれを攻めてドワーフを拉致した。そして山麓の町に残された大量のダークナイト素材を利用して、ドワーフの鍛冶屋たちに銃を製造させたのである。制圧した山麓の町で西郷隆盛はサツマ国の独立を宣言し、町民を強制的に徴兵した。自分が西南戦争で味わった、銃を持つ平民兵の脅威を今度は自分が使うつもりである。
西郷「我々はここにサツマ国の独立を宣言した。王宮はこれを認めるつもりはないだろう。だが、心配はいらない。我々には統率された軍隊と圧倒的な武力がある。敵が押し寄せるまでまだ数日はかかるだろう。寸暇を惜しんで訓練に励み、練度を高めて敵を迎え撃つのだ。戦争はレベル差ではなく、統率と軍備で勝敗が決まる。ダンジョン攻略の延長上にあるお遊びの攻撃に我々が屈することはない。銃を構え圧制者を倒せ。我々の独立を守り通すのだ。」
そのころ3人は廃村を調査に来ていた。誰もいない。たしかにここに大勢の人間が滞在していた形跡はある。轍の跡は山麓の方面に向かっていた。
桜「廃村がもぬけの殻だわ。」
翼「人がここに集っていた形跡はあるのだけど。」
紬「どこに消えたかな。」
桜「山麓に向かって足跡や轍がある。」
捜索している4人を観察しているグループがあった。メロが上空に飛んで銃を構える一団を発見した。
メロ「危ない!伏せろ!」
紬が伏せながら範囲物理シールドを展開し、放たれた銃弾を弾いた。桜は習得してから初めて使う睡眠と麻痺で敵を無力化し、翼が結束バンドで拘束した。
桜「鉄砲を使うのか...」
翼「もう軍隊じゃん。」
紬「王宮警備隊に引き渡そう。」
桜「港町と始まりの町、距離は同じくらいだけど...」
メロ「始まりの町のほうが規模が大きい。港町は落ちるかもしれない。」
翼「山麓の町...もう陥落したのかも...」
桜「こんにちは。廃村で反乱軍とおぼしき賊を捕らえました。」
隊員「おお、またですか。もうこれで7人目ですよ。」
翼「山麓の町は大丈夫ですか?」
隊員「いえ、あそこはサツマ国として独立を宣言しました。勝手に国境を設定して封鎖しています。」
紬「何ですって!」
隊員「王都の本部とも連絡が付かないんです。困惑しています。」
桜「港町は?」
隊員「そっちも連絡が付きません。」
翼「山麓の町と港町を制圧されたら、この国は中央部で南部と北部に分断されてしまうじゃないですか。」
隊員「そうなんです。その状態でここを攻められたらもうお終いです。」
その懸念は的中した。西郷は次のターゲットとして港町に進軍した。港町付近に集結していた王都警備隊と戦闘になったが、兵站と通信と銃武装の平民兵という、史実の西南戦争での敗北要因をすべて回収した西郷はこれを簡単に打ち破り、港町に駐屯する警備隊は防戦を諦めて降伏した。港町はサツマ国領に含まれ、王国は中央部分をサツマ国によって分断されることになった。
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青水「おいおいおい!これはさすがにヤバいんじゃないのか?」
翡翠「まるでヒトラーの電撃作戦ですね。しかもほぼ中世世界なのに近代軍を運用、卑怯にもほどがあります。」
女神「あー、面倒くさいことになった。すべてはあの忌々しい甘やかしの女神のせいだ。私が作ったこの異世界、どうしてくれるんだよ!」
青水「女神、ダンジョンからドラゴンを出せ!」
翡翠「ダメですよ、兵隊より先に町の人々に犠牲が出ます。」
女神「あーあ、いっそこの世界をリセットして作り直そうかな。」
青水「おい!キリスト教の神が大洪水を起こすみたいなことを言うな。」
翡翠「そうですよ。そんなことをしたらここまで海の藻屑です。」
青水「あのJKトリオとメロが始まりの町にいるけど、このままでは王都に戻れそうもないな。」
女神「どうする、青水、連載を打ち切るか?」
青水「くっ、女神よ、それは大洪水よりひどいぞ。」
翡翠「ともかく、私が王女様に会いに行きます。」
自分で書いておきながらですが...戦況をひっくり返せる自信がありません。AIに訊いてみたら、もう戦況としては負け筋ですと言われてしまいました。女神様は大洪水でリセットとか言い出す始末だし...。こんな状態で、次回をお楽しみにと言いにくい。




