C級ダンジョンはもう楽勝、お家も買えそう、サツマ・クランの不気味な挙動
資金繰りは順調です。不動産を買うって夢がありますね。それを実現すれば、あとはドラゴンを倒すだけ。女神様が東京に帰してくれます。
受付嬢「いらっしゃいませ。預かった分担金は、たしかにフィナさんへお渡ししました。はい、領収証です。
桜「ありがとうございます。きょうはギルドの上層部にお話があってきました。」
受付嬢「どのようなご用でしょう?」
翼「サツマ・クランについてです。」
受付嬢「わかりました。取り次ぎますのでこちらへどうぞ。」
幹部1「こんにちは、冒険者さん。サツマ・クランについて話があると伺っております。」
桜「はい...その...ギルドは彼らをどう思っているのでしょう?」
幹部2「LV1の初心者を大量動員して低級ダンジョンに何度も挑む集団ですね。少し異様です。」
幹部1「そしてほぼ必ず犠牲者を出す。」
翼「犠牲者をダンジョンに放置して帰還しているようですが...」
幹部2「あまり褒められることではありませんが、戦闘中の離脱なら回収する余裕はないでしょう。しばしば起こりえます。」
紬「攻略しているのはFとEですか?」
幹部1「はい。先日Dに挑戦して半数を犠牲にして撤退しました。」
桜「ギルドにとって迷惑な存在ではありませんか。」
幹部2「大勢でFとEを攻略するので、受付が渋滞して一般の低レベル冒険者がなかなか攻略に出発できません。」
翼「10人でFを攻略しても得られるドロップはせいぜい500から600ですよね。分ければひとり50から60、とても割に合わないのでは?」
幹部1「彼らは得たゴールドをいったんすべてクランに収め、冒険者にはレベルに応じた日給を支払っているようです。」
桜「レベルに応じた?」
幹部2「はい、実にシンプルでLV1なら1ゴールドです。」
翼「食べていけないじゃありませんか。」
幹部1「拠点で食事とベッドを提供しているので生存は可能だとか。」
桜「低レベルダンジョンの事実上の独占は、ギルドとしても見逃せないのでは?」
幹部2「はい。ですが彼らはサツマ・クランの名で攻略に登録していません。規制できません。」
紬「攻略パーティの人数を制限すれば?」
幹部1「今それを検討しているところです。」
3人はギルドの隣の冒険者酒場アーベントイアーへ向かった。
シルヴィ「やあ、おまえたち。レベルが上がったぞ。フィナはLV35、私はLV34だ。Cに挑戦して上がった。」
フィナ「分担金の14万ゴールド、たしかに受け取ったよ。フィナ、すごくお金持ちになった。」
シルヴィ「私たちも家を買えそうになってきた。おまえたちのおかげだ。」
桜「それはよかった。私たちも家を探してるの。」
フィナ「立地が大事だよ。治安が悪いと泥棒や強盗が来ちゃう。」
翼「うん、メロもそう言ってた。」
紬「ところでさ、最近サツマ・クランという低レベル集団がいるじゃん。ギルドも困ってるみたい。」
シルヴィ「低レベルダンジョンを独占してるって話か。たしかにあれはひどいな。」
フィナ「新規参入者がクランに入らないと冒険者生活を始められないんだよ。」
シルヴィ「そしてあいつら、衛生状態が悪いのか、臭い。」
フィナ「お金がないから酒場へ来ないのはいいんだけど。」
桜「問題の根は深いけれど解決の糸口が見つからない典型例だね。」
翼「迷惑宗教団体を解散させられないみたいな話。」
シルヴィ「ねえ、せっかくここで会ったんだから、これからC級ダンジョンへ行かない?タンク1,アタッカー2,後衛2でバランスもいいし。」
紬「行きましょう。レベルが上がるかもしれない。」
C級ダンジョンの敵は、物理系アタッカーのオーク、オーガ、リザードマン、シューターのインプ、そしてキャスターのダークメイジだ。ヴァンパイアの洞窟を経験した3人にとっては取るに足らない相手だった。そして、そのせいかレベルは上がらなかった。ドロップアイテムを鑑定すると13000ゴールドになった。かつてなら小躍りした額だが、大金を所持する3人にとっては、やはり取るに足らない小遣いでしかなかった。シルヴィだけがLV35になって満足そうだった。攻略で得た13000ゴールドは、これから家を買おうというエルフ姉妹に寄付した。
翼「私たち、店で買い残したものまだあったっけ?」
桜「魔法剣士のデバフ。それから翼の片手剣もミスリルソードからアップグレードしたほうがいいかな。」
紬「私、いまさらだけど魔法適性が光と闇と治癒だけだから、属性範囲魔法が使えない。」
翼「フィナちゃんは闇以外すべてに適性があったから優秀ね。」
紬「エルフと人間を比べて私を値踏みするような目で見るな。」
3人は店を回り、翼にアダマンソード、桜に毒、麻痺、睡眠、混乱の魔法を買って、全部で35000ゴールドを支払った。
桜「そういえば、山麓の町で倒したダークナイトの甲冑、そろそろ解体が終わってコンカフェにお金が振り込まれているんじゃない?」
翼「あ、忘れていた。行ってみよう。」
紬「こんにちは。」
エラ「いらっしゃい。待ってたわ。振り込みがあったの。」
桜「やった!」
翼「いくらだったんです?」
エラ「ダークナイトの甲冑は解体したら150万ゴールドになって、その6割ということで90万ゴールドよ。」
紬「すごい!」
エラ「メロも大喜びでパタパタ飛び回っていたわ。」
桜「5人で割るとひとり18万ゴールド...うちらの取り分は54万ゴールドになるわ。豪邸が買えそう。」
エラ「ふふふ...前祝いにここでパーティしましょ。ミナルナにおひねりもはずんでね。」
翼「わっかりました~!」
3人が店で楽しく飲んでいると、中岡慎太郎とエルヴィの夫妻がやって来た。
中岡「よう、みんな元気か?」
翼「あ、中岡さん。お久しぶり。」
中岡「俺たち、ついにB級ダンジョンを攻略したぜ。おかげでもうLV50だ。上級冒険者の仲間入りだ。」
桜「おめでとうございます。では最高級シャンパンを開けてお祝いしましょう。」
エルヴィ「まあ、ありがとう。それ、まだ飲んだことがなかったの。楽しみだわ。」
中岡「60年も生きてきてまだ飲んでなかったのか。まあ俺もだが。」
翼「うちらも初めてですよ。1本1万ゴールドもしますから。」
紬「シャンパンゴールドのシュワシュワ!」
桜「おまえは3杯で打ち切りだからな。」
中岡「そういえば西郷のサツマ・クラン、金が貯まってきたのか、変な制服を隊員に支給し始めたぞ。」
エルヴィ「大勢でオラついた感じで町を行進してるの。なんだか不気味だわ。」
紬「ナチスの親衛隊みたい。」
中岡「こないだ受付で揉めていたぞ。人数制限がどうのこうので。」
エルヴィ「ダンジョン攻略のパーティは最大5人までって規則が変わったのよ。」
桜「当然ですよ。無制限にしたら軍隊でダンジョンを制圧ってことになっちゃうじゃないですか。」
中岡「西郷はどうやらそれを狙っていたようなんだ。やはりあいつは軍人政治家だからな。」
紬「ならばこのままおとなしく引き下がるかどうか心配ですね。」
異世界で3人は順調なのですが、サツマ・クランの挙動がますます不気味になってきました。JKトリオは彼らが引き起こす事件に巻き込まれることになるのでしょうか?




