やっと準備は整った、待ってろよ、ヴァンパイアロード!
長かったけれど、ようやくヴァンパイアに杭を打ち込むことができそうです。
鍛冶屋「いらっしゃい、何かご注文かな?」
桜「これ、アメジストの塊なんだけど、これで魅了対策のアクセサリーを作れないか?」
鍛冶屋「これは....どうやって手に入れた?」
桜「苦労してアメジストドラゴンを倒したんだ。」
鍛冶屋「なん...だと?」
翼「死ぬかと思ったよ。」
鍛冶屋「手に入れた大量のアメジストはどうしたんだ?」
紬「ギルドに収めたさ。」
鍛冶屋「...でかしたな...おまえら!」
メロ「なんだかすごくうれしそうだな。」
鍛冶屋「あたりまえだ。この町に経済革命が起こる。俺たちに大量の注文が舞い込む。」
桜「そうなのか?」
鍛冶屋「めったに手に入らない希少素材がドラゴンの大きさで流通するんだ。町中の店が買い込んでうちにアイテムを発注するだろう。そして、この町で捌ききれない分は王都をはじめとする国内の町に売却されてこの町にゴールドが流れ込む。経済バブルの開始だ。みんな忙しくなる。うちも先回りして人を雇い入れないと仕事が回らなくなる。」
桜「それはなによりだ。で、うちらの依頼は?」
鍛冶屋「おう、功労者には特別にタダで作ってやるぜ。チャームレジストリング。おまえらは5人だから5つでいいな。待ってな、明日まで作っておいてやるよ。夜なべして作るから、明日の朝に取りに来な。」
メロ「ありがとう、親方。」
桜「親方、もうひとつ頼みがある。銀の在庫は足りてるか?」
鍛冶屋「ああ、武器や防具を20個ぐらい作れるぜ。」
桜「ヴァンパイアの胸に打ち込む杭を5本作ってくれないか?」
鍛冶屋「おまえら...ヴァンパイアを討伐に行くのか?」
メロ「そうだよ。ギルドから正式にクエストを受けた。」
鍛冶屋「ならそいつも明日おまけにくれてやるよ。あいつらには恨み骨髄に達してるんだ。倉庫を荒らされて素材をごっそり盗まれたからな。」
桜「すまない。恨みはきっちり晴らしてやるよ。」
紬「マンソンジュにも勝利の情報を伝えに行こうか。」
翼「そうだね。いろいろ教えてもらった恩義もあるし、店も早めにアメジストをギルドから入手したいだろうし。」
桜「モデストとパキスタン本店にも伝えておこう。まずこの町の店がアメジストを入手して商品開発すべきだ。どうせ余るだろうから、残りは王都などに売却。この町は潤うよ。」
翼「ふふ、桜、久しぶりにCEOになってる。」
桜「敵を討伐するだけのありきたりの勇者じゃつまらない。町を豊かにしてみんなを幸せにするんだ。」
紬「それでこそ港区JKトリオだね。」
翌朝、鍛冶屋で指輪と銀の杭を受け取った一行はヴァンパイアの洞窟に向かった。ここまで準備したので士気はMAXだ。そして敵の防衛線は薄い。受付嬢の機転でヴァンパイア化した冒険者はわずかだった。一行は難なく最奥のヴァンパイアロードの間に到達した。
桜「待たせたね。もう姑息な手段は通用しないよ。」
メロ「今度こそ年貢の納め時だ。」
ヴァンパイアロード「チャームレジストリングか....これは困ったな。」
眷属1「主よ、ここは私たちがくい止めますからどうか脱出を。」
翼「逃がすわけがないでしょ。」
ヴァンパイアロード「逃がしてくれたらこの宝物庫の鍵を渡すが。」
紬「渡してくれなくても塵になったおまえから拾い上げるから問題ないよ。」
メロ「おまえはもう詰んでるんだ。」
4人の眷属は高位の攻撃魔法の詠唱を始めたが、桜が先んじて首をはね、翼がシールドバッシュで転がした。宙に逃れたヴァンパイアロードをメロのヴァイタルアブソーブが捕らえ、力が抜けたロードは落下した。
桜「チャームがなければ脆いものだね。」
翼「首を切り落として胸に銀の杭、これで終わりだ。」
紬「アンデッドもデッドだよ。」
フィナ「もう飽きたでしょ、この世に存在するの。」
桜「土に戻りなさい!」
ボス戦とは思えないほど戦闘はあっけなかった。JKトリオはLV35に、フィナはLV34になった。塵の中から拾い上げた鍵で開けた宝物庫には光り輝く金銀財宝が眠っていた。
翼「すごい....」
桜「これ、この町のギルドじゃ買い取れそうもないから王都に持って行こう。」
紬「そうだね。アメジストの買い取りで現金が枯渇してるよ、きっと。」
桜「ギルドにはクエスト終了の報告だけしに行こう。」
受付嬢「お帰りなさい。その顔を見ればわかります。討伐に成功したのね。」
桜「はい、最後はあっけなかった。」
受付嬢「クエスト報酬の30000ゴールドです。そして鑑定ですが...」
桜「鑑定は王都でします。この町はいま経済革命でいろいろ大変だと思います。貨幣と素材と商品と、動きがすごく激しいはずです。受付嬢さんも大変でしょうが、町が急激に豊かになる現場でのお仕事、やりがいがあると思いますよ。頑張ってください。」
受付嬢「お気遣いありがとう。頑張るわ。ダンジョン経済の発祥の地ですもの。」
翌日、一行は王都に帰還した。宿に荷物を置いてコンカフェに向かうと、エラが迎えてくれた。
エラ「お疲れ様。メロがすごく成長して戻ってきたわ。みんなのおかげね。」
桜「いえ、すっかりお世話になりました。良いリーダーでしたよ。メロさんがいなかったら何度も死んでいたと思います。」
エラ「まあ、嬉しいこと言ってくれるわ。あの子とは別に血がつながっているわけじゃないけど、腐れ縁というか、妹や娘みたいな関係なのよ。不良娘から更正したってこともあってね。」
紬「たくさん稼いできたので高級シャンパンをたくさん開けてお祝いしましょう。」
桜「おまえは3杯までな。」
翼「ミナルナさんのパフォーマンスにもたくさんおひねり投げたい!」
エラ「あらあら、今日は大祝賀会ね。」
しばらく楽しく飲んでいると、シルヴィがフィナと中岡慎太郎と美しいエルフ女性を伴って来店した。
シルヴィ「やあ、フィナがすごく成長してたくさん稼いで帰ってきた。おまえたちのおかげだよ。ありがとう。」
桜「いえいえ、こちらこそすっかりお世話になりました。フィナちゃんがいなかったら死んでたかもしれない。」
中岡「紹介するよ。妻のエルヴィだ。」
エルヴィ「よろしくね。もう60歳過ぎの婆だけど。」
翼「還暦過ぎ...長命種は想像をはるかに超えますね...」
王都に帰還したJKトリオ。まだLV35だけれど、装備が充実しているのですごく強いはず。幕末の志士の中川と再会したけれど、この先、何か波乱があるのでしょうか?




