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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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112/167

異端審問官を審問する異端審問逆審問隊を結成したよ、AI総動員で教義問答だ

今回は教義問答で論破しなければならないので、少し文字数が多くなりました。ウザかったら斜め読みで飛ばしてください。

桜「小さいアミアージュのルースを受け取ってもらえてよかった。」


翼「お金のこと何も考えずに来ちゃったからね。」


紬「異世界の100ゴールド貨幣だと10gもあって怪しすぎる。」



挿絵(By みてみん)



桜「じゃあ荷物をここに置いて着替えて出かけますか。」


翼「進め、鋼鉄の花摘み娘隊!」


紬「無駄な水分を闇夜に埋めるのだ!」



挿絵(By みてみん)



桜「焚火を絶やさなければ狼はまず襲ってこないでしょう。」


翼「もしそれでも来たら熊スプレーで撃退ですよ。」


紬「いちおうこの焚火を囲むように3カ所にマーキングしてやったからね。」


桜「闇夜に埋めた花摘み娘隊の警告。」


翼「寒くてブルブルッてなってすぐマーキングできた。」


紬「フリーズドライ飯を食べながら作戦を考えようか。」


桜「無実の村人の女を尋問にかけようとしている現場を押さえる。」


翼「幸い宿屋と修道院が近いので出口を監視できる。」


紬「クラーマーが出撃したら跡を付けていちゃもん付ける。」


桜「危険なのでローブに武器を隠し持って行こう。」


翼「AIを総動員して、村人女にクラーマーがどんな嫌疑をかけるのか予測してもらったよ。」


紬「どんなのが出た?」


翼「ターゲットになりやすいのは、薬師や産婆。結果が思わしくなかった場合、村人がそれを教会にチクる。次に、寡婦。共同体にとって性的な不安要因になるから。同じ理由で、美しすぎる若い女も、告ってフラれた男が教会に訴えやすい。」


桜「思い切り胸くそだな。女ってだけでだいたいアウトじゃん。」


紬「具体的な介入、つまり論破の可能性については、宿に帰ってからゆっくり考えよう。」



挿絵(By みてみん)



桜「動いた。どうやら出撃するみたい。」


翼「跡を付けよう。」


紬「テイザー、催涙スプレー、催涙グレネード、すべて携行確認。」


桜「Here we go!」



 クラーマーの一行は、助祭神父が2名、護衛の騎士が3名、合計6名だった。騎士はソードの他に槍を携行している。



桜「あの人数なら無力化するのは簡単だけど、それじゃ意味がないんだよ。」


翼「ギャフンと言わせないとね。」


紬「あのさ、考えたんだけど...アプリの音声モードで会話するよね。こっちは機械音声じゃん。喋るときに必ず、神の名において、って付けるのは?」


翼「”Im Namen Gottes“...なかなか効きそうですな。」


紬「神の名において我は汝に問う、神の名において我は汝に告げる。」


桜「それ、繰り返されるとだんだん不安になるやつ。」



 クラーマー一行は村人の男に案内されてある家屋の扉の前に立った。助祭神父が扉を叩く。30歳ぐらいの美しい女が姿を現した。クラーマーを案内してきた男を見て、怒りで顔を歪ませている。



桜「よし、クラーマーが不当に身体接触を開始したタイミングで介入するよ。」


翼&紬「ラジャー。」



 クラーマーは女が理解できないラテン語で長々と説教したあとで、助祭神父から何か金属製の道具を受け取った。鋼鉄の異端審問逆審問隊が動いた。



翼「Wartet!」


桜「“神の名において我は汝に問う。その手にしている道具は何か?”」


クラーマー「怪しい奴め、神の名を騙るでない。これは悪魔の印である除痛帯を探すためのヘクセンプリッカーだ。これに刺されて痛みがなく血も流れなければそれが悪魔と結びついた魔女の印だ。」


桜「“ふ、ならば神の名において我は汝に求む。そのインチキ針(Falsche Nadel)を精査させよ。」


クラーマー「謎の小箱から怪しげな声で神の名においてなどと抜かし続ける貴様、その道具は何だ?」


翼「Das ist die Bibel!」翼は定冠詞のディーに強いアクセントを置いて言葉を放った。


桜「“神の名において我は言う。これは真理を告げる書物としての聖書である。”」


紬「“神の名において我は汝に問う。ビーベルの本質をなすのは文字であるか、あるいはその精神であるか?”」


クラーマー「ふん、教義問答を仕掛けるつもりか?小ざかしい。その精神は文字に宿る、それが答えだ。信徒は書かれた文書を文字通りに理解すればいい。」


紬「“神の名において我は汝を断罪する。精神がどのように文字に宿るのか、何の答えにもならぬ答えを司祭が述べるか?”」


桜「“神の名において我は汝に問う。貴様が依って立つ聖書は何か?”」


クラーマー「唯一にして無二の聖書、ウルガータである。」


桜「“神の名において我は断言する。それは原典ではない。翻訳に過ぎない。すなわち、すでに解釈が施されたものである。“」


翼「“神の名において我は汝を教導する。新約聖書の最も古い形は紀元1世紀に古典ギリシャ語で書かれたが原本は失われ、その紀元2世紀にパピルスに残された断片が最古のものである。紀元4世紀にはシナイ写本やバチカン写本が整備された。一方、旧約聖書の原典はもはや現存しない。断片で最古のものは紀元前7世紀のケテフ・ヒノム(銀の巻物)であり、言語はヘブライ語である。だがヘブライ語以外にアラム語で記載された部分もある。”」


桜「“よって神の名において我は汝を断罪する。起源があやふやなウルガータの権威に頼り、あまつさえコリント人への第2の手紙、すなわち文字は殺し、霊、すなわち精神は生かすという教えを忘れて文字面を独善的に歪めて解釈するそのやり方、まさしく神の教えに背く所業、万死に値するであろう。”」



 言い負かされてクラーマーはブチ切れた。「この悪魔の手下どもを捕らえよ!」助祭神父と護衛の騎士たちが動いたその瞬間、鋼鉄の異端審問逆審問隊のテイザーが火を吹いた。いや、実際には火ではなくて電撃だが。クラーマーを含む6人はその場に倒れ動けなくなった。



桜「“神の名において我は告げる。これは神の怒りのいかづちである。一時的に動きを止めただけだ。会話はできる。尋問を続ける。”」


翼「“神の名において我は汝に尋ねる。虚偽の回答は涜神であると心得て答えよ。このヘクセンプリッカーなる道具、針が引っ込む仕組みになっているが、冤罪を作り出すために作られたものか?”」


クラーマー「尋問を効率的に行うための道具だ。」


紬「“神の名において我は汝に問う。なぜ女だけが異端審問の対象に選ばれるのか?”」


クラーマー「女は劣った性だからだ。女(Femina)は、Fe(Fides信仰)がmina(Minus)だからな。」


桜「アホか!いや、コホン。“神の名において我は汝の無知を断罪する。そんなダジャレのようなこじつけを権威の拠り所にするなど、まっとうな神学者は決して許さない。今の言葉、言質を取った。間もなく断罪されるであろうからおとなしく待つが良い。”」


翼「全部録音したからさ...Wir haben alles aufgezeichnet.ガクブルで待ってな。」


紬「エライ人たちに全部ぶちまける。ケルン大学神学部とかインスブルック司教とか。」


クラーマー「ぐぎぎぎ...」



 この顛末を見た密告者の村人は後ずさりして逃げだそうとしていた。だが翼がそれを許さずテイザーを構えた。



翼「“おまえ、逃げられると思うなよ。さあ、自白しろ。フラれた私怨からこの女性を教会に密告したと。生年月日と名前もだ。”」



 すべてを終えて鋼鉄の異端審問逆審問隊はその場を後にし、クラーマーに批判的だったケルン大学神学部とインスブルック司教のゲオルク・ゴルザーの元へ赴き、証拠を開示した。録画や録音という未来技術に驚愕しつつも、紛れもないクラーマーの姿や声を前にして、彼の批判者たちはすぐに訴追の準備を始めた。


Fminaのダジャレ、あれはクラーマーの著作「魔女に与える鉄槌」に記されていたようです。もちろん当時の聖職者から鼻で笑われることも少なくなかったそうですが、所詮15世紀、人文科学の発達もまだまだだったので、こんなのが通じてしまったのでしょう。アダムの肋骨からエヴァが作られたのも、肋骨は曲がっているので女は曲がった心を持っていたとか....

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