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王子、うるさい!  作者: 大木戸いずみ
34/117

34.

 あ、しまった。大きな声を出し過ぎた。

「お嬢様、どうかしたんですか?」

「ごめん、ちょっと……、えっと、明日、また馬を用意してもらってもいい?」

「また乗馬ですか?」

「うん、誰にもばれないように、朝早く出たいんだけど……」

「あの、失礼ですが、お嬢様、朝苦手では?」

 ごもっともだ。

 私は早起きが苦手だ。けど、ヴァイオリンとリリーの為なら頑張ろうではないか!

「が、がんばる」

「……お嬢様、変わられましたね」

「やっぱりそう思う?」

「はい。とてもそう思います。変わらずお嬢様のことが好きですが、今のお嬢様の方がより好きです」

 前の私が好きっていうのは百パーセント嘘だろうけど、今の私を好きだと言ってもらえるは超嬉しい! 

「エミィィー! 私もエミーが大好きだよ!」

「それは、どうも有難うございます」 

 わお、塩ッ!!

 ここはハグするとこじゃないの? 高校生だった時は友達と気持ちが通じ合った時はハグだったよ。

 エミーは「おやすみなさい」と私にお辞儀をして部屋を出て言った。


 よっしゃあ! 起きれた!!

 カーテンを全開にして寝たから、日の出の眩しさで一瞬で目を覚ました。

 ついに、寝坊を克服したよ、母さん!

 もう遅刻で反省文書かなくても大丈夫だよ。生活指導室へ呼ばれることももうない。

 私は急いでドレスに着替える。

 ……ドレスで大丈夫かな? いや、むしろドレスじゃないとダメか。町へ行くわけじゃないし。

 コンコンッと扉が叩く音が部屋に響く。

「お嬢様、起きていますか? 馬の準備が整いました」

 なんて優秀なメイドなんだ! エミーが私の侍女で良かった。

「今行く!」

「……本当に起きてらっしゃったんだ」

 聞こえてるよ、エミー。

 私は手にヴァイオリンを手にして部屋を出る。そんな私の姿を見て、彼女は一瞬固まる。

「朝練しに行くんですか? 私、てっきりまた町へ行くのかと……」

「え?」

 朝練してから魔法学園に行こうと思っていた。魔法学園の中のどっかにヴァイオリンを隠してたらばれないかな~って。

 いやいや違う、そんなことよりもなんで私が町に行ったことをエミーが知ってるの? 

 盗撮されてネットにあげられてた……わけないか。

「私が町に行ってたこと、なんで知ってるの!?」

 私の言葉にエミーはしまったという表情を浮かべる。

「だって、私一人で町に行って、もしかして、お母様も……。ああぁぁ、私終わりじゃん」

「落ち着いて下さい、お嬢様。奥様は知りません。昨日町で凄い有名になっていたんですよ。たまたま昨日の夕方に来た庭師が、町で物凄い美人な令嬢を見たと言っていて、詳しく聞いたんですよ。そしたら、それはそれは素晴らしいヴァイオリンを弾いたそうで。涙を流した者もいたと言っていましたよ」

「なんで、それで私だと分かるのよ。他にもヴァイオリンを弾く令嬢いるかもしれないでしょ?」

 そんなタイムリーにいるわけないか。

 エミーが私の方をチラッと見る。

「その令嬢の見た目は黒髪に紫の瞳をしていたそうです」

 私じゃん。それ、絶対私じゃん。

「今度是非私にも聞かせてください」

 エミーはそれだけ言って、それ以上探るようなことは聞かなかった。

 本当良い子過ぎない? エミー、ヒロインの座狙えるよ。

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