33.帰宅
なんとか無事に家に帰って来れた。フゥと息を吐き、思い切りベッドにダイブする。
「ああ~、づかれだ~」
全力を使って演奏するのは、当たり前だけど疲れる。
リリーに演奏を終えた後が大変だったんだよね。町の人達が大勢ルイスの家に訪れて来て死ぬかと思った。あんな小さな家の周りにあんな人が集まったら窒息死するわ。
一気に顔バレしたし……まぁ、リリーの服着てたから貴族だってばれてないだけましか。
レイとルイスは私が令嬢だってこと内緒にしてくれるって言ってくれてたし、その上リリーの服何枚か貰ったし、これから町に出ても目立たないし、安心安全だ。
何人かにはルイスの家に行くまでに私のドレス姿見られたけど、ルイスが適当に誤魔化してくれるって言ってたし、大丈夫よね。
彼は信頼できる。会って、一日目の男を信頼しちゃいけないのかもしれないが、彼のことはゲームで知っている。
なんか今日、私、アイドルみたいだったな……。
事務所通してください、とか言ってみたいよおおぉぉぉ!
あんなに賑わって、皆にもっと弾いてくれって言われたけど、もう帰らないといけないって言って急いでルイスの家を出てきた。
そそくさと馬にまたがって、こっそり帰ってきたから誰にもばれていない。エミーが全面的に協力してくれたのだ。
さらに嬉しいことに、エミーは私の平民姿に何もつっこまず、こっそりとドレスに着替えるのを手伝ってくれた。
良い奴じゃん、エミー!
このまま、両親にバレませんように。
早くリリー治らないかな。
こうなったら、ヘレナに直談判しに行くべき? 今、ヘレナと私はオトモダチみたいだし……。
メールとか簡単に出来たらいいのに。やっぱりスマホ!
ぶっちゃけ、ああいうのって顔見えないからさ、爆笑って超真顔で打って送るよね。
「明日にでもヘレナの家行こうかな……」
いや、今まで虐めていた子の家に行くのにはなかなか勇気がいる。
ヘレナはしてないだろうけど、もし今まで私からされていたことを侍女とかに相談していたら、私めっちゃ気まずいじゃん。諦めよう。
ということは、魔法学園に行くしかない。
あれって私でも入れるの? 魔法使えないけど、誰かの保護者みたいな感じで入れないかな?
「てか、ルイスにも会うかもしれないよね」
別にいいけど、私が町に出入りしたことが他の貴族に知れ渡って、母の耳に入ったら……こっわ。
今、鬼の形相をした母が想像出来た。きっと右手には金棒を持っているんだ。私死ぬじゃん。
その上、ヴァイオリンを持っていることも父にバレて、怒られたら……私王子にじゃなくて、両親から国外追放されたりする? いや、それは流石に考え過ぎか。
けど、そうとうなお仕置きを覚悟しないと。
「どうしよおおおおおぉぉぉぉ」
「どうかなさいました?」
私が部屋で叫んでいると、ガチャッと扉が開き、慌てた様子でエミーが入ってきた。




