― はじまりの裏側 ― (6)a
そうして彼らは造った数多の道を消そうとし……。
『のう、此岸の者よ。どの道を残せばよいのやら、ちとわからぬのだが……。いかがしたものか……』
己に問われてもと小首を傾げたとき、目の前にあるすべての【境界守】を投影している大小さまざまな欠片から、幾筋もの光の糸が現れ、欠片同士を繋ぎ始めた。
ふっと笑みを浮かべると、「では、少々お手伝い致しましょうか」と言い放ち、手を一つ打ち鳴らすと、両手の間に風を生み出す。
行き場を失った風の塊が暴れ出ようとする瞬間、口元に寄せ息を吹くと勢いよく舞い上がり、四散して駆けていった。
風の行方を見送ることなく、意識を欠片の一つ一つに置きながらも、全体を俯瞰するように眺めた。
此岸との出入り口に辿り着いた風が、緩やかに入り込み数多の道を吹き抜ける頃、目の前では微動だにしなかった光の糸が、ふるふると揺れていた。
(どこに繋がっている?)
一本ずつ確認し、余分な糸に対し弾く仕草をすると、ぷつんと切れ、垂れ下がった。
「風が吹き抜けている道が残すものです。それ以外の道を閉ざして頂けましょうか」
彼らが一つ一つ丁寧に消していくと、光の糸も消えていった。それを見ながら、【境界】に流れている風に意識を置き、【境界】自体に手を加えていく。
性質もよくわからないのに、なぜか抵抗なく【境界】が変化していく。
(どうせやることもないし、暇つぶしに調べてみるのも一興ですかねぇ)
そろそろ終わるころかと思われる頃。
『此岸の者よ! 我はいつそなたに使いを出せばよい! どのように出せばそなたのもとに届く! 我には此岸の時の流れなどわからぬわっ!』
少年のがなり声が幽かに轟いたとき。欠片から【境界守】の姿は消え、渦巻きながら一つにまとまると、己の頭ほどのほんわかと灯る光玉となった。
光を遮るように目を細めて、浮いている光の玉をしばらく眺めると、一つ頷き己の声を風に乗せた。
「……では、このように……」




