― はじまりの裏側 ― (5)e
ただあのとき――。己が干渉しなかったから……危ういと感じながらも傍観したが故に……己の血に連なる者たちの声なき声、悲痛な最期の叫びを身の内に、――意識外ではなく意識内にだ――入ってくるまで、危惧しながらも放置した己が何よりも許せないが故に。
だからこそ己が、終わりの見えない己が、彼らの絶望を消さなければ……。
いや、違うな。
「なにゆえに、か……」
どう言い繕おうが、こんなものは上辺の感情だ。
三人目の自爆した若い【境界守】を思い出す。希望を与えた後、さらなる絶望を見せれば、彼らも【境界】ごと破滅するかな? そうなれば、どれほどの規模でこの小さな島国は消滅するかな? そのなかに兄の血に連なる者がすべているといいな……。
相反する感情が渦巻いていく。
慄いている彼らを見つめながら、此岸を消すのはたやすいが、今となってはできないだろうなと自嘲する。
「なにゆえ……でしょうねぇ……ただ、知ったからには……あなた方のあげる悲痛な声を聴いたからには、どうにかしなくては……と思ったからでしょうか。それに……」
湧きあがってくる破滅願望に身を任せることなく応えようとしたら、無理矢理遮られた。
彼らも長き刻を過ごしている。おそらく己についてなにかに気づいたのであろう。
強引に幕を引き、『では……始めようかのう!』
己の提案を余すことなく是としたようだ――。




