― はじまりの裏側 ― (5)c
考え込んでいると、難題を押しつけている自覚があるのか、不満に思っていたものたちは、動けぬ聖域の【境界守】に対する不公平をどうにかしてくれと口々に言いだした。
ならば、と応えようとしたところ、槐の若木と少年の姿を映し出している三つめの大きな欠片から聴こえてきたがなり声に遮られた。
『我らはすべての【境界】と繋がっておる! なのに、通る道を定めるのはおかしいであろう! 造った道を消せというのかっ!?』
残酷なことはわかっている。しかし、余分な道のせいで【魂】や【想】が流離い過ぎている方が問題だ。このままいけば、見向きもしなかった神も腰をあげてくるかもしれない。
丁寧に現状とこの先起こり得ることを伝えれば、反省したのかうめき声があちこちで上がった。
そして再度問いかけられたので、己が考えついたさらに不公平ともいえる提案を静かに一つずつ紡いでいく。
まずは、彼らが造り上げた道のほとんどを消すことになると告げる。村から町、町から国、国から四つの聖域への道のみになると。
惜しむ声もあるが、多くはこれに賛同した。
次に不公平の片割れである、村の【境界】の処遇について。伝えようとすれば、断られてしまった。彼ら自身が、この不公平を甘受するのであれば、この問題はよしとする。
最後にさらなる不公平な提案――。
「……年に一度。使いを出すことはできませぬか? 此岸にいるわたし宛に……。それを受け取り、わたしは聖域に馳せましょう。束の間の時をともに愉しく過ごせるものを持参して……」




