― はじまりの裏側 ― (5)b
確かに、それが課せられた役目だ。しかし、動くなとはいわれていないはずだ。ならば、役目も兼ねて彼らも動けるようにすればよい。
「……そうすれば、あなた方は常に独りではないではありませんか」
より現実味を帯びた提案を聴き、彼らはどう応える?
あちらこちらの欠片から聴こえてくる声に耳を傾けながら、思わず笑みが浮かんだ。
長い間無言でいたためか、途切れることなく話す彼らの姿を見て嬉しくもなった。
反面、定めた神に任せようと静観するのではなく、己が早くから手を打っていればと後悔も覚える。
『して、いかようにするのか、此岸の者よ?』
四つある一際大きな欠片のうちの一つに映っている老爺と老松から、低く重い声が聴こえてきた。
笑みを消し、呼吸を整えると、「いかように、とは?」と聴き返す。
『小石を投げ入れて波紋を起こすのみで、見もせぬのか。我らの声が聴こえたであろうに、いかように始末をつけるのかと問うておる』
彼らは、神や精霊そして術師だったものたちだ。能力も高ければ知識欲も凄まじい。孤独から解放されるかもしれないと分かれば、知りたいことが次々と湧いてくるようだった。
己と血の連ならない術師は魂を留めておけるのかと、若い梅の精は【想】はどうするのかと……。間を置くことなく応えていったが、甲高い声を荒げて不公平さを主張してきた白蛇の問いには即答できなかった。
そう、この提案は決して平等ではない。来るものがいない村の【境界守】と、動くことができない四人の聖域の【境界守】。
それでもよいと伝えてくる声もあれば、不満の声もある。
己の心を見透かすように、軽やかな声が艶やかな女性と枝垂れた木が映っている大きな欠片から、どうするのかと問いかけてきた。
さて、困った……。




