― はじまりの裏側 ― (4)b
前の二人は、多少のずれはあるが、同時期に(【境界守】として定められたとき)彼岸へ渡ることになっていた老年の者たちであった。狂ってはいたが、後任の【境界守】と交代すると、無言で【境界】を去っていった。
だが三人目の若者は……。そう若いのだ。人身御供のように無理矢理【境界守】に据えられていた。そしてその時期は、なんと二人よりもかなり後の時代だ。
若年であり、本人が納得することなく坐していたため、狂っていくのも早かった。三年も在していなかった。
そのうえ、この若者は能力に秀ですぎていた。最後は、「いやだ、独りは嫌だ!」と泣き叫び自爆した。
自分一人で死ぬのなら、まだ同情の余地はあった。だが彼は、【境界】の在していた町ごと爆ぜたのだ。
皮肉なのか幸いなのか。己が辿り着いた場所は、壊滅した町の側であった。
町にはなにもなかった。決して比喩ではない。
木一本、家一棟、人も動物の死骸一つすらなにもない。風に吹かれてさらさらと砂が紋様を作っているだけの更地になっていた。
そして、この地に住んでいた人々の【魂】もあるのだろう。かなりの数の【魂】がゆらゆらと浮かんでいたが、徐々に他の【境界】へと移動していった。
さらに、【魂】とは別に、よくわからないものも漂っていた。試しに触れてみれば、声が微かに聴こえてきた。
(これは――! 【境界】の残渣か――!!)
感覚を研ぎ澄まし、この欠片から得られる声を拾い集める。
彼らは、嘆き、絶望していた。
だから――。
「あなた方も、行き来すればよいのではありませんか?」




