― はじまりの裏側 ― (3)b
異変はその後、つまらないいざこざのせいで死んだため、彼岸へ渡ろうと【境界】に入ったときにはもう終わっていた。
穴だらけ。
【境界】にある穴というか出入口は、【魂】が彼岸と此岸それぞれに行き来できる二つのはずだった。
【想】は、いわば壁抜けのような感じでやってきて彷徨っているので、穴を利用しない。
だから彼岸と【境界】で一つ、此岸と【境界】で一つのはずなのに……。
どこに通じているのかと適当な穴に飛び込み、やや薄暗く狭い通路のような空間と通り抜けると、出た先は別の【境界】だった。しかも、此岸ではこの二つの【境界】は、かなり離れている。
彼岸にいてもやることはないので、穴という穴すべて調べたところ、一つの【境界】に存在しているすべての【境界】が繋がっていた。
しかも、この穴に【魂】だけでなく、【想】までもが出入りしてしまっている。
静かに坐している【境界守】の様子を窺えば、穏やかな表情を浮かべていた。
元は神や精霊、そして術師だった人間たちだ。手間は掛かるだろうが、他の【境界】へ繋ぐことは可能だろう。
おそらく、孤独に飽きた【境界守】たちが、仲間を求めはじめたが故の穴造り。
だが――。
これは、駄目だ。むしろ、さらに加速していく……。
調べ終ったので彼岸へ渡った後で一応神に伝えたが、別に彼岸や此岸に害はないのだろう、好きにさせておけと軽くあしらわれた。
この時点では危惧はしていても、己自身が手をつけようとは思わなかった。
いかに愚作であろうと【境界守】を定めたのは神であり、己や兄の子孫たちだ。見向きもしなかろうが、此岸に異変が起これば、対処するだろうと傍観することにして、しばらくしてから此岸に戻った……。




