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― はじまりの裏側 ― (1)
手に持っていた小ぶりのボストンバッグを、駅の外に設置されている待合室のベンチの上に置くと軽く伸びをし、ゆっくりと走行していた電車による体のこわばりをほぐした。
「……ほんのちょっと出遅れただけなのに、もう売れ切れなんだよ……」
後ろを三人の女子高生が、バス停までしゃべりながら、駆けていった。
色の濃いサングラス越しに、三人の姿を見送っていた白皙の顔には常とは違い、なぜか苦い表情が浮かんでいた。
が、すぐにあるかなきかの笑みを浮かべると、あたりを見まわし迎えの車がないことを確認する。どうやら珍しいことに遅れているらしい。
黒のジャケットに細身のパンツ姿で、四肢を投げ出すようにベンチに身を任せると目をつぶった。
「ほんのちょっと……か」
そう――ほんのちょっとのせいで運命が変わることは、誰にでもある。
だが――




