↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界守  作者: 琥珀猫
PR
48/89

― 立冬に迷う ― (5)d

 父にいつまで突っ立ってるんだと呆れたように言われるまで、私たち三人は立ちつくしていましたね。

 一息ついたのを見て、父はテーブルに置かれた封書の一つを姉夫婦に渡し、庭園の管理人として、平屋に住むようにと言い渡しました。

 姉夫婦は一切のためらいもなく了承しましたね。後で聞いたところ、子供はそれぞれ一人暮らしをしていること。住居である団地が近々建て替えられること。また義兄は書道家、姉は日本画家として活躍しており、ともに利用できる広いアトリエが欲しかったこと。そして驚いたことに姉は、結婚前にすでに義兄や義両親に、あの庭の管理人として就くことを伝えていたというのだ。そして義兄と二人で、頻繁に庭師から手ほどきを受けていたらしい。

 次に父は、私にも別の封書を渡し、中を見ろと言ってきました。入っていたのは、四枚の名刺と、広範囲な土地の権利書です。

 驚いて父を見ると、苦笑しながら、

 「井戸端のみは保持して、後は好きにしろと申せられた。理由は儂に問うな。ただお前のことが頭に浮かんだらしい。いやならお前から断りに行け」

 私はただ、「わかった」とだけしか言えませんでした。

 父も何も言わず、軽くうなずくと、あの庭について、一族の役割について、そしてあの少女について語った後、「庭を頼む」とだけ言いました。それが、父の最後の言葉です――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。