― 立冬に迷う ― (3)d
ギョッとするようなことを言ってくるが、俺を殺そうとしたところで特にもならないし、見た感じ確かに大丈夫そうだ。腹も空いているから、ありがたく頂くことにする。
「食べながらでいいんで、なんであそこにいたのか教えてくれませんかねー」
酒の合間にホイホイ男の口に放り込ませ、なおかつ自分も食べながら、聞いてきた。
「なんでって、目覚めたらあそこにいたけど?」
こっちがそれを聞きたいよ。耐性でもできたのか、それともまだ飲んでもいないから雰囲気に酔ったのか。こいつらが何者でここがどこかもわかんないのに、なぜか普通に答えているよなあ俺……。
「目覚めたら? 寝る前はどこでなにをしていたんです?」
「どこでなにって。そりゃ……」
俺が今日の行動を振り返って言うと、少女は納得したようだ。
「ああ、あのあたり、磁場が安定していないから。ヘタすりゃ、あそこでミイラ化するところでしたねー。あ、飲みます?」
「おい、こら、オレのだ!」
「まだ、たくさんありますよー」
「……あー嬢ちゃ、いや猫?」
ホント嫌そうに顔をしかめてきたので、慌てて言い直す。
「なんです?」
「ここはどこで、お前らは何者でとか。つまるところ俺はどうすればいいのかを、いい加減聞きてえっつうか、知りてえのと……」
言いながら頭上の色鮮やかな紅葉をふり仰いで、
「それと、このモミジを撮らしてほしいんだが……」
だが俺の一番の希望は、
「なんだ言ってないのか」
「えっ、必要あります? どうせ忘れるしいいかと……」
言い合う二人に被り……あれ? なぜか固まってないかこいつら。




