― 立秋に誓う ― (3)f
藤の花がよく見える場所に座ると、持ってきた風呂敷をほどいて、三段の重箱を広げた。
一番上に入っていた切子のグラスを出し、ぼくと雷公さんに手渡した。二つある瓢箪の一つを雷公さんに、もう一つをぼくに注いでくれる。
雷公さんにはお酒で、ぼくは甘すぎなくてすっきりしているリンゴジュースだった。
ぼくがおいしそうに飲んでいるのを見て、飲みたそうだったので、グラスを差し出すと一口飲んで、「甘いな、けどうまい」ってお返しに自分が持っているものを渡そうとして、姉さまに叩かれた。
真ん中と下のお重には、色んなお菓子が入っていた。真ん中は辛かったり、しょっぱかったりするもので、下はぼくでも食べられるようにと甘いお菓子だ。
雷公さんは、どっちも姉さまに食べさせてもらいながら、ぼくの話を聞いていた。
家族のこと、学校のこと、友達のこと、姉さまとのこと……いろんな話を愉しそうに聞いてくれる。そろそろしゃべり疲れてきたかなあという頃。
「サキトだけが声を枯らしていると、シキが怒るからな。なにか僕に聞きたいことはないかい?」
え? 急にいわれてもいっぱいあるけどなぁ……。とりあえず一番気になること……。
「どうして雷公っていうの? 藤と雷って関係あるの?」
思っていたのとは違う質問だったらしい。雷公さんも姉さまもきょとんとしていた。
「てっきりどこで会ったのかとか、いつからのつき合いなのだかと思ったが、サキトは質問の仕方がうまいな!」
うん、そっちも気になるけど、でも姉さまだからなーって……。
「ああ! 確かにそれもそうだな! まぁ結局は同じことだがな。それじゃあ、いつどこでどうしてシキと出会い、なぜ僕が雷公と名乗っているのかを話してあげよう!」
うんと一つうなずいて、胸元につけている細い鎖のついた赤い宝石のような石がついたペンダントをぼくに見せてくれた。
「これが僕のもとにやってきたために、シキと会うことになったんだ……」




