― 立秋に誓う ― (3)c
夜。一緒に作ったごはんをみんなで食べ終わったら、姉さまは「一人だからって夜更かししないで、早く寝なさいよー」っていいながら帰っていった。
あれ? あれ? って不思議に思いながら、(約束はーってぷりぷりしながらともいう)弟が今日もいない子供部屋に戻ると、机の上に二枚の紙が置かれていた。
一枚は人の形に切ってあり、もう一枚には寝る前にやることが書いてあった。いつ置いたんだろうってちょっと気になったけど、姉さまだからね。
寝る前にやること――人形に息を吹きかける。両手でやさしく挟んでお願いしますっていう。枕元に置いて眠る――
さて、お休みなさい……。
……眠っていたぼくを誰かが摘みあげ、窓からひょいって飛び降りると、そのまま歩き始めた。しばらくすると、藤色の小さい灯りがあるだけの真っ暗なところで止まったら、姉さまの声が聞こえてきた。
「後を頼む」ってぼくを運んできた誰かにいった直後、パチって目が覚めたら、姉さまが目の前に立っていた。
「おはよう、は変か。どこか体がおかしいところはあるかい?」
ほくは、ぱたぱたあちこち叩いて確認する。(なぜかパジャマじゃなくてTシャツに半ズボン姿で靴も履いていた)
「ううん、別にないけど……ぼく寝ていたよね?」
「今も寝ている。まあ、夢の中にいると思っておけばいいよ」
今説明する気はないらしい。うん、わかった。
鳥居が見えるから、神社かな? 真っ暗なのになぜかよく見える。姉さまは黒い服を着ていて、真っ黒な右眼と真っ青な左眼が昼間よりもキラキラしている。
では、行きますかといって、側に置いてあった荷物を持とうとするので、慌ててどれか持つよっていうと、少し考えじゃあこれって小さめの瓢箪を四つ持たせてくれた。
そしていきなりぼくを片腕で抱っこしてきた。小さい子供じゃないのにって口をとがらすと、歩きにくいところだからといわれてしまった。
しょうがない……久しぶりだから嬉しいのを必死に隠そうとするけれど、姉さまにはバレている。ふふって笑って、残っている大きめの瓢箪二つを肩に下げ、藤色の灯り(よく見ると藤の花が一つ一つ光っている)と浅紫に染められた風呂敷包みを右手に持った。




