― 立秋に誓う ― (3)a
「それでね、とも君はそんなの変だっていうんだ。ちっとも変じゃないのに……」
昨日のことを思い出しぷんすか怒ってるアピールをしても、頷いてくれなかった。
「どうして変じゃないって決めつけるの? 変かもしれないじゃない」
「変じゃないよ!! 姉さまは姉さまでしょっ!!」
ぼくは、大声をあげた。確かに血はつながっていない、まったくの赤の他人だ。でもお母さんの弟、つまりぼくの叔父さんが生きていたとき(実は死んでからもなんだけど、これはナイショだ)、誰よりも大切に思われていた人なんだ。
それに姉さまは、ぼくや弟の名前をつけてくれた人だ。だから正しくはおばさんだけど、お父さんたちより若いし、見た目もオバサンってイメージじゃない。
背が高くてすらっとしていて、いつもちょっと笑っているような顔も、平日と休みの日の朝でまったく違う顔をしているお隣のお姉さんとはぜんっぜん違う。かといって誠二叔父さん(お母さんの二番目の弟)の恋人の佳奈お姉ちゃんのように、かわいいんじゃなくて、かっこいいんだ。
だから、一緒に住んでいなくても、血もつながらなくても姉さまっていっていいじゃないか! とも君に変だっていわれるすじあいはないっ!!
ぼくの方が正しいのだといおうとする前に、
「人によって考えが違うのは当たり前だよ。押しつける前に、どうしてとも君は変だっていってくるのかねぇ?」
「お母さんが変だっていうから、変なんだって」
「あぁ、じゃあしょうがないねぇ」
「なんで!!」
あっさりあきらめないでほしい。
「なんでだろうねぇ。でもサキトは変だと思っていないんでしょう? ならそれでいいじゃない?」
「姉さまは変だっていうの?」
「どっちも正しいと思うよ。血はつながってないけど、赤の他人でもないし」
「……大人ってずるい答えかたをするよね」
味方もしないが反対もしない。どうでもいいと思っているんだ。でも……。
「あはは。ずるいんじゃなくで、呼び方なんてどうでもいいんだよ。サキトになんて呼ばれようと、わたしにとってはとても好きで大事な存在だっていうことだけだよ」
「うん、ぼくも姉さまがとっても好きだよ……」
一輝叔父さんや彼には負けるかもしれないけど……。ぼくは左手首をチラッと見ていたら、姉さまが頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
「知ってるよ」
だから誰がなんていおうと、呼びたいように呼べばいい。口には出さないけどそういっているのがわかった。うん。ぼくも気にしないことにする。




