帝国の危機
スカーレットとの電話の後日、ついにアスティア王国が宣戦布告をしてきた。
東の司令官は予想通り、その知らせを受けると自分だけ側近を連れて帝都へ逃げ帰った。
しかしプリンセス・ガードの近衛騎士が指揮を取り、国境の兵士と応戦した。
そして、南のライゲン将軍が援軍を出そうとした時、南のエルフの国も宣戦布告をしてきたことで、援軍を出すことが出来なくなった。
アスティア王国の侵攻軍は2万の兵力を投入してきた。国境の兵力はプリンセス・ガードを含めても8千ほどである。
城壁があるとはいえ、プリンセス・ガード以外は戦う気概あまりないため劣勢である。
せめてもの救いは帝都からスカーレットが援軍に来てくれる『はず』だった。
しかし──
帝都にいた第一王子は手勢の戦力が居なくなったスカーレットを捕らえる好機と見てスカーレットを拘束して貴族牢へ幽閉してしまった。
スカーレットが北の領地で何かやっていた事を知って、自分の勢力を拡大していると勘違いした結果であった。
「くっ、帝国の危機に何をするのですか!予想外にエルフの国すら宣戦布告してきたのですよ!」
「黙れ!南は百戦錬磨のライゲン将軍が持たせてくれる。東は俺が自ら兵を率いアスティアの兵を撃退してくれる!そうすれば民も俺を支持するだろう!」
「なっ!?そんな事のために国を危険にさらす気ですか!兄上には軍を率いて戦った事などないでしょう!」
「ふっ、俺はあの愚弟とは違う。戦には戦の詳しい者に任せるさ。俺の仕事は兵の指揮を高めることだ」
確かに適材適所で、人に任せる事ができるもの上に立つ者の資質ではある。
しかし戦に絶対などないのだ。
スカーレットの必死の叫び声も虚しく、帝国の第一王子レガードは帝都にいる3万の兵を引き連れ東へと向かった。
東の国境はプリンセス・ガード達の活躍でなんとか持っていたが、到着した援軍を見て困惑した。
スカーレット皇女ではなく、敵対派閥の第一王子レガードが来たからだ。
「ここからは俺が指揮を取る!命令に従ってもらうぞ!」
プリンセス・ガード達は反論したかったが、目の前に敵国が攻めてきているの状態でそれは自殺行為と判断してしぶしぶ指揮下に入ることになった。
数の上で上回った事でその後の応戦は優位に進んだ。元々防衛戦は守る方が有利なのもあるが。
レガードは自分の実績を有利にする為に、プリンセス・ガードを後方へ下げた。名目上は交代して負傷者を休めせるということでだった。
「まぁ、捨て駒にされて特攻させられないだけマシか?」
休める事で、助かったと良い方へ思うことにした。
戦が始まり数日経った時だった。
真夜中の時間にアスティア王国の奇襲を仕掛けてきたのだ。
「敵襲だと!?何処から城壁の内に侵入してきた!見張りは何をしていた!?」
アスティア王国は戦が始まる前から準備していたようで、地面を掘って城壁の地下から侵入してきた。
完全に虚を疲れた帝国軍は混乱してまともに戦えずどんどん狩り取られた。
最悪な事に、指揮官クラスが不運にも真っ先に倒された事だった。
後方にいたプリンセス・ガードがすぐに隊列を組んで応戦したが、逃げる味方が邪魔で、敗走した味方を時間を稼ぐので精一杯だった。
「もう無理だな。撤退する!国境砦は放棄する!」
こうして東の国境はアスティア王国に占領される事になった。せめてもの救いは戦死した兵は約3千ほどで負傷者は5千人。まだアスティア王国に対抗する戦力は残っていたことだ。
そして、言わなくてもわかるだろうが第一王子レガードもあえなく戦死したのでした。
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貴族牢から助けられたスカーレットは余りの間抜けさに頭が痛かった。
「すぐにエルフの国に使者を送れ!宣戦布告の理由を確認するのだ!後、北のノルン聖王国にも使者を!援軍を出してくれる手はずになっている!」
おお!流石はスカーレット様だ!と周囲から希望を見出した者達から安堵の声が聞こえた。
しかし、スカーレットは内心で焦っていた。
正直、間に合うのかと。
そしてエルフの動向が気になった。ここ最近はエルフの国とはいざこざを起こしてなかったからだ。
「誰か!急いでエルフの国と誰か問題を起こしていなかったか調べろ!これは時間との勝負だ!帝都の兵力のほとんどが東へ出払っている時に、南の国境が突破されればあっという間に蹂躙されるぞ!」
!?
スカーレットの懸念を知った周囲の官僚達は自分や家族の命がかかっているとわかると、今までで1番俊敏に行動した。




