訪問
次の日になり、もう一度街を観光した。
「うむ、再度きても珍しいものが多くて楽しいのぅ」
「これなんか姫殿下に似合いそうですよ♪」
ワイノ
ワイノ
調査より観光がメインになっているシオン達だったが、東の町の門から大型の荷馬車が何台も入ってきた。
「大型車が通りまーす!」
門兵が大きな声で注意を促しながら、荷馬車はゆっくりと町の中へ移動していった。
「大きな荷馬車じゃったのぅ。あまり見ない特注品かのぅ?」
「そうですね。馬も3頭で引いてましたし」
シオン達の呟きが聞こえたのか門兵が声をかけてきた。
「なんだい、あんた達この町は初めてか?」
「ええ、旅の途中で立ち寄ったのですが、ここではあの大きな馬車は珍しくないのですか?」
門兵は親切に教えてくれた。
「ああ、ここは東のアスティア王国とも街道が繋がっていてな。知っての通りドワーフ達はもの作りが得意だ。あの馬車もドワーフ達の作品らしいよ」
「では、大量の荷物はアスティア王国から仕入れているのじゃな?」
「そうだよ。10年ほど前までは小さな村と言ってもいいような町だったが、アクダマー伯爵様が領主になってからは目覚ましい発展をしてね。今では町の人々の生活が豊かになって尊敬されているんだよ」
「ほう?そうなのじゃな。一つ聞くがアクダマー伯爵が親類とかに口利きして、近くの代官になった者を知っているかのぅ?」
「うん?ああ、知っているよ」
!?
「僕も聞いた話だけど、政策に失敗して大変らしいね。伯爵が支援しているって聞いたけど?」
『なるほど。そういう話になっているのか』
圧政で民が困窮しているのに頑張った政策が失敗して困窮していると。さらにアクダマー伯爵が支援しているという事で株も上がる。うまい言い訳だな。
シオン達は門兵にお礼を言うと仲間達と話し合った。
「確かに狡賢いようじゃな」
「ええ、圧政で困窮している事を政策の失敗にしているなんて、許せませんね」
「しかし、どうしますか?これ以上は町中では何もなさそうですが?」
シオンは腕を組んで言った。
「あの大きな荷馬車が気になるのぅ。アスティア王国から何を仕入れたのか。かなりの重量があったみたじゃからのぅ」
「ふむ、確かにな。ただの公益品にしては馬3頭で引くほどの重量とは少し考えずらいしな」
スカーレットは『影』に視線を送ると影はすぐに意味を汲み取り、消えるように動き出した。
「よし!なら領主の館に行くのじゃ!」
!?
「姫殿下、訪問は明日の予定では?」
「まだ昼を回ったところじゃろう。時間は有限じゃ。居留守を使われても面倒じゃ」
「しかし・・・」
「良いではないか。我々が訪問すれば警備が手薄になる。影も動きやすくなるだろう」
なるほど。
スカーレットの言葉にクロードも渋々納得してこのままアクダマー伯爵の屋敷に向かうことになった。
テクテクテク・・・・
「着いたのじゃ!」
幼女のシオンはスカーレットに抱かれたまま来たので歩いてません。
「スカーレット皇女、そろそろ姫殿下を渡してください。そのような状態では伯爵に失礼ですよ?」
「むっ、確かに。名残惜しいがシオンを渡そう。しばらく預かっておいてくれ」
「なんで姫殿下が皇女の物の様な言い方なんですか・・・」
クロードはまだ完全に信用しているわけではないので、いつまでもスカーレットに預けているのが心配だったのだ。門番に訪問の旨を伝えた。
「バルトス帝国第一皇女スカーレット・バルトスである!本日は急遽、アクダマー伯爵に確認したことがあり訪問した。伯爵に取り次ぎ願いたい!」
!?
「なっ!?スカーレット皇女様!?」
「これが身分証だ」
スカーレットは帝国のペンダントを渡した。門番は慌ててすぐに確認してきますと中に入った。
「よかった。ここでは私の名前が通用するな」
「普通はこうなんじゃが、今までの代官達が無能過ぎて配下の者達も碌な勉強もしておらなんだのであろうな」
門番は下っ端の役目だと思われているが、他家の使者や高位の貴族になれば、王族からの使者もやってくる。なので各貴族の家紋など覚えて失礼のない様に案内するのが役目である。故に、門番の質でその家の品格がわかるとまで言われる大事な仕事なのだ。キリッ
少しして門番がすぐに出てきた。
「大変お待たせ致しました。伯爵様は別のお客様と商談中の為、応接室でお待ち頂くようことずかってきました。それでもよろしいでしょうか?」
「ああ、こちらも急に尋ねてきたのだ。少しぐらい待とう」
「ありがとうございます!ではこちらにどうぞ」
門番はホッとして中に案内した。
『ここは門番もしっかりと躾けられているな。なかなか油断できんぞ』
スカーレットは軽く周囲の仲間に視線を送って中に入るのだった。




