どんどん行くよ〜
一晩経って領主の屋敷に囚われていた女性や女の子達を救い出した。最低限の事情を町の人々に伝えて、明朝に次の町に旅立った。
「本当にありがとうございました!」
出発の時に宿屋のマリーが深く頭を下げた。
「次はしっかりとした代官を必ず手配します。今まで申し訳ありませんでした」
そう言うとスカーレットも頭を下げた。
「や、止めて下さい!皇女殿下様!?」
マリーは慌てたがフっと笑った。
「高貴な皇女殿下様が平民にも頭を下げられるなんて………帝国の未来は明るいかも知れませんね」
いつの間にか大勢の人々に見送られて出発した。
頭を抱えたのはその日の昼に到着したプリンセス・ガードの騎士団だった。『影』から伝令を受けて多少の話を聞いていたが、領主の屋敷のゴロツキの捕縛に後始末。丸一日掛けたが終わらなかったために、10人ほど残してスカーレットを追って出発したが、次の町でも同じ事がおこり、それが次々と起こって5つ目の町でプリンセス・ガード達は全員その町の処理で動けなくなってしまった。
ここまでで移動とその町の滞在などですでに10日ほど経っていた。
「さて、ついに北部のまとめ役が治めるアクダマー伯爵が治める北東部の領地にやって来たのぅ!」
「ついにですね。これまでスカーレット皇女殿下が民を救ったとの事で、ノルン聖王国に鞍替えしたいという市民の声は、取り敢えず収まりそうですが、アクダマー伯爵が残っていては、また買収される代官が出てきますので、なんとか不正の証拠を見つけたいですね」
すでに『影』が潜入しているだろうが、まだ報告がない。流石に厳重なのだろう。
「しかし、意外だな。他の無能領主の領地とは違って整備が行き届いて栄えている」
クロードが関心しながら呟いた。
「確かにそうじゃのぅ。親類は無能なのに親玉は有能ということかのぅ?」
「狡賢いということだろう。でなければ、北部をいつの間にか自分の派閥で固めるなんて芸当できないからな。むしろ、わざと無能を据えて帝国を弱体化させて帝国の内乱を煽っているような……これは考え過ぎか」
スカーレットはまさかなと考えを振り払った。
「ふむ?」
しかしシオンはそれはあながち間違いではないのでは?と思った。
「少し町を見て回ろうかのぅ。北東部は我が『レグルス王国』と東の『アスティア王国』に続く街道があるのでな。思った以上に他国の品が入ってきているのが気になるのじゃ」
「どういうことですか?」
クロードはシオンの意図が読めず尋ねた。
「他国の品を輸入できると言うことは、何処かの商人と手を結んでおるのじゃろう。我が国は別として、『ドワーフの国』である『アスティア王国』から商品を仕入れるツテがあるのなら、他国よりワンランク上の性能の良い武具も輸入できると言うことじゃ」
!?
「まさか、アスティア王国とアクダマー伯爵が繋がっていると?」
「可能性の話じゃ。アスティア王国支援しておるのか、ただアクダマー伯爵が武具だけ輸入して反乱を起こそうとしておるのか、はたまたただの考え過ぎなのか、それを調べる為にきたのじゃろ?」
確かにそうだ。
シオンの言葉は正しい。
周囲の仲間達は、よりしかっりと町の商品の品質を確認するようにしようと思った。
それから町の様子や店を見て回り宿屋に戻った。
「やっぱり他国の商品が多かったですね」
「そうじゃな。しかも意外じゃったのはアクダマー伯爵の評判じゃな。どの民に聞いても、尊敬されている立派な領主じゃった。これはどういうことかのぅ?」
「アクダマー伯爵は無関係ということですかね?」
「しかし、北部を親族や依子で固めて北部の地盤を確固なものにした。何が狙いなのよ?」
仲間達で話し合ったが情報が足りなく結論が出なかった。
「しかし困ったな。不正の証拠がなければ討ち入りも出来ませんよ?」
「そうじゃのぅ。もう一日町を調べて何も無ければ、『直接』屋敷に伺うとしようかのぅ」
「えっ、どういうことですか?」
「そのままの意味じゃ。王女と皇女の立場として訪問すると言うことじゃ」
「なるほど。王族としての立場での訪問ということですか。屋敷に入ってなにか探れればいいですね」
「うむ、それに我が神眼を使えば何か見つかるかもしれん」
なるほど。
確かにそれはいい案かも知れない。
シオン達は一泊して、明日は町の裏側も調べることにするのだった。




