討ち入り
シオン達は町を一通り見て回ると宿屋に戻った。
「流石にあのオークは帰ったか」
「下品に食べてただけでしたけどね」
シオン達は部屋に集まり、報告を聞いた。
「姫殿下達を守るために、ひっそりと同行していた『影』から報告がきております」
「周囲に何か気配がするかと思ったら味方の影じゃったか。後でお礼を言っておいて欲しいのぅ」
クロードはみんな喜びますよと言って資料を渡してきた。
「取り合えず、影に他の町も偵察に行かせました」
「そうか。今はこの町から何とかしなければのぅ」
ペラペラと報告書に目を通していくと、どんどん目が険しくなっていった。
シオンはスカーレットに資料を渡すとスカーレットも怒りの顔つきに変わった。
「・・・もう、怒りでどうにかなりそうだ。よくもここまでやりたい放題できたものだ」
「貧しい民はなんとか食べられる雑草を煮込んで腹を満たしていると書いてあるのぅ。流石に、妾もこれは容認できん」
二人の王女の怒りを買った男爵は終わりだろう。
「しかし問題がある。屋敷に行って男爵を捕まえることはできるだろう。しかし、帝都に連行する兵士がいない。ここで捕まえも、絶対に仲間が助けにくるだろう」
「うーむ。妾達もここで待つわけにはいかんしのぅ?」
二人の時間は有限である。
「それなのですが、スカーレット皇女殿下のプリンセスガードの一部隊が明日にはここに到着する予定です」
!?
「目立つから来るなと言っておいただろう!数はどれくらいだ?」
「約50人です。一応、街には寄らずに途中で野宿しながらくるように言ってあります」
スカーレットは腕を組んで不機嫌になった。
「・・・アクダヨー伯爵に気づかれると思うか?」
「微妙じゃな。街に立ち寄らずとも、どこかの騎士団が向かったと噂されるじゃろう。しかし、こちらにその情報が来る前にことを起こせば問題ないのじゃ」
「なるほど。なら、今夜だな」
「うむ、堂々と行くのじゃ!」
クロードも、スカーレットの騎士も頼むから止めて欲しいと言いたかったが、話はどんどん進んでいった。
そして食事をしてからカマセ・イヌーダ男爵の屋敷に乗り込むことになった。
出かけるシオン達にマリアが尋ねた。
「こんな遅くにどこに?」
「心配せぬともよい。帝国はお主らを見捨ててはおらぬのでな。吉報を待つがよい」
相変わらずスカーレットに抱っこされているシオンでは締まらないのである。
シオン達はそのまま領主の屋敷へ向かった。
『表』の人数はシオン、スカーレット、クロードを含むノルン騎士団5名とスカーレットの護衛騎士2名である。
屋敷の門の前に着くと、門番が大声で止めた。
「止まれ!ここをどなたの屋敷と心得る!カマセ・イヌーダ男爵様の屋敷だ!さっさと引き返すがいい!」
人が近づくだけで威嚇し追い払うとは、中でやましい事をしていると言っているものだぞ?
「あら?私はこの帝国の第一皇女スカーレットよ。そちらの方が無礼ではないかしら?」
!?
門番が一瞬ビクッとしたがすぐに思い直した。
「バカめ!こんな所に皇女殿下様がいるわけないだろう!これ以上は痛い目を見るぞ!」
「ガーン!この国の皇女の顔も知らないなんて信じられない!」
ワナワナと震えるスカーレットは怒りの魔法を唱えた。
『口でガーンというなんて初めて見たのぅ』
シオンはどうでもいいことを考えていた。
「私の二つ名、知っているかしら?」
頭上に特大の炎の球が現れた。
「あわわわわわっっっっ・・・・・」
門番は尻餅をついて震えていた。
「派手に行くわよ!」
ドッカッッーーーーーン!!!!!!
炎の球が門にぶつかると爆発を起こして門が吹き飛んだ。
「派手にやったのぅ」
「これで手間が省けるでしょ」
どこにそんな自信があるのかスカーレットはシオンを抱いたまま中に入っていった。
屋敷の中から騒ぎ声が聞こえてきて、バンっと扉が開いて用心棒?達が慌てて出てきた。
「どう見ても騎士とかに見えないわね」
「そうじゃの。質の悪そうな輩じゃ」
入り口から飛び出してきたやつらはざっと見て20人ほど。服装がバラバラであったことから傭兵・・というより、ヤクザの子分って風貌だった。
「お前達!いったい何者だ!」
「ここが誰の屋敷か知っての狼藉か!!!」
「タダで済むと思うなよ!」
「おらっ!かかって来いや!」
いや、誰か喋るのは一人にして欲しい。
あっちこっちから言われても聞きづらいわっ!!!!
統率が取れていないことから、ただのゴロツキじゃなと思うシオンだった。




