スカーレット皇女!
先の侵略戦争で痛い敗戦をしたバルトス帝国は早急な立て直しを迫られていた。
正直なところ、兵士が足りないのである。
帝国は大陸中央に位置しており、ほとんどの国と国境を接しているため、全ての地域に兵士を配備せねばならず、軍備が帝国の経済の重しとなっている。
正直なところ、現在の帝国は各国の国境に配備している兵力を薄く広く配備している。どこかの国が国境を侵略した場合は、普通に国境を制圧できるだろう。しかし、腐っても帝国である。その間に周辺の砦などから兵士を集めて取り返すことができるようになっているのだ。これが長年に渡り帝国が取ってきた軍事政策である。
帝国の帝都にノルン聖王国から手紙が届いた。
使者の話ではシオン姫殿下からの直筆の手紙とか。
シオン姫殿下とは面識がないのだが、嫌な予感がするな。
使者が持って来たのは、王族が使う高価な紙でできた手紙。それだけならばよかったのだが、何やら分厚い紙の束も同梱されていた。これを見て嫌な予感をしないものはいないだろう。
恐る恐ると手紙を開封し、中身を読んでみた。
ほら、やっぱり良い話ではなかったじゃない!
「はぁ~、ただでさえ軍の立て直しに忙しいのに、なぜ私にこんなものを送って来たのよぉ~」
スカーレットは小さなテーブルに伏せって嘆いた。
愚弟のやらかした後始末が終わっていないのだ。
「いや、これも愚弟の後始末か。しかし、うちの代官ってどうして、こう・・もう!こんなクズばかりなのよーーーー!!!!!!」
余りにも腐った代官ばかりで頭が痛かった。
家を継げない次男、三男などが飛び地である、元は他国の領地を治めるために派遣されるのだが、慢性的な人手不足のため、能力のない人物が代官につき、帝国本国の目の届きにくいことをいい事にやりたい放題している状態である。
「はぁはぁ・・・もうイヤ~~疲れたの~~」
普段は軍服をきてクールな女帝的な雰囲気のあるスカーレットも、たまに限界が来ると感情が崩れるのである。
「あ、続きがあるわね。なになに?」
!?
「こ、これは!?」
そこにはとんでもないことが書かれていた。
そしてそれはスカーレットに癒しをもたらした。
「ふ、ふふふふ♪面白い!!!!!これは面白すぎるわ!!!!!!!」
元気になったスカーレットは立ち上がると拳を天に向けて上げた。
「いいわ、シオン姫殿下!その提案、受けてあげるから待ってなさい!!!!!!」
あーーはははははははっっっっっっ!!!!!
スカーレットの笑い声が帝都にこだまするのであった。
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シオンは帝国北部の手紙を送り、すぐには決められないので少しの間、待ってほしいとのむねの手紙を送った。
「やっぱりいつもの自分の机はいいのぅ」
お城に戻って来たシオンは最近、あっちこっちの出かけるハメになり、なかなか城に戻って来れなかったのだ。
仕事もひと段落ついて、ぐてーとくつろいでいると文官が入ってきた。
「失礼します。帝国から姫殿下宛にお手紙が届いております」
すぐに手紙を受け取ると開封した。
「思ったより早かったのぅ。やはり帝国の皇女殿も素晴らしい人物のようじゃな」
「姫殿下、皇女様に代官の不正を丸投げしたのではなかったのですか?」
「最初はそう思ったのじゃが、話のわかる御仁であれば、協力できないかと思ってのぅ」
セツナは首を傾げた。
「協力ですか?恩を売るのではなくて?」
「そうじゃ。スカーレット皇女殿が思った通りのお人なら、この方を次の女帝(皇帝)に推薦しようと思ってのぅ」
!?
「それでは帝国の帝位問題に手を貸すと?それは危険ですよ!」
「なぁに、それほど露骨に手は貸さぬよ。ただ、親睦を深める為に一緒に『お出掛け』するだけじゃよ」
シオンはクククッと悪い顔をして笑った。
『姫殿下は何かたくらむように笑っている様ですが、とっても可愛いですよ~』
そんなシオンをうっとりした顔で見守るセツナがいた。
「スカーレット皇女とお会いするのが楽しみじゃの~」
シオンはスカーレット皇女と会う日を楽しみにした。そしてあらかじめ仕事を片付けて、また数日掛けて国境砦に向かうのだった。
「まさか帝国兵をあれだけ死なせた砦で、帝国の皇女殿下をお迎えする事になるとは・・・」
「本当に何があるか分かりませんね」
バルドとクロードは緊張した顔でスカーレット皇女を出迎えていた。
「お初に御目に掛かる。スカーレット・バルトスだ。まずは先の愚弟がご迷惑をお掛けして申し訳なかった。謝罪する」
綺麗に頭を下げて謝罪した。
スカーレットは軍服を着ていた。
男勝りな男装麗人のようなスカーレットにシオンは言った。
「素晴らしい!しっかりと格下の者に頭を下げられるとは、器の大きい御方じゃな。謝罪は受け取ったのじゃ。こちらも、お初に御目に掛かる。シオン・レグルスじゃ。ノルン聖王国の摂政をしておる。これから良しなにのぅ」
2人はガシッと握手を交わすのだった。




