断罪劇
数日して、城に働く者たちのチェックが終わり、ようやく安心した所に新たな教会を立ち上げる準備ができた。
シオン達は国王達に事情を話して国の貴族達をお城へと集めることにした。
そして約1週間ほどの時間をかけてできる限りの貴族を呼び集めた。
それを理由にノルン教会の司教達も呼ばれていた。
「これでうまくいくと良いのじゃが」
お城の謁見の間にて、国王様から大事な話があると貴族達の前で発言した。
これだけの貴族が集まるのは新年以来である。
「まずは、皆に言っておこう。最近、私の命を狙う者がいるのだ」
!?
いきなり本題か伝えて来ました。
「しかし、とあるお方の助言のおかげで事なきえたのだ」
ザワザワ
ザワザワ
「まずシオンの生誕祭の帰りに50人もの暗殺者に襲われた。そして城に帰ってくるも飲み物や食事に毒が仕込まれていたのだ」
国王は淡々と話した。
「そ、それで犯人はわかったのですか!?」
一部の貴族が尋ねた。
「ああ、実行犯はすでに死んでいる。殺されたと言うべきか、そして黒幕もすでにわかっている」
!?
「そ、それは誰なのですか!?」
明らかに動揺している者もいるが国王はいったん無視して話を続けた。
「それよりもどうして私が生きているかと言うことだ」
うん?
確かとあるお方の助言とかいっていたな?
「隣国で女神ノルン様が降臨されたことは皆も知っているだろう。その時にシオンに『神託』を下さったのだ。近日中に私が暗殺されると」
!?
「シオンは女神様の寵愛を受けし姫だ。恐れ多くも、その親である私が死ねばシオンが悲しむと思い、神託を下されたのだ。おかげで私と王妃は今も生きている」
女神様が個人の命を助けるために神託を授けるとは前代未聞である。
今までは多くの死傷者がでる震災や魔物の被害のときぐらいしか神託をくださらなかったのだから。
「そして、私の命を狙った者達だが・・・」
「お、お待ちください!女神様が神託を下さったと言うのは本当ですか!?」
ノルン教会の司教は酷く慌てた様子で言葉が被る様に言った。
「無論だ。司教よ、何をそんなに慌てている?」
「い、いえ、本当に女神様の神託があったのか証拠などあるのかと思いまして」
口頭で受ける神託に証拠などありはしないのだが、それを踏まえて司教は言ったのだ。
「ふふふ。心配するな。証拠はあるぞ?」
!?
「そんなバカな!?」
国王を手を挙げると近衛騎士達が教会関係者を捕縛していった。
「国王陛下!これはどういうことですか!?」
「私の命を狙った者達を捕縛しているだけだが?」
!?
事情を知らない貴族達の多くは驚愕した表情を浮かべていた。
「ふ、私の命は女神様の神託によって守られた。しかしその黒幕がノルン様を崇める教会とは、世も末だな」
「ち、違う!私達では無い!!!」
教会にとって、崇める女神様に楯突いたことが1番の禁忌である。
「お前達の思惑はすでに調べがついている。シオンが生まれたこの国が女神様の加護を受けるに相応しいと考えて、隣国ではなくこの国をシオンに継いで欲しいと画策したこと、すでに知っているぞ?」
「そ、それは・・・」
「せっかく我が国で生まれた女神様の愛子を他国にやりたくなかった気持ちはわかる。だが、この城で毒物を仕込んだ時、子供なら助かるかと言って、リトルデビルの毒薬を使ったのは許しがたい!シオンに万が一のことがあったらどうするつもりだったのだ!」
「くっ・・・・」
司教は悔しそうに顔を歪めた。
しかし、はっと思いついた。
「わ、我々がそのような大罪を犯したと言う証拠はあるのか!」
国王は待ってましたと言うように、シオンに視線を送った。
「女神様から頂いた宝珠じゃ。貴様らの悪巧みが記録されておる」
宝珠に魔力を送ると、どこかの一室で目の前にいる司教達が暗殺の話をしており、代理を立てて暗殺者に依頼すると話し合っている映像が映し出された。
「バカな・・・・」
1番驚いたのは司教達だった。
どうしてこんなものがと、震え上がった。
「すべては女神様のご意志である」
シオンが宝珠を高く掲げると、温かい光が謁見の間を包み込んだ。そして、天からゆっくりと女神ノルンが現れたのだ。
「め、女神様!?」
「なんと神々しい・・・」
「美しい・・・・」
その場にいた貴族達は一様に呟いた。
「この度はなんとも嘆かわしいことでしょう。まさか私を崇める教会が愛子を害して、その両親を暗殺しようなど言語道断です」
ヒッと司教達は声にならない悲鳴をあげた。
「私はいつでも天界からあなた達の行動を見守っていると言うのに、失望しました」
司教達は女神様から否定されて気を失う者も出てきた。
「悪い膿は出し切らないといけませんね。現在のノルン教会は廃教とします。そして新しい真ノルン教をシオンに立ち上げてもらいます」
「えっ!妾が!?」
この話はシオンも聞いていなかったようで面を食らった。
「元々は困窮した民を救うために作った教会です。厳しい戒律も入りません。ただ一日に一回でいいので私に祈りを捧げてくれれば問題ありません」
「少なくともシオンちゃんなら正しい方向に民を導いてくれると信じてますから♪」
ぶっちゃけ、面倒ごとをシオンに丸投げしているだけのノルンであった。




