神託
女神ノルンがいなくなってから大変だった。
しばらくみんなが神気に当てられ動けなかった。
そこにシオンがいち早く動いて風魔法を使って拡声器のように話した。
「皆の者!偉大なる女神ノルン様は我々を見守ってくださっている!そして本日、祝福を授けてくださった!我々が謙虚な信者である限り、また来年も現れてくれるかも知れないのじゃ!今日という日を忘れるな!ノルン聖王国は女神ノルン様に祝福された国となったのじゃ!皆も大いに祝って欲しい!」
一瞬の間から、大歓声が起こった。
「生きているうちに女神様に会えるなんて!?」
「物凄い力を感じた!流石は女神様だよ!」
「美しい!あの美しい女神様を絵にしなければ!?」
女神様が降臨されたこの日の出来事は、大陸中に衝撃を与えて広まった。
特に、女神様の寵愛を受け、加護を与えたくれた国に喧嘩を売った帝国と自由連合国は震え上がった。
特に女神様の圧を肌で感じた外交官達は自分の命を賭けて、ノルン聖王国とは多少不利な条約結んででも友誼を結ぶべし。と、熱弁して各国から使者が多く来訪することになる。
そして──
「いや~凄い生誕祭だったな」
お祭りが最高潮で終わり、お城の一室で家族と過ごしている最中である。
父親や母親のみならず、興奮が治っていない状態で雑談していた。
「あの威圧感、神聖な波動、流石は女神様というべきか」
「そうね。また来年も降臨されるのかしら?」
「民の前ではそう言ったのじゃが、それはわからんのじゃ。ただ月に一度は貢物を捧げるのじゃ」
しばらくは女神ノルンの話題で持ちきりだったが、シオンは急に真面目な顔になって切り出した。
「父上、母上、大事な話があるのじゃ」
シオンは隣の部屋で待機していたクロードを呼んだ。
「姫殿下、お呼びですか?」
「疲れている所すまぬ。お主に頼みたいことがあるのじゃ」
クロードは臣下の礼を取って何なりとと言った。
「女神様から神託が降ったのじゃ」
!?
「シオン、それはいったい・・・?」
驚く両親に話した。
「明日、父上と母上が国に帰る馬車が賊に襲われるという神託じゃ」
!?
「め、女神様の話ではそこで二人が命を落とすと言われたのじゃ」
シオンの声はどんどん小さくなっていった。
母親はシオンを優しく抱きしめた。
「女神様も酷な事を言うのね。大丈夫よ。シオンを残して絶対に死なないから」
「神託があったのは私達を助けてくれるためだろう?なら大丈夫だ」
シオンは小さく頷くとクロードに視線を向けた。
「なるほど。姫殿下ではなく、そのご両親である両陛下を狙うとは・・・」
クロードは怒りの余り殺気が漏れ出てしまった。
女神様に祝福された姫殿下ではなく、その両親に刃を向けるなど、許せるわけがない!
「姫殿下、そして国王様、王妃様、私にお命じ下さい。必ずや神をも恐れぬ賊どもを殲滅致します!」
「うむ、お願いするのじゃ。妾が1番信用しているお主だから安心できるのじゃ」
姫殿下・・・
「必ず姫殿下の期待に応えて見せます。すみませんが護衛の騎士達に説明するので失礼致します」
クロードは一礼すると部屋を出ていった。
その日はシオンが甘えて母親と一緒に寝るのであった。
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兵士の訓練場にて、騎士団長から緊急招集が掛かった騎士達が集まっていた。
お祭りともあり、酒を飲んで酔っている騎士も多かった。
「傾聴せよ!!!」
ドッーーーーーン!!!!!!
クロードは剣を地面に刺して大きな音を出した。
そして殺気を放ちながら話した。
「本日の生誕祭では女神様が顕現され、新しい国としての門出には最高の日となった!しかし、女神様は姫殿下に神託を授けていたことがわかった!」
クロードの声にただ事ではない雰囲気が伝わり、殆どの騎士が酔いが覚めてしまった。
「女神様の神託だと、姫殿下のご両親であるレグルス王国の国王様と王妃様が、国に帰る途中で賊に襲われ命を落とすと言われたようだ」
!?
「いいか!これは死刑宣告ではない!女神様が姫殿下の両親を救って欲しいと言う願いからの神託である!」
騎士達の目が変わった。
「いいか!今酔っている者はさっさと酔いを覚ませ!これは国家の一大事だと認識しろ!女神様が降臨されたのに、その次の日に姫殿下の両親が死んだとされたら、どうなると思う!逆に女神様の怒りを買って呪われたなど認識されるに違いない!それよりも我らの姫殿下が悲しむ。それこそが1番防がなければならないことだ!」
騎士達の目が怒りに変わっていった。
「いいか!国王陛下達が無事なのは当然として、姫殿下の両親を狙った賊を一人も逃さず殲滅する!黒幕がいる場合は黒幕まで討伐するぞ!我らが神託を塗り替えるのだ!」
オオオオオォォォォ!!!!!!!!!
完全に目の覚めたノルン騎士団は雄叫びを上げた。




