女神降臨!(本当の意味で)
その声の主は暗闇の夜空から光の柱の中をゆっくりと降りてきた。
王都にいたすべての人々が生唾の飲んで見守った。
『ソレ』は女神の位が一気に上がった事で、神気が上級女神までパワーアップしている事を忘れていた。
今までは気軽に話せていたアホの子の女神だったが、身に付けている神気が膨大過ぎて、他の生物は圧倒されてしまっていた。『アレ』はヤバいと本能的にわかってしまっていたのだ。
シオンの目の前にまで降りてくるとソレは口を開いた。
「シオンちゃん、お久しぶり♪元気だった?」
気軽な口調で話して来た。
「め、女神ノルン様!?」
シオンはすぐに片膝を着いて頭を下げた。シオンの言葉を聞いた周囲の者達も両膝を着いて土下座のポーズで頭を下げた。
「あ、良いから、良いから。頭を上げてね?今回はシオンちゃんに御礼とご褒美を持ってきたの♪」
「ご褒美ですか?」
「ええ、シオンちゃんがこの世界で何を成したのか見守っていたの。だから言わせて下さい」
何を言うの?
「ふふっ、ありがとう」
「えっ?」
素直な言葉にシオンは呆然とした。
何を言われるのか身構えていた時にお礼を言われたからだ。
「シオンちゃんのおかげで、『弱っていた』私の神気がより強く戻って来ました。神の力は信仰心です。シオンちゃんを通じて、国の民である皆さんが祈りを捧げてくれた事で私の女神としての階級も上がりました。本当にありがとうございます」
光り輝く女神ノルンはシオンに頭を下げた。
その光景に一瞬、ざわっとなった。
「さて、その御礼に『神器』を授けます。あなたなら正しく利用してくれるでしょう」
ノルンが出したのは『杖』だった。
木の枝が絡み合っているデザインで、1番上には緑色の宝玉が美しく光っていた。
「これは『ユグドラシルの杖』と呼ばれる神器です。植物を操る能力があります。また飢饉などの時に使って下さい」
「あ、ありがとうございますなのじゃ」
シオンも神気に当てられ緊張したかの様に固くなっていた。
『前に天界でお会いした時より威圧が凄いのじゃ。あの時は抑えていたのじゃろうか?』
ただシオンのおかげで女神の階級が上がっただけですよ?
そうとは知らないシオンは畏怖の念を抱いていた。
いや、この場所にいるすべての者が畏怖の念を抱き、心の底から女神ノルンに祈りを捧げると心で誓った。
「みんな固いわよ?もっと気軽に接してくれても良いのに」
「い、いえ、女神様に恐れ多いのじゃ・・・」
シオンは慌てて周囲を見渡してクロードを見つけた。
「クロード!女神様に1番のワインと料理を持ってくるのじゃ!」
クロードは自分がですか!?と言うような顔をしたが、気合を入れてすぐに走った。
「あ、そうそう、シオンちゃん、実わねーー」
ワインなどくる前にシオンにコソッと神託を授けた。
クロードは急いで持ってくると、途中で渡された料理も持って神輿に上がった。
近づくだけで意識が飛んでしまいそうな力にクロードは耐えた。
「お、お待たせいたしました」
膝を着いて手を上げて女神に献上するようにお渡しした。
「ありがとう。そしていつもシオンちゃんを守ってくれて感謝しています」
!?
「勿体無いお言葉!これからもシオン姫殿下をお守りしていきます!」
クロードは涙を流しながら誓った。
ノルンは大皿に乗った唐揚げを手で掴み食べた。
「うん、美味しいわ。これまで王侯貴族以外の民は困窮していましたが、シオンちゃんのおかげで民が裕福になりお腹いっぱい食べられるようになったのね。まだ一年だし、これからだと思うけどこの国の民の事をお願いね」
「お任せ下さいなのじゃ!」
「後はできる範囲でいいのだけれど、他国でも困っている民がいるなら手を差し伸べて欲しいの。お願いできるかしら?」
「はい!第一は自国の民。次に余裕があればできる範囲で支援致します」
ノルンは再度頭を下げるとワインを持ってまた光の柱を登って行った。
「あ、できれば時々差し入れしてもらえると嬉しいわ~」
ワインの瓶を軽く振りながら言った。
最後の最後でノルンはノルンだった。
『この国に女神の祝福を!』
人々の頭に声が響き渡ると、夜空が光輝き幻想的な流星が空を流れる様な夜空が広がった。
今夜のことは大陸中に知れ渡ることになる歴史的な出来事になるのだ。




