やっと一服、内政のお時間ですよ。
シオン達はスノー王国からようやく戻ってきた。
日数的には移動も含めて15日ほど留守にしていた状態だ。
戻ってくるとセツナに鍛えられた文官達が誇らしげに言ってきた。
「姫殿下の採決が必要な物以外は片付けておきました!念のため確認だけお願いしたします!」
「しばらく留守にして申し訳なかったのじゃ。お主ら文官は、騎士達と違って表に名前が出ることは少ない。じゃが、お主らがいてこそ、妾が安心して国を留守にできるし、日々の業務で助かっておる。本当に感謝しておるのじゃ」
シオンは文官達の手を取って微笑みながら頭を下げた。
!?
「きっ、恐縮であります!」
「我らが姫殿下のためなら、死ぬまで頑張れます!!!」
文官達の言葉に苦笑いしながら伝えた。
「うむ、今日から3日ほど休暇を与える。しばらくは家族などとゆっくり過ごすが良い」
その言葉に文官達はショックを受けた。
(なぜに???)
「3日も姫殿下のお姿を拝見できないとは・・・」
「自分、握ってもらった手を一生洗わない」
「独身の自分は姫殿下のお姿を見るのが福眼なのに」
色々と拗らせておるなぁ~
「ああもう!うるさいのじゃ!休暇は休暇じゃ!さっさと帰って休むのじゃ!」
「「はい!!!」」
シオンの一言で文官達は出ていった。
「姫殿下も罪なお方ですね~」
「セツナも楽しんでおらぬと止めぬか!」
私もその一人なので無理ですよ。と、心の中で頭を下げるのだった。
こうして束の間の平和な時間が流れた。
これから冬になることもあり、戦争の様な軍の移動などできなくなるので、しばらくは内政に力を入れる期間となった。
「食料の備蓄は大丈夫かのぅ?」
「はい、スノー王国に支援した分も含めて、レグルス王国からの追加支援でこちらも備蓄ができました。来年以降も凶作にならなければよほど問題ありません」
「うむ、綿花の栽培とそれに伴う紡績の工場の建設はどうじゃ?」
セツナはペラペラと資料を確認しながら説明した。
「今まで手作業でやっていた作業を機械化することで安価に下げることができますし、大量生産できます。これは画期的な主要産業になるでしょう。工場の建物はできました。後は機械も納品されてもうすぐ試運転が開始されます」
「技術者には手厚い保護をしておるんじゃろうな?他国に流れてしまったらすぐに模倣されては敵わんのでな」
「はい。壊れた時の修理や日々のメンテナンスのために高い賃金と、働けなくなった時の『保険』などしっかりと整備しております」
「よし、これが軌道に乗れば鉱物資源とは違い、恒久的に利益が出るじゃろう」
「しかし女神様の知識は凄いですね」
シオンは前世の記憶を女神ノルンがもたらした叡智ということで、ノルンの価値を高めて信者を増やしているのだ。
「これも民が豊かになるためじゃ」
書類にサインしているときにふと思い出して、手を止めた。
「そうじゃ。この国の名前を変更したい場合はどうすれば良いのじゃ?」
シオンの言葉にセツナは目を開いて驚いた。
「姫殿下、失礼ながら国名を変えるのは統治する上でリスクが伴います。愛国心のある者から反乱や抗議のデモが起こる可能性がありますが?」
「うむ、そうなのじゃが、実はのぅ~」
視察に行った時に言われたことを話した。
「なるほど。ただその考えが多数なのか少数なのか国民からアンケートを取らないといけませんね」
「すまぬが、各地の領主に国名を変えて大丈夫か市民に確認を取って欲しいのじゃ」
セツナは、かしこまりましたと一礼して執務室を出ていった。
シオンは一人になった部屋で書類を片付けると城の探索に出かけた。
こういったお城は隠し部屋などあったりするし、隠し通路が逆に旧王族達の侵入経路になる可能性があるのでシオンはゆっくりと一部屋ずつ神眼を使ってチェックしていたのである。
ただ5歳の姫殿下ということもあり、臣家達からはお散歩かな?という生暖かい目で見守られていた。
トコトコと歩く姫殿下のお姿は愛らしく、見る者を魅了していた。無自覚に!
現在は王族の住む上層階からゆっくりと下に降りてきており、実はメイドや執事達がこっそりとシオンを見守り・・・こほんっ、遠巻きに守っているのでした。
この数ヶ月で隠し部屋などいくつか発見していた。
特に王族の住む部屋には、不正に溜め込んだ金銀財宝類や、拷問部屋まであったので潰した。
それなりに大きな城のため1番下の下層の調査に時間が掛かっていた。
「これはマズイのぅ」
とある部屋にて外部に繋がる隠し通路を発見。
とある部屋にて地下に繋がる隠し階段を発見した。
機密情報が含まれるので騎士団長のクロードに命じて側近の騎士達に調査をお願いしている。
こうしてシオンの『ワクワクお城探検』は数ヶ月にも及ぶ娯楽へとなっていたのだった。




